世界選手権2013を終えて思うこと

現役フィギュアスケート選手にとって、年に一度の最大の競技会・世界フィギュアスケート選手権が終わりました。今年の選手権は、来年の五輪の枠がかかっていましたが、男子・女子ともに3枠確保できたことは朗報だったと思います。日本選手の皆さん、お疲れさまでした!

さて、そんな中・・・羽生結弦選手が4位、惜しくも表彰台は逃しましたが、日本男子最上位。左膝、右足首の故障を抱え、満身創痍の中、全日本チャンピオンとして、3枠確保の重責を見事に果たしてくれました。

ショートプログラム前の公式練習のときから、情報は少ないながら、負傷してるのではないか?という噂をチラホラ目にしていたので、競技の始まる前から秘かに心配してはいました。そしてSP9位という目を疑うような順位。メンタルは人一倍強い選手、体調が万全ならありえない順位だったので、やはり・・・という思いでした。


【フィギュア】羽生「やりきった」4位!2大会連続の3枠確保(2013年3月17日 報知新聞社)

2位となった2月の四大陸選手権後にインフルエンザに感染し、高熱で10日間も寝込んだ。練習再開後は左ひざを痛めて7日間休養。6日から練習に戻ったが「痛くて1時間も練習できない日もあった。4回転もほとんど跳べなかった」と明かした。さらに、この日朝の公式練習では1年前に故障した右足首痛が再発。「満身創痍(そうい)だった」が、足の感覚を戻すために痛み止めを減らしてリンクに立った。

五輪の枠取りには貢献したが、「体力がない」と課題を痛感した。3歳からぜん息があり、今も毎日朝晩と薬を服用。この時期は、花粉症も重なって極端に体力が落ちるという。神経が繊細なため寝付きが悪い日もあり、食も細い。優勝したチャンのような安定感のある滑りを理想に掲げ、「五輪に向けて一から体作りしたい」と鍛え直す。



羽生死守 日本ソチ3枠/フィギュア(2013年3月17日 日刊スポーツ)

強行出場した羽生結弦(18=東北高)が日本の窮地を救った。左膝、右足首痛に耐え、フリーは169・05点の3位。技術点1位の演技でショートプログラム(SP)9位から合計244・99点の4位と追い上げた。ソチ五輪の国別出場枠で、上位2人の合計順位が「13」以内で決まる最大3枠確保が命題の大会。SPの不振で危機のなか、手負いの全日本王者が驚異の精神力をみせた。高橋大輔(27)は合計239・03点で6位、無良崇人(22)は8位、チャン(カナダ)が3連覇を飾った。

痛み止めの注射を打ち、薬も服用。指圧師が寝ずの治療をしてくれたが、回復具合は30~40%。追い打ちをかけるように、朝の練習で右足首も捻挫…。この半月まともに練習できず体力の不安もあるなか、「痛みよりも感覚を取りました」。痛み止めの量を抑え、激痛にむしばまれていた。



【フィギュア】羽生、左膝&右足首「痛み増幅している」(2013年3月18日 スポーツ報知)

男子4位で五輪3枠獲得に貢献した羽生結弦(18)=東北高=は試合から一夜明けた16日、会場で取材に応じ、故障した左膝と右足首について「痛み止めを飲んでやったが、それによって今は痛みが増幅している」と練習拠点のカナダから帰国して精密検査を受ける可能性も示唆した。今春から早大人間科学部の通信課程に進学。高校3年間を「特急電車のように駆け抜けてきた。友達? あんまりいないんです。有名になって人が集まってくるのが嫌でした」と振り返った。


インフルエンザ罹患による体力低下、左膝負傷でのさらなる練習不足、そしてフリー直前の右足首の古傷再発。真偽はわかりませんが、手首も負傷してるという情報もあり、まさに満身創痍の中での4位でしたね。ショートは、胸が痛んで、まだネット動画で1度しか観れていません。フリーは何度か観ましたが、それでもまだ大きなテレビ画面で観ていません。羽生くんの怪我の状態が心配で、他の選手の演技まで観戦する心の余裕が今はまだないのです。

技術的なことだけでいえば、ワールドのフリー、万全の出来ではなかったと思います。でも、今の苦しい状態と、ノートルダムドパリの世界観がシンクロして、まさに鬼気迫る演技でした。羽生くんの追い詰められたときの集中力・・・すごいです。鳥肌がたちました。そう・・・昨年のワールドのフリーを彷彿させましたね。


世界選手権での、羽生くんの状態についてのオーサーの言葉です。時期はショートの前だと思います。
(ソースはこちら 翻訳はこちらからお借りしています。ありがとうございます!)

