トップスケーターの流儀 中野友加里が聞く9人のリアルストーリー

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(2013/12/11)
中野 友加里

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当初、買う予定はなかったんですが、わりと評判がいいのと、羽生くんとの対談があるので、読んでみました。

【内容紹介】
元フィギュアスケート選手で、現在フジテレビスポーツ局勤務の中野友加里さんが、日本を代表する9人のフィギュアスケート選手にインタビュー。トップ選手同士ならではの深いスケート談義から、気軽なオフトークまで、他では聞けない選手の本音が満載の一冊。
登場選手…浅田真央、安藤美姫、鈴木明子、村上佳菜子、高橋大輔、羽生結弦、無良崇人、小塚崇彦、織田信成

【著者略歴】
1985年、愛知県江南市生まれ。早稲田大学大学院修了。フィギュアスケート女子シングルで2005年NHK杯優勝、同年グランプリファイナル3位、2008年世界選手権4位。世界でも数少ないトリプルアクセルジャンパーとして人気を博した。2010年に現役引退後、フジテレビに入社。現在はスポーツ局勤務。



世界レベルのフィギュアスケーターとして、氷上という戦場でともに戦った戦友である中野さんだからこその対談集。どうしてもよそゆきっぽくなるスケート本のインタビューとは違う、フランクな普段着っぽい選手の横顔が見られました。昨年の6~8月位の対談なので、半年近くたち、五輪代表も決まった今読むと、なかなか感慨深いものがあります。対談の頃は希望に満ちていた選手に、今ははっきり明暗が分かれているわけですから。

昨年は男子6強といわれたのに、町田選手だけが抜けてます。企画当時は、まさか代表に選ばれるとは予想してなかったのでしょう。女子も、知名度からいえば安藤選手でしょうけど、現実的に五輪キップを争っていた4強の一人は宮原選手だと思うので、彼女との対談もほしかったところ。あと、ネックは価格でしょうか。内容は面白い。けれど、字が大きく、下半分スカスカ(笑)なので、アッという間に読めてしまいます。そのわりに高めの価格設定なので、せめて千円くらいにしてもらえたら、もっと手にとりやすいのになあと思いました。

では・・・特に印象に残ったところだけ、さらっと触れておきます。

まず羽生くんとの対談について。羽生くんといえば、ジャンプ。ジャンプ談義が面白かった。
彼は、着氷できるトゥーループとサルコウ以外、4回転のルッツとループも回転だけはできるそうです。

アクセルも、やろうと思えば回れると思うんですよね。
僕にとっては、アクセルが一番簡単、得意なジャンプだから。


もしかして 4A は射程範囲内ですか?(笑) 難しいステップから、まったく助走なしで、あれだけ余裕のあるアクセルが飛べるのだから、確かに助走つけたら飛べそうだけど・・・。でも、怪我が怖いよねえ・・・。

ジャンプの種類は6種類あって、一番難しいといわれているのがアクセルジャンプです。あのチャンですら苦手にしてるジャンプで、『それが一番得意』と言えるのが、おそらく2種類の4回転以上に彼の強みでしょう。4Aは基礎点が15点。万が一回転不足判定になっても10.5点と、4回転サルコウと同じ点がもらえるのですね。
この先、彼がどんどん宇宙人化していって、全種類クワド挑戦!とか、フィギュア史上初のクワドアクセル公式戦で挑戦!とか、怖いこと言い出さないかとちょっと心配です。でも、「できることを出し惜しみしたら、つまらないじゃないですか」という信条の彼なので、『できる!』と確信したら、果敢に挑戦しそうな気がする・・・。

そうなれば、スケート史には残るでしょう。でもねえ・・・あなたの膝はもうあなただけのものじゃないのよ・・・。
もう 日本の宝 なの!! くれぐれも無茶しないでおくれ・・・とファンの一人としては、切に願うのでした・・・。


