羽生結弦選手 「 KENJIの部屋」 第四回目 感想
遅くなりましたが、「KENJIの部屋」4回目の感想です。
内容は、多少簡略化した形で、結弦くんの話した部分だけ、まとめてます。そちらは「続きを読む」からどうぞ。
4回目は、昨シーズンの中国杯のことを中心に、スケートへのこだわりなども語ってくれました。
昨シーズンの中国杯は生放送で、私も激突の瞬間をリアルタイムで見ていました。
怪我の状況が一番心配でしたが、意識があり、頭は大丈夫そうだとわかった後も、試合を続ける意思を示していた結弦くんに、「棄権をして! オーサー、なんとか彼を止めて!」というのが、たぶんほとんどのファンの総意だったと思います。フリーを滑り終えた後も、顎からの出血がひどかったので、今度はそちらも心配でした。
結弦くんの花の顔(かんばせ)に、傷が残ったらどうしよう。日本の損失だわ・・・
いや、冗談でなく、そのときは真剣にそう思ったのですよ(笑) だいぶ長いこと(傷が残らないように)テーピングしてましたが、今はもう傷はほとんど残っていないようで安心しました。しかし、女子ならともかく、男子アスリートの顏の傷をこんなに心配する日がくるとは(笑)
結弦くん、「自分はダンスを習っていないので、他の選手の動きを参考にしてる」って言ってましたね。
ソチで金をとった直後のインタビューで、「バレエを習いたい」と言ったいた結弦くん。でも、忙しすぎて叶っていないのだなと、彼の言葉を聞いて心が痛みました。練習はなにもリンクの上だけじゃない。本当は、氷上以外でもいろいろ吸収していきたいことがあるのだろうけど、とにかく彼は忙しすぎる。
だからこそ、他の選手の演技から貪欲に吸収できる部分はしようという姿勢に、頭がさがる思いでした。
そういえば、2013年のGPシリーズ、チャンと2連戦したときも、チャンの練習をガン見してましたよね(笑)
それから、彼の「理想のスケート」論を聞いて、「本当に彼はブレないなあ」とあらためて思いました。
結弦くんは「蒼い炎」でこんなことを言っていましたね。(「蒼い炎」の感想はこちら)
アスリートかアーティストかと聞かれたら、絶対アーティストになりたい。力強さや、高度なジャンプの技術や・・・そんなアスリートの技術は当たり前にもっていて、さらにアーティストになる、それが僕の目指すところです。
フィギュアスケートはスポーツです。彼にとって、アスリートが高度な技術があるのは当たり前のこと。
「点取り虫ではつまらない。そんな演技は感動しない」という人がたまにいますが、タラソワの「技術力あっての表現力」という言葉通り、技術に裏打ちされていない表現力は薄っぺらいものです。でも、同時にフィギュアスケートは、他のスポーツと違い、芸術性も要求される。
ジャンプというエレメントが入っていればいいというのではなく、そのジャンプが振付のひとつとして自然に溶け合っているような・・・高度な技術と芸術性の究極の融合を、彼は目指しているのだろうなと。そして、それは「蒼い炎」をだしたときから、いやたぶんもっと以前から、それが彼の目指す道なのでしょう。
わかっていたことだけど、結弦くんの、フィギュアスケートの”求道者”としての顏を見た思いでした。
なんだんかんだいって、あと1回なんですね。最終回ではどんな話が聞けるのでしょうか。とても楽しみです。
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(コーチをブライアンになって、はじめてのグランプリについて)
グランプリの年にブライアンに変わって、その年のグランプリ一戦目でショートで世界最高得点を出している。それが大きかった。それで名前が売れた。(当時SP世界最高得点 95.07:GPカナダ)
自分でもびっくりした。衝撃的だった。ショートでジャンプの内容は完璧だったかもしれないけど、うまくできてないこともけっこうあって、納得もしてない状態で「90って、え?!95?!85じゃないの?」って。90っていうと当時、パトリック選手がノーミスで92、3の時代。90なんて出したら異次元だったのに出ちゃった。そしたらフリーがボロボロになったけど(笑) その年からショート得意、フリーボロボロのパターンになってきた。
(先シーズンのショートが一番ちゃんとできたのは最後のエキシビション?)
