『羽生結弦の扉-ボストン世界選手権秘話』(オール讀物7月号) 感想
今月、宇都宮直子さんによる二つのコラムが話題になっています。
■オール讀物 7月号 文藝春秋 \980 2016/6/22発売
>羽生結弦の扉 宇都宮直子
>世界選手権での激闘秘話と、青年の新たなる挑戦を描く
■SPUR 2016年8月号 2016/6/23発売 \760 ※電子書籍版もあり
連載コラム「宇都宮直子のスケートは人生だ」
世界選手権の羽生結弦選手リポートの続編
「SPUR」の方は、書店で立ち読みですませましたが、「オール讀物」は行きつけの図書館においていたので、じっくり読むことができました。なので、「オール讀物」の感想を、簡単に書いておきます。 オール讀物 7月号
爽快な四回転ジャンプやトリプルアクセルを跳ぶ。美しいスピンを回る。
クラッシック曲が似合う、芸術性の高い選手。
端整な顔をしている。日本的な顔だが、小さな顔は西洋的。
スタイルがいい。手足が長く、欧米の選手らより恰好いい。
性格は気が強い。半端なく強い。
いろんな意味で頭がいい。二十一歳にしては、たくさん言葉をもっている。
これまで、何人かのライターさんが、「羽生結弦」を語ってきましたが、容姿も含めて、これだけ手放しの羽生賛辞から始まったコラムは読んだことがありません。宇都宮さん、羽生ファンですか?(笑)
もっとも、これらの賛辞の言葉は、ファンからすれば今更というか、”当たり前の事実”ではあるのですが(笑)、スポーツ誌ではなく、「オール讀物」ということで、あまり「羽生結弦」を知らない読者もいるかもしれない・・・という前提で、こんなに丁寧に説明してくださっているのでしょう。また、「羽生結弦」を知るための最高の演技として、宇都宮さんはNHK杯のショートとフリーを勧めておられました。私も、ショートは、ファイナルの方が好きですが、フリーはNHK杯かなと思います。
さて、本題は「ボストンで何があったのか」ということです。
シーズンの比較的早い時期から始まった足の痛みは、今年に入ってからますます悪くなり、特に1月は痛みがひどく、世界選手権出場も危ぶまれていた・・・という事実。年明け早々から、彼はアイスショーに出演していました。大阪で開催された「ニュー・イヤーズ・オン・アイス」は、私も現地で観ましたが、そのときは、四回転ジャンプも決まっていて、調子の悪さを感じさせなかったのですが・・・。後から、痛み止めを打って出演していたと知って、そんな状況で、なぜ断らなかったのか・・・と、愕然としたものでした。
世界選手権では、ショートはなんとか乗り切ったものの、その後、左足がひどく腫れ上がり、フリーでは棄権してもおかしくないような状態だったのですね。彼は、気力だけで戦っていた。「靴を履いてしまえば、なんとかできる」と。
敗因については、多くを語らなかった。その様子は、いかにも羽生結弦らしかった。
彼はすごく悲しんでいた。でも、何も諦めていなかった。
同様にボストンワールドの舞台裏を書かれていても、「SPUR」の方がより具体的で生々しく、こちらの方が比較的ソフトな感じは受けました。それでも、読んでいて辛いものがあります。
「ワールドフィギュアスケート46」のインタビューで、シニアデビューした結弦くんはこんなことを言っています。
一度勝った相手に負けるのは、自分が否定された感じがする
だから、今の彼にとっては銀も負けなのです。なぜなら、彼は一度頂点に立ってしまったから。
「SPUR」で、城田さんが「羽生にとっては、銀は負け」だと言っていたのはそういうこと。
今、古いスケート誌から、彼のインタビューを中心に資料作りをしているのですが、とても興味深いものがあります。今なら「一度勝った相手に負けるのは、自分が否定された感じがする」なんて、とりようによっては傲慢に見える言葉は、もう立場上言わないかもしれない。でも、羽生結弦の本質は変わらない。ジュニアの頃から一貫してる。過去の彼を追っていると、それがすごくよくわかります。
羽生はトロントにいる。左足はゆっくりと回復している。ただ、「完全に」とはいかない。まだ、時間が要る。
織田さんも言ってましたが、焦らなくていい。彼のポテンシャルなら、戻すのはそんなに時間はかからないでしょう。練習映像で、すでにスケーティングは戻っている。元の「羽生結弦」に戻れるまで、ファンはいつまでも待っています。
練習できない日々の中、彼は始終、音楽を聴いている。羽生は、来シーズン、ショート、フリーともにプログラムを一新する。そのための音楽を探しているのだ。
プログラムのための音楽探しは、むしろ今まで以上に時間をかけられたことでしょう。「バラード一番」や「SEIMEI」以上のプログラムを携えて、私たちの前に、元気な姿を見せてくれるときまで・・・今は、そのときを、楽しみに待ちたいと思っています。
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2016/06/30 13:00 | 2015-2016 season | COMMENT(1) | TRACKBACK(0) TOP