さて、この本の感想とは関係ない話題ですが、ファイナルでの活躍をみて最近ファンになり、「羽生くんのカレンダーがほしい!」と思ったものの、どこも売り切れで涙をのんだ・・・という方に朗報です。
羽生くんの2014年度版カレンダーが再販されることになったそうです。詳細はこちら ↓

【羽生結弦(フィギュアスケート)】2014年カレンダー 平成26年 大好評に付き再版制作決定!予約受付中

カレンダーはあまり再販しないもの。ましてや、年が明けてからカレンダー再販なんて、普通ありえません。
カレンダーは、年が明けたら一気に販売ペースが落ちますし、商品の性質上、売れ残ったらどうしようもないもの。なので、かなり異例のことだと思います。売り切れで入手が難しくなってから、ヤフオクなどで、かなりプレミア価格になっていたようですから、出版社への問い合わせも相当あったのでしょうけど・・・。
羽生くんは、今やソチでのメダルの最有力候補。もし表彰台に乗れば、五輪特需で、2月であろうが、3月であろうが、カレンダーは飛ぶように売れる・・・という計算があるのかもしれませんね。商魂たくましいわ(笑)

では、本の感想に戻ります。羽生くん以外の男子選手の対談の感想と、羽生くんの演技構成点について、少し語ります。長くなるので、たたみます。興味のある方は続きをどうぞ♪


織田選手は、やはり「計算できない」ことを、友加里さんに突っこまれてました。彼が計算できる人だったら、ワールドメダル、ひとつやふたつはもっていただろうなあ。明るい彼の人柄がにじみ出た、楽しい対談でした。

無良選手は・・・対談を読んでいて、男子5選手の中で、一番五輪への執念が弱いような気がしました。というより、スケートそのものに対する執着が弱いような? おそらく、来シーズンも現役は続けるとは思うけれど・・・。

そして、小塚選手。彼は、五輪キップを勝ち取る自信は、そこそこあったのじゃないかな?と思いました。対談の時点では、町田選手がここまで伸びてくるとは想像してなかったでしょうし。本来は、3枚目のキップに一番近い人だっただろうと思います。前シーズン、故障がなかったら、ワールドにでてたのは小塚選手だったでしょうしね。

個人的に、小塚選手の話の中で、一番印象に残ったのは次のような言葉でした。

いい順位をとったら、なぜか知らないけれど、自然にファイブコンポーネンツも上がる。あれはほんとに不思議だけれど、そういうルール。うまく積み重ねていくには、0.何ポイントでもいいから人の上に入って、ちょっとずつ自分の地位を上げていくしかないって・・・。

そうなんだ・・・。現役の小塚選手でさえ、演技構成点(ファイブコンポーネンツ)の採点を「ほんとに不思議」だと思ってるのね(笑) それなら、私たちシロートにわかるわけないよね。アレコレ考えるだけ無駄ね(笑) 
TES(技術点)はまだわかるんですよ。GOEの付き方とか、回転不足のとり方とか、「ん???」と思うときはあるけど、まだいい。でも、PCS(演技構成点)は本当にわかりにくい。「ちょっとずつ自分の地位を上げていくしかない」というのは納得です。PCSについては、スケーティングや表現力がどうとか言われるけれど、上げたい選手を上げるための『調整点』、または『格付け点』としか思えないときが多いのも確かなんですよね・・・。

今シーズンの羽生くんのフリーのTESとPCSを比較してみました。(TES/PCS)

フィンランディア杯  93.91/87.02  合計 180.93
GPS カナダ杯  78.54/76.86  合計 154.50
GPS フランス杯  87.28/81.94  合計  168.22
GPS ファイナル  102.03/92.38  合計  194.41
全日本  101.60/94.10  合計  194.70


全日本は参考記録ですが、羽生くんのTESとPCSが、だいたい連動してることがわかります。
そして、彼の場合、常に、TES>PCSです。これが逆になったことはほとんどないと思います。
カナダ杯のPCS、76.86は「低っ・・・!!」とちょっとショックだったのですが、このときはジャンプもミスが多く、演技全体に精彩を欠き、今シーズン5試合中最低の出来だったので、ある意味、仕方なかったのかな・・・と。