エキシビションで初めてノーミス。そのシーズン、エキシビション以外ノーミスがなかった。グランプリファイナルのフリーもあともうちょっとだったのに、ルッツの前にめっちゃ疲れてて、跳べる気がしなかった、あのとき。
(跳べる気がしない時はテンション的にどう持っていく?)
とりあえず跳ぼうみたいな。とりあえず基礎点もらおうみたいな(笑) 中国杯の時もアクシデントがあって、パンクしたらダメだから、とりあえず回ろうみたいな。コケてもいいやと。コケてもとりあえず回って、マイナス3されようが、ディダクションつこうが、マイナス3でディダクションが一つついても、マイナス4点。4回転サルコウを跳べば10.5なので6はもらえる。じゃあそれを跳び続けるしかないみたいな。基礎点は大事です。
(14年GP中国 6分練習での激突・・・ぶつかった時は大丈夫だったのか?)
大丈夫じゃない。その頃、よく「大丈夫なの」と聞かれたが、大丈夫なら普通に滑れてる。車椅子で帰らないといけなかったくらい、足が動かなかった。あの時なんで4回転回れたのか。なんで4分半あれだけ滑れたのか不思議でしょうがない。(それでも)基礎点はしっかり考えていた。絶対回れば点数は取れる。回るだけ回ろうと。アクセル一本くらい決めようと思っていた。
(14年GP中国杯 衝突後の状況は?)
顎が一番大量出血した。一番パカーっと開いて出血して。頭側部も出血してた。頭の横のところを、相手とぶつかった時にさっくりいったのか何なのかわからないけれど。後頭部は切ってないんです。(あごは)氷に打ってしまったけど、それだけですんだ。(切った頭は)カッといってしまっただけで、脳みそが揺れた感覚はなかった。揺れたことは過去に何度かあるけど。僕、けっこうあって、そういう経験が。
(子供の頃)オリンピックで通用すると思っていたから、何でも飛べるんじゃないかと調子にのっていた時代があって。トリプルひとつも完璧に飛べていないのに、トリプルアクセルの練習をした。トリプルアクセル跳んだら、カカトから降りてきて、ガンと頭を打って、意識がとんだ。ふと気づいたら、いつのまにか暖かい部屋にいて、手足がしびれて動かなくて(笑)
(気をつけてね。では、中国杯でぶつかったときは)
頭は大丈夫だった。とにかくあの時スリーターンしてたので、左足でフォアのスリーターンでした。左足でバックに差し掛かる時に、ちょうどハンヤン選手のまっすぐきた膝が僕の内側に入った。そのまま左足で滑ったので抜けて、だからどうしようもなくて。このまま抜けたから、(右足は)ついてないし、「あ、どうしよう」って。頭も痛かったし、ああヤバイと思って(お腹から)いった。
一番最初はお腹に入って、お腹が痛くて痛くて仕方なかった。スケーターはみんな誰しもが経験することだけど、スケーティングで前にこけることある。 前にいっちゃう。ちっちゃい頃に絶対ある。しかもトップスピードで。ガンっていって、みぞおちが痛くて息ができない状態。アレの20倍増しくらいの痛さだった。
(だから動けなかった?)