『彼がそうありたいと望む程にはトレーニング出来ていないのだろうと思う。しかし彼は真のファイターだからね。きっと大丈夫さ。彼はただそこに踏み込み、ジャッジの前に立つ必要があるだけだ。そうしたら彼はとんでもない集中力を発揮する。正に“ゾーン”に入るんだよ。』

今年の世界選手権のフリーは、オーサーの言う、正に”ゾーン”に入った演技でした。手負いのときほど、発光するようなオーラを放つ・・・こんな選手、世界中探しても他にいません。でも、ファンは何よりも、体調万全な状態で悔いのない演技をする彼を見たい。元気にリンクを駆け、飛ぶ彼を見たいのです。

羽生くん、これがあなたの宿命なのか、本当に安心させてくれませんね。何も望まない。健康でさえあってくれれば。怪我さえしなければ。彼のファンになると、本当に、一試合ごとにオカン化の進行が止まりません・・・。

さらにオーサーの言葉は続きます。

怪我という苦難にも関わらず、世界選手権銅メダル保持者はプログラム内容を減らすことなど考えてもいない。
『彼はFSで2種類のクアドを跳ぶが、2種類跳ぶ代わりにクアドトゥを2回跳ぶことについても話し合ったんだ。ゆづはNOと言ったよ。なぜなら来シーズンはクアドサルコウを跳んで更にクアドトゥを2回跳ばなければいけなくなるだろうから、ってね。彼は後退したくないんだ。それには僕も同意した。』


来シーズンはフリー3クアドですか・・・。ナンデス君はフリーに来季4クアドとかって話もありますからね。でも、あまり無理しないで・・・というのがファンの本音です。3クアドはソチ後じゃだめなのかしら。クアド競争は、観客にとって面白い反面、怪我が多くなり、選手寿命を縮めます。まだまだファンのハラハラが続きますね。


競技終了後のオーサーの談話です。 世界フィギュア談話(2013年3月16日 時事ドットコム)より

◇結弦を誇りに思う
ブライアン・オーサー・コーチ 結弦を誇りに思う。(けがなどで)難しい数週間だったが、よくやり遂げた。
来季は健康を保つことが大事。日本が(五輪枠を)三つ取れたのもよかった。


結弦を誇りに思う ・・・羽生くんのファンも皆同じ想いでしょう。ファンとしても、日本人としても、あなたが誇らしい。今までも大好きだったけれど、一層あなたが好きになりました。オーサーが日本が3枠とれてよかった・・・と言っているのは、枠とりに対する羽生くんのプレッシャーを強く感じとっていたからでしょうね。 


エキジビションは辞退。彼の演技は観たかったけど、ホッとしました。4月の国別も欠場濃厚でしょう。6月・東京の「アートオンアイス」に出場予定になってます。権威あるショーですが、できればキャンセルしてほしい。今季も、カナダと日本の往復だけでも負担なのに、アイスショー出場しすぎでしたよね。来季は大事な五輪シーズン。まず怪我を完全に治して、資本である身体のケアを第一に考えてほしいです。

誰もが認める才能・・・若い彼に足りないものは強い身体と経験だけ。体質的に弱いのはどうしようもないこと。それをどうコントロールしていくか・・・これは経験を積んで学んでいくしかない。今回の体調管理とピーキングの失敗も、羽生くんなら、きっと次への糧にしてくれると信じてます。

考えたくないけど、無理をしすぎて左膝が悪化してるのは確か。精密検査をカナダで受けるのか、日本に帰国して受けるのか・・・オーサーはカナダでの治療をすすめているようですが、羽生くんは日本に帰りたいようです。言葉の問題もあるので、日本で治療したい羽生くんの心情も理解できるのですが、自分の目の届くところにおいておかないと心配というオーサーの気持ちが痛いほどわかります。今回の左膝の怪我も、オーサーがいないときに、無理な練習をしたのが原因・・・とも言われているので。羽生くん、監視してないと無茶するからなあ・・・。

サラッと言ってるようですが、羽生くんのこの言葉・・・何気に重かったです。

高校3年間を「特急電車のように駆け抜けてきた。友達? あんまりいないんです。有名になって人が集まってくるのが嫌でした」と振り返った。

私、羽生くんは注目されるの好きな子かな?と思ってましたが・・・それもいいことばかりじゃないですよね。そう、有名になったからってだけですり寄ってくる人はロクなもんじゃないのよ(笑) でも、羽生くんみたいに客観的に物事をとらえる冷静な子は、有名になればなるほど、反対に孤独になっていく部分もあるんだろうね。日本より雑音の少ないカナダでじっくり治療をした方が・・・と思ったりするけど・・・やっぱり帰国かな。

まだまだ胸の中に燻った想いがあるのですが、キリがないので、このへんで。最後に、羽生くんの世界選手権の写真を何枚かUPしておきます。

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公式練習

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ショートプログラム

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SP後、泣いちゃいましたね(涙) ゆづの涙を拭ってあげているのはウィルソン・・・かな? 