ただ、一昨年のスケアメのPCSと比較すると、かなり辛い。ショートで世界最高得点をたたきだした後、フリーで大自爆。そのときのPCSが79.56。TES番長の彼のそのときのTESは、なんと72.11。PCS>TESはめったにないことで、私の知る限り、これくらいじゃないかな。カナダ杯の出来が悪かったといっても、大自爆というほどではなく、スケアメのフリーよりはだいぶマシなはずなので、意外な低PCSに不安になりました。羽生くんの”格つけ”が下がってしまったのではないかと。実際、「”羽生はこの程度”とジャッジから評価されて、PCSが下がる」心配は、羽生くんにもあったようです。だからか、フランス杯のSP終了後ホッとした表情をしてましたね。

ファイナルで、羽生くんは「点ですぎじゃね?」みたいな顔をしてたけれど、TESが100点越えなので、90点以上のPCSがでても、バランス的におかしくはないでしょう。それでも10点差近くあるわけですから。
ただ、サルコウ転倒で、ノーミスではなかった彼からすれば、『びっくり』な点数であり、ふだんはでない高いPCSにも戸惑いはあったのでしょう。でも、これが、彼の『ステージが上がった』ということなら嬉しいですね。

対談のラストは、高橋選手。シーズン当初「ソチで引退」と言っていた高橋選手が、その後進退についての発言が、二転三転してることに違和感を感じていたのですが、この対談を読んで、なぜ彼の心が揺れているのかはなんとなくわかりました。でも、彼ほどの実績と人気があれば、引退後なんでもできそうに思いますが・・・。

ということで、コスパはあまりいいとは言えないけれど、フィギュアスケート好きなら、楽しめるでしょう。
オリンピックまであと1か月を切りました。これを読めば、気分はいっそう盛り上がると思います(笑)

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テーマ : フィギュアスケート - ジャンル : スポーツ

2014/01/10 08:25 | 2013-2014 seasonCOMMENT(3)TRACKBACK(1)  TOP

コメント

m○○○ 様

m○○○さん、こんにちは。

ゆかりさんの本、けっこう評判いいですよね。
羽生くんとの対談が気になって、ついつい予定外の買い物をしてしまいました。
これで、町田選手と宮原選手が入ってたら、完璧だったんですけどね~。

本当に、五輪シーズンってすごいですね。出版物が多くて財布に痛くて、悩ましいです。
全部買ってるとエライことになるので、とりあえず、「これはどうだろう?」とチェックした本は、書店で中身を確かめることにしてます(笑)

>コスミック出版の「フィギュアスケートファン2014」はご覧になりましたか?私は凄くお気に入りです!

その本はノーチェックでした。情報ありがとうございます。今度書店で見てみます♪
ポスター本もチェックはしてるんですが、買うかどうかは、私も写真次第かなあ。

>言霊で、羽生くんがソチ金メダルに輝いて、写真集が出版されることを願っています!!!

100%ゆづ成分の「蒼い炎」はゆづファンにとっては神本でした。羽生くんのピンの写真集なら、10倍の値段でも買いますよ! 今、羽生くんの数ページの特集のために2000円近くも払ってることを思えば安いものです(笑) あと、DVDも発売してほしいな。ANAさんも、彼が金メダルとったら、なんかやってくれそうな気がするし(笑)

あと1か月もないと思うとドキドキしますね。ソチでも彼の神演技、全力で祈りましょう!