最初は意識があって立とうとしていた。でも、みぞおちが痛すぎて、筋肉も収縮しちゃって背中を起こせなくて、ずっと屈んだ状態で。この状態もしんどかったので、とりあえず横になって。
レフェリー笛ならしてくれないなあって思いながら、みんな練習してるなあ、でも痛いなあとか思ってたのを覚えている。中国のドクターチームが来て、担架を持ってきてくれた。大丈夫?歩ける?って言われて。「いいよ、そんなんいらんし、普通に歩けるし」ってやってた(笑)
頭じゃなくてよかった。(頭部は)出血はあったけどそれほどでもなかったので。顎下の出血がひどかった。
脳震盪は全くなかった。あの後、すぐにアメリカのドクターにみてもらって、ブライアンもドクターとすごく話し合ってた。ドクターから、英語で、「”100-7”からどんどん7を引いていきなさい」みたいな質問されて。それもそんなテンぱってるときに(笑) 脳震盪の検査しないといけないから、そんな難しい質問されて、しかも英語で答えないといけなくて。「えっ、えっ、えっ」って感じだった。「そんなの答えられないんだけど、でも意識があるから大丈夫」だと。目も全然大丈夫で、側頭部と下顎の出血があった。顎もすごく腫れて、太ももがすごく痛かった。
筋肉が持って行かれた感じだったので、肉離れみたいな痛みで、ジャンプよりもシットスピンが地獄だった。
僕、結構意識ありますね。あの試合。シットスピンって我慢しなきゃいけないので。ジャンプは一瞬だけど。
シットスピンは地獄で、サルコウで転倒して、トリプルで転倒して、フリップを降りて、コンビネーション・スピンに入って、その時にシットスピンやりたくねー、シットスピンやったら立てるのかな?って思ったのは覚えている。
その後、ミヤケンさんの自らのシットスピン事件についての話題になりました。
ミヤケンさんは、3年ほど前に振付中、シットスピンをしてぎっくり腰になったとか。でも、その話の後、「僕以外の人(スタッフ)には、その話あまり受けてないですよ~」と、結弦くんに突っこまれていました(笑)
(苦手なエレメンツは?)
ルッツ?!僕ほんとはルッツそんなにヘタクソじゃないです(笑) ルッツはそんなに苦手じゃない。苦手な印象がついちゃったのはあるけど。僕が、昔はジャンプがほんとに全部苦手だった。アクセルが好きだったので、アクセルばっかり練習してたのもあるけど。全然跳べなくて、周りの選手は跳べるようになるし。
昔はジャンプに対してすごく苦手意識を持っていた。それこそエレメンツじゃないかもしれないけど、世界ジュニアの話にすると、ショートが苦手。フリーは得意だけど、ショートが苦手。でも“パリの散歩道”つくってもらって、ショート得意だけどフリー苦手になった。何かしら成長すると、成長できてない部分が、苦手って思っちゃう。基本的に何かこれがダメというのはない。時々不器用になりますけど。
(試合中、他の選手の演技をチェックするか?)
メッチャ見ます。(力を込めて)すごく見ます。試合のとき、自分の出番のないときは見ないけれど、他の試合の前とか、練習の期間とかはものすごく見る。
(他の選手の何を見てるのか?)
ジャンプの感覚とか、自分はダンスを習っていないので、腕の使い方とか、間のとり方とか、スケーティングとか、膝の使い方、音の取り方をよく参考にしている。
(自分の理想のスケートは?)
