G2 vol.17 ~最強コーチ集団「チーム・ブライアン」と羽生結弦 オリンピック連覇への挑戦~

G2 vol.17 2014.SEPG2 vol.17 2014.SEP
(2014/09/17)
講談社

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存在すら知らない雑誌でしたが、「最強コーチ集団『チーム・ブライアン』と羽生結弦、オリンピック連覇への挑戦」という、わずか22ページほどの記事が読みたくて、320ページ程のこのぶっとい雑誌を買いました。二段組みとはいえ、カラー写真があるわけでもなく、1200円(税別)という価格から考えるとコスパはかなりく悪くみえますが、それでも後悔しない程度には読み応えのある記事でした。それにしても、アマゾンでは、古い号が沢山売れ残っているというのに、この17号は発売後ソッコーで売り切れておりました。このマイナー誌を即日完売させてしまう結弦くん効果は恐ろしいですね・・・(笑) 発売から1ヶ月遅れになりますが、感想をメモしておきます。

ライターはスポーツジャーナリストの野口美恵さんです。結弦くんがオーサーに師事したのは、2種類の四回転ジャンプを飛べるハビくんがいたのが大きな理由ですが、最初にクリケット・クラブに興味を抱いたきっかけは、野口さんが「ワールド・フィギュア・スケート NO.50」で書いたクリケット現地レポートだとも言われています。

この野口さんの取材記事を読んで、あらためて、結弦くんにとって、オーサーとの出会いがどれほど大きいものだったか・・・と実感しました。もちろん、金メダルをとれたのは、結弦くんの非凡な才能と努力があってのこと。オーサーとて魔法使いではないので、才能もなく努力もしない生徒を強くすることはできません。
しかし、コーチと選手には相性という問題もあります。結弦くんとオーサーの出会いが運命的なものだったと思えるのは、オーサーの指導法が、結弦くんの性格にまさしくぴったり合っていたからです。

オーサー自身、金メダル候補の選手として、二度にわたりオリンピックに出場した経験をもっています。そして、コーチとしてもオリンピックを経験し、教え子を金メダルに導いている。これは大きい。有名コーチは他にもたくさんいるけれど、トップ選手、コーチ・・・その両面からこれだけオリンピックを知り尽くし、実績をあげた人物はあまりいないはずです。結弦くんが初出場のオリンピックをあれだけいい状態で臨めたのも、オーサーのメンタルコントロールやピーキングの指導なくしてはありえなかったでしょう。大本命だったパトリック・チャンが金メダルを逃した大きな原因はピーキングの失敗だと言われています。チャンのコーチはオリンピック経験がありません。実力だけではだめ。戦略なくしては勝てないのがオリンピックなのです。

また、戦略家としての顏をもちつつも、オーサーが人一倍弟子思いのコーチだというのは有名です。典型的スペイン人で、朝なかなか練習にでてこないハビくんを家まで迎えにいって、朝ご飯も食べさせた・・・という逸話もあるほど。そんなオーサーだからこそ、普通だったら、コーチを替えてオリンピックをめざすなら4年かかるところを、ずっと話し合い、結弦くんのことを理解する努力をしてくれて、わずか2年で最高の結果に結びついたのでしょう。「(金メダルを)ブライアンが喜んでくれたのが一番嬉しかった。本当にブライアンに感謝している。」という結弦くんの言葉は、オーサーにとって最高のプレゼントなのではないでしょうか。

結弦くんとオーサーは、これからまた4年間ともに戦っていきます。その一歩としての今シーズン。
これからの課題はスケーティングや表現の強化。二人は計画をたてました。ショートプログラムは、新しい演技の持ち味を磨くような選曲。そして、フリープログラムは、技術的に難しくするかわりに、本人が滑りたい曲を選ぶ。その結果選ばれたのが、「バラード一番」であり「オペラ座の怪人」だったわけです。

このフリーのジャンプ構成が恐ろしい。まだ計画段階とはいえ、「3A-1Lo-3S」「3A-3T」「4T-3T」を後半に入れる鬼構成・・・これで昨シーズンよりジャンプの基礎点が7~8点上がるらしい。しかし、昨シーズンでも、基礎点は全選手中2位の74.72(1位は76.92のレイノルズ選手)。結弦くん、あなたはもう人間をやめるのですね(笑) でも、怪我したら元もこもないので、あまり無理しないでほしいのがファンの本音ですが・・・。

オリンピックチャンピオンが、さらに4年間、一度の休養もせず、全力疾走でオリンピック連覇を狙うという前代未聞のことをしようとしています。そんな中、「大丈夫。ユヅルは、スターになりたいんじゃなくて、練習と努力が本当に好きだからこそスケートをしてる子だからね。」というオーサーの言葉がとても頼もしく感じられました。


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テーマ : フィギュアスケート - ジャンル : スポーツ

2014/10/16 08:15 | 2014-2015 seasonCOMMENT(7)TRACKBACK(0)  TOP

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