羽生結弦を撮るフォトグラファーたち <田口有史>
「羽生結弦を撮るフォトグラファーたち」・・・今回は、田口有史さんについてです。
前回の記事はこちら → 羽生結弦を撮るフォトグラファーたち <坂本清>
田口さんの、”羽生結弦に関する”紙媒体でのお仕事で代表的なのは、次の2冊かな。
枻出版社の「フィギュアスケート ベストシーン」シリーズは、現在まで2冊刊行されてます。
1冊目も2冊目も、写真担当は、田口有史さんと能登直さん。結弦くんのパートについては、
ベストシーン → 能登さんと田口さん、半々
ベストシーンⅡ → 田口さんオンリー
こんな感じですね。なので、ベストシーンシリーズのゆづ写真は、今のところ田口さんが多い。
「ベストシーンⅡ」発売してる枻出版社のサイトにある、田口さんの「羽生評」です。
「ベストシーンⅡ」に掲載されてる、「フォトグラファーズアイズ」の文章が転載されてます。
【メンタルはイチロー以上!?】スポーツカメラマンがファインダー越しに感じた羽生結弦の強さ
300点を大幅に上回る世界最高得点を記録するなど、2015/16シーズンの羽生結弦選手はさまさに異次元の強さだった。メジャーリーグやサッカー、ラグビーなど世界のスポーツシーンを撮影しているフォトグラファー田口有史氏から見ても、羽生選手は特別なアスリートだという。多くのトップアスリートを撮り続けてきた田口氏は、羽生選手の強さの真髄をファインダー越しから感じ取っていた。時には“モンスターだな”と思うほどの圧倒的な演技で世界中を魅了してきた羽生選手の15/16シーズンを振り返ってもらった。
メンタルの強さはイチロー選手より上かも
「ソチ五輪で金メダルをとった直後よりも、15/16シーズンは完全に突き抜けたかなと。NHK杯とグランプリファイナルは本人も乗っていたと思いますし、それは僕らが見ていても感じました。もう異次元の世界で、演技が終わった瞬間に『モンスターだな』と思いました。写真を撮っていると細かい技術は見えないので雰囲気を受けるしかないのですが、アスリートとして鬼気迫るものがありました。テレビなどではニコッとしているイメージがありますが、競技場では神がかっている雰囲気。個人競技の選手である羽生選手が期待を背負いながらもあんな演技ができるのは、すべてのアスリートの中でトップクラスのメンタルの強さ。もしかしたら、イチロー選手よりも上なのでは、という気がします」
世界選手権のフリーでは久しぶりに人間っぽい姿に
NHK杯で322.40点、続くグランプリファイナルでは330.43点と、前人未到の得点を記録して迎えた世界選手権。ショートでの出来栄えを見て、田口氏も「ひょっとするとまた世界最高点を更新するんじゃないか」という高揚感があったという。
「世界選手権では、殺気立っていた練習後のショートでいい演技をしました。殺気が、精神的にうまい方に転んだのかもしれませんが、偶然だとしても、それをやり切ったのはやっぱりすごい。これはまた勝つのかな、という勢いで臨んだフリーでしたが、ミスの多い意外な出来栄えで、久しぶりに羽生選手が人間っぽくなっていた印象を受けました。フリー本番のリンクは氷の状態がよくは見えませんでしたね。羽生選手はそれを言い訳にはしないでしょうけれど。加えてものすごいプレッシャーと緊張感があったはずです」
【メンタルはイチロー以上!?】スポーツカメラマンがファインダー越しに感じた羽生結弦の強さ
田口氏曰く、フィギュアの写真は被写体に影響する部分が大きく、被写体の力と自分の考えがはまった時はすごくいい写真が撮れるという。「特にフリーは撮りどころが満載で、とりあえずなんでも絵になる感じ」と田口氏。『FIGURE SKATING BEST SCENE(フィギュアスケートベストシーン)2』ではそんな珠玉の一瞬がたっぷりと掲載されている。これらの写真から羽生選手の15/16シーズンがいかに充実したものかきっと感じることができるだろう。
「メンタルはイチローより上なのでは」と、そのメンタルの強靭さを称賛する田口さん。
確かに、結弦くんのメンタルの強さは周知の事実で、試練のたびにさらに強くなっている(笑)
でも彼とて人間。100%強い成分だけでできてるわけがない。たまに弱さを垣間見せることがある。
結弦くんの親友の指田フミヤさんが、「Love! フィギュアスケート」の中でこう言ってます。
テレビなどから見る結弦の姿の多くは、活躍しているところ。でも、実際には一人の人間なので強い部分もあれば弱い部分もある。オンオフでいえば僕に見せてくれてるのは、オフ中の超オフ(笑)。その弱いときの彼がとても人間くさくて大好きですね。オリンピックの金メダリストになって、スターへの階段をどんどん上がっていますが、彼は”羽生結弦”であることを忘れていないと感じられます。弱音も吐くし、愚痴もいう。メンタルが強いと言われていますが、元からそんなに強いわけではないと思っていますよ。ただ、スケートと真摯に向き合って、毎日必死で努力を重ねている。その努力でみんなが言う”強さ”を支えているのだと思えます。
最近で、一番結弦くんの中の”弱さ”を感じたのは、世選後に放送された「情熱大陸」ですかね。
「強くあらねばならない」という固い甲羅の下の、すごく繊細で柔らかい部分を垣間見せていた。
でもねえ・・・指田さんの言うとおり、そういう人間らしい弱さや脆さを感じさせるときの羽生結弦は、さらに魅力的なんですよ、困ったことに(笑)
少し話が脱線しました。話を戻します。田口さんは「天と地のレクイエム」がお気に入りだそう。
「ベストシーンⅡ」での、田口有史さんのこんなコメントが印象的でした。
『天と地のレクイエム』がとても好きです。祈りや思いを表現しているプログラムの中で
天にいる人たちへの視線を思わせるシーンが、深い海のような青い照明を背景にとれました。
「言葉がいらない、演技の全体を見て感じとれば思いが伝わるプログラムだと思います」とも。
「レクイエム」の”羽生結弦”は、天空に召された人たちへの、地上に残された人々の想いそのもの。
大切な人を失った人々の絶望と悲しみ。哀悼の想い。もがきながら、再生への希望を見つけていく。
そこには、結弦くんの自らも被災者であった経験と、被災地の復興への願いが重なっています。
アイスショーの暗い会場に照らし出すライト。そこに、宝石のようなきらめきをまとって氷上を舞う。
「レクイエム」は、衣装の効果まで計算されつくした、素晴らしい芸術作品だと思います。
そう、言葉などいらない。田口さんの「レクイエム」評には、とても共感するものがありました。
結弦くんの写真集を手掛けたことで、スケオタに有名になった能登さんを起用してるとはいえ、「ベストシーン」シリーズは、よくある「ゆづ本」ではなく、特別に羽生成分が多いというわけではありません。よって、どこをターゲットにしてるのかわかりずらい部分もあるのですが、好評ならば3冊目もでるでしょう。このシリーズは、今後も能登さん&田口さんコンビでいくのかなと思います。
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2016/09/12 11:00 | アーチスト・裏方・メディア | COMMENT(0) | TRACKBACK(0) TOP