理想のスケートというのは、フィギュアってアスリートっぽいジャンプやスピンの動きもあれば、スケーティングとか表現とかステップとか、バレエというかアーティスティックな部分もある。それ全部をアーティストにするわけではないが、全部をフィギュアスケートのプログラムとして完成させたい。いつも先生が振り付けする時に僕言っていますが、スピンだとか全部表現したい。そして音に合わせたい。そうしないと気持ち悪い。そのジャンプの時もジャンプするまでのタイミングとか、そういうものは全部曲かプログラムの内容の中で、スケーティングから表現から切り離されないように意識してやっている。
(ショートの最初)ジェフも目をつぶってたと思うが、僕は緊張するから(瞼が)ピクピクする。だからつぶらずにいた。しかもイメトレしてるから。トウループのことずっと考えていて。こうやったら跳ぶ、みたいな感じに。
(賢二先生に言われて)そこから目をつぶるようになった。練習でも目をつぶるように練習してきた。
試合だったら、良くないときは嫌なイメージしか思い浮かばないので、目をつぶった時、曲が流れていて、このタイミングでこういってこう跳んでこう降りているっていうのを完全にインプットした。曲が流れた瞬間にその映像しか流れないように。同じ尺で。
曲の一個一個の音が、これまでクロスをやってきて、イーグルに入って、トウループ跳んでっていう、一つ一つの動作が、振り付けではないけれど、完璧に一緒になっている。(失敗を想像しないように)完全に練習した。イメトレをするための練習・・・イメトレも本番の一つだから、振り付けと同じ感覚。この曲の時にクロスして、イーグルして、ていうのがある。その感覚とほぼ同じで自分の身体を動かしてないだけ。 脳みそはこの時に身体をこう動かしているというのを、完全に一緒になるように刷り込んできた。
(ショートプログラム、カッコいいねという言葉に)僕も大好きです。
(こことここを注意してねと言ったら、ず~っと練習し続けるとこがすごいね)
一つこだわり始めると止まらない。完成形にさせたいんです。何か一つを注意すればOKじゃなくて。ジャンプもそうだけど、跳べればいいってもんじゃない。如何に綺麗に跳んで、如何に体力を使わないで降りれるか。
そこにすごくこだわる。スケートに対するこだわりというのは、人よりも強いと思う。表現やステップ、ジャンプ、スピン、そういう個々ではなくてすべてにおいて。全部こだわります。
(二人でこだわりについて話始めたら、何時間でも話せるね)
だいぶ話せると思います。そうすると、たぶん、ウォームアップの話から始まると思う(笑)
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2015/09/28 13:55 | 2015-2016 season | COMMENT(2) | TRACKBACK(0) TOP
コメント
みずほさん
こちらにもお邪魔します。
第4回、萬斎さんさんとの対談の直後だったので、あー、彼は稀代のアスリートだったのだ、と改めて気づかされました(笑)
高度な技術があるのは当たり前(4回転は跳べて当たり前の名言がありましたね!)で芸術性を追求している。
だから萬斎さんの言うことにもあんなに真剣に聞き漏らすまい、全部吸収するって顔していた。
彼が氷上に立っただけで空気が変わり、他の誰とも違う圧倒的な世界を見せてくれるわけです。
Keinjiの部屋、今日で終わってしまうのですね! よかったですよね。彼の本音が垣間見れたし、アスリートの矜持が見られたな~。賢二先生のやさしさ、大きさが心地よかったです。
も~ホント、怪我だけは気を付けてね! 願うはそればかりです。
(花のかんばせに傷が残ったら国家の損失! 本当ですよ。なのに本人はあまり気にしていなかったような。)
No:4516 2015/09/29 12:20 | レモンパイ #- URL [ 編集 ]
レモンパイ 様
レモンパイさん、こんにちは。
>Keinjiの部屋、今日で終わってしまうのですね! よかったですよね。彼の本音が垣間見れたし
本当に信じるべきものは、”彼の口から直接語られたことだけ”だと思います。
たとえば、「平昌で引退」報道も、えらい騒ぎになって、後から結弦くんは「決まっているわけではない」と否定しましたね。
そういえば、クリケットでのインタビュー、あの部分だけテレビで流れなかった。他の部分は流れたのに。なのに、流れなかった部分が一番大きく報道された(笑)
つまり、インタビューを受けたとしても、記者が間接的に報道したものは、必ずしも結弦くんの真意を完全に伝えているとは限らないということです。あれは、そのことがよくわかる一件でした。
そういう意味では、萬斎さんと賢二さんの番組は、直接彼の口から語られた・・・ということにとても意味がありました。
>花のかんばせに傷が残ったら国家の損失! 本当ですよ。
結弦くんの身体は全身、日本の宝ですから。本当にもっと大事にしてほしいですよね(笑)
コメント、どうもありがとう♪
No:4518 2015/09/29 15:01 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]
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