羽生結弦選手初のチャリティ本「蒼い炎」感想

蒼い炎蒼い炎
(2012/04/07)
羽生 結弦

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これも5月に読み終わってました。遅くなりましたが、感想をあげたいと思います。
フィギュアスケートの羽生結弦選手初のチャリティ本です。
印税はすべて被災したアイスリンク仙台へ寄付されるということで、少しでも協力したくて購入しました。

【内 容】
仙台のリンクで練習中に東日本大震災に被災――。家族4人で近くの体育館で避難所生活を送りながら、「このまま、スケートを続けてもいいのか」と悩んだ羽生結弦選手。地元のリンクは半壊し閉鎖――。練習場所を求めて、日本各地のアイスショー60公演に参加しながら、4回転の精度を磨き、グランプリシリーズ・ロシア大会で優勝。全日本選手権では3位に入り、見事、世界選手権への切符を手にしました。スケートを始めた4歳から現在まで、写真とインタビューで綴る成長の軌跡。貴重な撮りおろしショットも多数掲載



スケートとの出会いから東日本大震災での被災、さらに全日本選手権表彰台、世界選手権までの道のり、尊敬するスケーターやライバルたちへの想いがインタビュー風に語られています。半分がテキスト、半分はカラー写真集といった配分で、どの写真もとても綺麗で躍動感が溢れていました。

まず印象に残ったのは、羽生くんの、ジュニア時代から師事していた阿部コーチへの絶大な信頼でしょうか。技術面だけでなく、精神面でも、阿部コーチが、羽生くんの大きな支えになっていたのがよくわかります。

次に、ジュニア時代から競ってきたガチンスキー選手へのライバル意識。良きライバルは成長の糧ですね。初めてシニアにあがった2010年のロシア杯で、ガチンスキー選手に負けたのがものすごく悔しかったとか。ジュニア時代には、いつもガチンスキー選手の上をいっていたから。本当に負けず嫌いです(笑)

3月11日・・・被災当日の様子も詳しく書かれていました。羽生くんはそのときリンクにいたそうです。羽生くんは末永巧さんという先輩スケーターと練習中。丁度そのとき、地震が彼らを襲ったのです。恐怖から、羽生くんは、末永さんに思わずしがみついてしまったそうです。末永さんは羽生くんの頭を押さえて「大丈夫、大丈夫だから」と。でも、羽生くんは「やだやだやだやだ!」と、ずっとしがみついていたそうです。すみません・・・ものすごく不謹慎なんですが、このくだりを読んで、ちょっと萌えてしまいました・・・(汗)

しかし、その後の避難所暮らし。
ホームリンクが壊れ、練習できない日々が続いたために落ちていく筋肉。
周りで苦しむ人達を見るにつけ生まれてくる「自分だけが好きなスケートを続けていいのか」というジレンマ。

色々な葛藤の中で、羽生くんを救ってくれたのは、アイスショーでした。
それが、羽生くんに、「頑張るしかない」という勇気を与えてくれたんですね。
今夏も精力的にショーにでてるのは、その恩返しの意味もあるのかな。

アスリートかアーティストかと聞かれたら、絶対アーティストになりたい。力強さや、高度なジャンプの技術や・・・そんなアスリートの技術は当たり前にもっていて、さらにアーティストになる、それが僕の目指すところです。

この言葉から、彼がジョニー・ウィアーやプルシェンコを尊敬してるという意味合いがよくわかりました。そして、17歳にして、彼が、この目指す目標に、すでに相当なレベルで近づきつつあるのがすごいですね。

全日本選手権のエキジビションでの羽生くんの演技です。

Yuzuru Hanyu - 2011 Japanese Nationals EX.avi



被災地への想いをこめて演じたという”ホワイト・レジェンド”。世界選手権でのEXも同じ演目でしたが、このときの演技の方がいいですね。照明の青が湖面そのもので、まるで白鳥が彼に憑依したかのようです。羽生くんの演技はどれも素晴らしいのですが、このときの演技はその中でも、特に好きなもののひとつです。


yuzuru hanyu


震災だけでなく、震災前も、逆境に見舞われるたびにそれをバネにして強くなってきた羽生選手。涼しげで爽やかなビジュアルに似合わぬ、すごい負けず嫌いのファイターだというのがよくわかりました。

「蒼い炎」は、世界選手権出場を決めたところまでで取材は終わっています。
世界選手権後の記事や写真も興味があったので、フィギュアの専門誌を初めて買ってしまいました。
長くなるので、そちらの感想と、羽生選手の海外での評判や、近況などは、次回にあげたいと思います。

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テーマ : フィギュアスケート - ジャンル : スポーツ

2012/07/11 08:00 | スケート書籍感想COMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

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