拍手&コメント、ありがとうございました♪

No:2851 2014/01/12 17:32 | みずほ #o/PXu/q6 URL編集 ]

こんにちは

スケカナのPCSは、低くてショックでしたね。
精彩を欠いたとしても。。。なんかスケカナのイメージが、厳しい感じなので、次はスケアメかNHK杯がいいな~なんて思ったり。。。。
ファイナルのPCSは日本開催だからこれだけ出たのか、これがオリンピックでもジャンプが成功すれば同程度だしてもらえるのか、蓋をあけてみないとわからないわ。。。。羽生結弦がこれだけの出来をすれば、90点以上だしますよ~というISU(でしたっけ?)の意思表示であることを願います。。。
ぶっちゃけ、わけわからんPCSの配分は半分にしてくれたら、よいのに・・・ 

中野さんの本で、ウィルソンのお気に入りなの?って聞かれてうふふと笑ったとか聞きましたが、本当ですか?
もし、差支えなければ、そのくだり教えていただけませんか?
結弦くん、もてすぎ~^^老若男女に。。

No:2852 2014/01/14 21:49 | リラ #- URL [ 編集 ]

リラ 様

リラさん、こんにちは。

>スケカナのPCSは、低くてショックでしたね。

羽生くんとは関係ない話なのですが・・・PCSといえば、2日ほど前に終了した全米選手権! 私もJスぽで見てたのですが、女子シングル3位の長洲選手がソチ代表から落ちたんですね。2位のジュニア上がりの15歳の選手のPCSがすごい爆盛りだったんです(笑) 国際大会に比べて十数点突然高騰して、PCSを抑えられた長洲選手が僅差で3位に。露骨なほどのPCSによる調整でした。アメリカのスケオタさんの間でかなり批判されてます。全日本の男子の試合もそうでしたが、国内大会になると、連盟の出したい選手とそうでない選手のPCSの出し方が本当にあからさまですよね・・・。

>ISU(でしたっけ?)の意思表示であることを願います。。。

私は、ISUの意思表示だと思ってます。彼があれくらいのTESをとれる演技をしたら、90以上のPCSはでますよ。まさか、チャンに勝った羽生くんを二番手扱いするほど、日本のスケ連がアホではないと思いたいですし(笑)
アメリカ・カナダの予想では、Pチャンと羽生くんの争いという論調が多いです。カート・ブラウニングとか、ストイコとかも、そういう見方をしてます。現在、羽生くんはWS1位、チャンがWS2位、この二人でSPでもFSでも最高得点争いしてる状態なので、ある意味当然かと。

このアメリカのNBCの記事でも、「金・銀争いはチャンvs羽生」といってますね。アメリカは、男子シングルのメダルはあきらめてるみたい(笑)

http://olympictalk.nbcsports.com/2014/01/12/jeremy-abbott-jason-brown-us-olympic-team-figure-skating-sochi/

>ぶっちゃけ、わけわからんPCSの配分は半分にしてくれたら、よいのに・・・

スポーツという観点から考えたら、半分でもいいと思いますけどね。TESがPCSより20点も30点も低いとか・・・萎えます(笑) TESが極端に低いときは、ジャンプがボロボロだったりしてるはずで、なのにPCS高止まりしてるのとか見ると、なんだかな~と思ってしまいます。PCSのわかりやすい基準がほしいですね。

>中野さんの本で、ウィルソンのお気に入りなの?って聞かれてうふふと笑ったとか聞きましたが、本当ですか?

はい、本当ですよ。そのくだりを書くと・・・

ゆかり「結弦君はデイビッドに気に入られてそうだよね?」
ゆづ「あのね、ふふふ・・・。」
ゆかり「やっぱり気に入られてるんだ(笑)」

羽生くんもウィルソンに気に入られてることを十分自覚してるな~、したたかな子!(笑) まあ、羽生くんもウィルソンのこと「カナダで一番面白い人」と言ってたから、相思相愛ですけどね。フィンランディア杯でも、キスクラですごく仲良さげだったし。
オーサーも「僕はユズルの大ファン」なんて言ってるし、本当に魔性の子ですよね~、オヤジ二人を手玉にとって(笑)

コメント、どうもありがとう♪

No:2853 2014/01/14 23:20 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

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2014/01/11 |  |

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