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フリープログラム

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フリー演技終了後

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2013/03/19 09:20 | 世界選手権COMMENT(10)TRACKBACK(0)  TOP

KISS&CRY 氷上の美しき勇者たち(2013年4月18日号) 感想

TVガイド北海道臨時増刊 KISS&CRY~氷上の美しき勇者たち 日本男子フィギュアスケート TVで応援! BOOK(4月18日号)TVガイド北海道臨時増刊 KISS&CRY~氷上の美しき勇者たち 日本男子フィギュアスケート TVで応援! BOOK(4月18日号)
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【内 容】
ソチ冬季五輪まで1年。男子フィギュアスケート日本代表の座は誰の手に!?
全国のスポーツファン・フィギュアファンが熱く見守る2013年世界選手権日本代表の高橋大輔・羽生結弦・無良崇人の3選手。美しくも激しい熱戦を魅せる2013四大陸選手権・大阪での 美しくも激しい戦うその姿を60ページ超のグラビアでお届け。その卓越した技を持つアスリートとしての彼らの魅力を存分に伝えます。
2013四大陸選手権・2012全日本選手権 3人が起こした奇跡 橋大輔・羽生結弦・無良崇人 超ボリュームグラビア 名言集・衣装・オフショットつき/華麗かつダイナミック! 日本・世界の男子選手たち/どうなる?日本男子フィギュアの未来予測/2013世界選手権ほかテレビオンエアスケジュールほか



世界選手権まであと1週間を切り、今シーズンもいよいよ大詰めですね。今月から来月の中旬にかけて、フィギュアスケート専門誌が怒涛のごとく(?)発売されますが、この本も、その中の1冊です。スケート専門誌はわりと高価で、1900円近くするので、980円という価格は比較的手にとりやすいものです。正直、どうしようか・・・と迷ったのですが、1000円切る価格が魅力だったので買ってみました。


kiss cry  裏表紙はこんな感じ。オーサー役得(笑)

感想としては、買ってよかったと思います。表紙は高橋選手、裏表紙はオーサーとハグするゆづ・・・ですが、どっちが表紙といってもいい感じですね。特集ページは二人とも22ページで、そのほかの写真も、両方のファンに気を使ってるのか?と勘ぐりたくなるほど不公平のないページ配分になっています(笑) 写真のチョイスがなかなかいいですね。特に、羽生くんの「へ」ポーズの見開き写真は本当に素敵です。

羽生くんと高橋選手、どちらかのファンなら買っても損はないのではないかな。1900円するような専門誌でも、一人の選手になかなかこれだけページ数を割いてはくれませんから。二人とも好き!という人なら絶対買い。ただし、アマゾンのレビューでも評価が分かれているように、記事本文はネットでも拾える程度のお粗末な内容・・・立ち読みレベルです。ここで、こんなことが書かれていた!と特筆するほどのこともないです(笑) なので、写真集またはファンブックと割り切るべし・・・ですね。とりあえず、写真はいいと思うので(笑) そのほか、無良選手の特集ページは6ページほどありました。

巻末に1985年からのメダリストヒストリー(ワールドと五輪)の一覧がありました。プレ五輪のワールドの成績と五輪との相関関係がよくわかり、なかなか興味深かったです。今年のワールドの表彰台、特に金・銀あたりが、来年の五輪のメダルの行方を占う大きなカギになりますね。

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2013/03/09 08:55 | スケート書籍感想COMMENT(5)TRACKBACK(0)  TOP

2013年2月の読書メーター

2月の読書メーターをUPします。

内訳は、小説7冊、漫画4冊、雑誌1冊、一般書籍1冊、同人誌2冊。

15冊・・・2月は、四大陸選手権はあったし、アイスショーは観にいくし、旅行はいくしで、遊び倒していたので、こんなものでしょうね。どうしてもブログを始めた頃と比べてしまうので、毎月「あまり読めてないな~」と思うけれど、読むペースは明らかに落ちてるので、15~20冊くらいが最近の平均なんですよね。

「どうしても触れたくない」以来、4年ぶりにヨネダコウさんが2冊コミックスをだされました。
これが2冊とも★5で、期待以上でした。次のコミックスはあまりブランクが空かないことを祈ります。

オリジナル登録本は、以下の2冊でした。

ORANGE : 樹生かなめ 2012年冬コミ新刊
Re : From KISS & CRY with love : 小塚佳哉 2010年夏コミ新刊



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