羽生結弦とフェルナデス 勝敗を分けたもの

今回のワールドでの事件は、もちろん、結弦くんの世界最高得点での大逆転劇ですが、もうひとつは、ワールド二連覇中のハビくんが表彰台を逃したことではないでしょうか。彼は2013年から4年連続で表彰台に載っています。表彰台を逃したのは、2012年のワールド以来です。

これはショートが終わったときの、東スポの記事です。杉爺のコメントがあります。

【フィギュア世界選手権】羽生まさかのSP5位発進 男子に地殻変動か(2017.3.31 東スポweb)

【フィンランド・ヘルシンキ30日発】フィギュアスケートの世界選手権2日目、男子ショートプログラム(SP)が行われ、ソチ五輪金メダルの羽生結弦(22=ANA)は98・39点でまさかの5位発進となった。3連覇を狙うハビエル・フェルナンデス(25=スペイン)が羽生の持つ歴代最高点(110・95点)に迫る109・05点で首位に立つなど、上位の4人は揃って自己ベストを更新。進化が止まらない男子フィギュア界で“絶対王者”が取り残されてしまうのか。来年に迫った平昌五輪への見通しは――。

「非常に悔しい。何でこんなにも経験が生かされないかなと…。ふがいない気持ちでいっぱい」。SPの演技を終えた羽生は「悔しい」「ふがいない」という言葉を何度も繰り返した。

 最終グループの1番手となったこの日は直前の6分間練習から表情に気合がみなぎっていた。演技が始まると冒頭の4回転ループを完璧に成功。ジャッジから2・43点の加点を引き出した。

 しかし、4回転サルコーからの連続ジャンプでミスが出る。サルコーの着氷でヒザをつき、そこから強引に跳んだ続く2回転トーループは得点として認められなかった。さらに準備に与えられた30秒以内に演技を開始しなかったとして1点の減点。首位のフェルナンデスとは実に10点以上の差がついた。

 現地で羽生の演技を見守ったフィギュア解説者の杉田秀男氏(82)は「時計を見たら演技開始が34秒で、らしくないなと思った。ジャンプのミスを除いても、いい時のような見る者を圧倒する迫力に欠けたかな」と印象を語る。

 羽生が本来の力を発揮できなかったのは間違いないが、それでも驚かされるのは5位という順位。調整途上のシーズン序盤ならまだしも、これまでなら多少のミスはあっても、順位のうえでここまで大きく出遅れることはなかったからだ。

 首位のフェルナンデス、2位の宇野昌麿(19=中京大)、3位のパトリック・チャン(26=カナダ)、4位の金博洋(19=中国)が自己ベストをマークしたなかでの5位発進は、力関係の変化を感じざるを得ない。

 平昌五輪へ向けて“黄信号”が点灯したのか。しかし、杉田氏は「SPはエレメンツが少ない分、1つのミスが大きく響く。順位は5位でも、羽生はミスがあっても98点台と点数は出ている。トップ選手が皆、1年後の平昌五輪を見据えているなか、羽生はよりその意識が強いように見える。今の失敗、今の順位はうのみにできない」と分析する。さらには「羽生のミスで後の選手(宇野、フェルナンデス、チャン)は精神的に楽になったと思う。フィギュアには“演技順の妙”というのも少なからずある」と続けた。現状では全く心配はいらないということだが…。

 今大会も、まだ巻き返しの機会が残っている。杉田氏は1日のフリーに向け「多少のミスがあっても取り返せるのがフリーだし、それをできるのが羽生。10点差は大きいようで、決して逆転不可能な差ではない」。羽生はフリーも最終グループの1番手。今度は高得点で後続にプレッシャーをかける展開となるのだろうか。



多少のミスがあっても取り返せるのがフリーだし、それをできるのが羽生。10点差は大きいようで、決して逆転不可能な差ではない・・・杉爺の予言、的中です!(笑) 
そしてもうひとつ。トップ選手が皆、1年後の平昌五輪を見据えているなか、羽生はよりその意識が強いように見える。今の失敗、今の順位はうのみにできない・・・杉爺は、本当にわかってますね。メディアはすぐ目先の結果だけで煽るけれど、近視眼的な報道ばかりでうんざりします。
Jスポーツでは、いつも専門的、かつ結弦くんに温かい解説をしてくださる杉爺。フジテレビより少し遅れて、Jスポーツで放送がありますが、今回のワールドの杉爺の解説は特に楽しみです。

結弦くんはショートの最終グループ一番滑走でした。結弦くんがミスをして、点数的に出遅れたことは、ほかの選手にメンタル的にはプラスの影響を与えたとは思います。そして、それと真逆のことがおこったのがフリーでした。結弦くんを10点以上離してトップにつけたハビくんが、フリーで崩れたのです。結弦くんはフリーも第一滑走。ハビくんは、最終滑走でした。


フェルナンデス、重圧に屈す=世界フィギュア(2017.4.1 時事通信社)

 フェルナンデスは、もろくも崩れた。SP首位で迎えた最終滑走のフリー。4回転サルコーが連続ジャンプ、単発とも決まらず、その後も3連続ジャンプなどでミスを重ねた。3連覇どころか表彰台も逃し、がっくりと肩を落とした。

 最終組1番手で滑った同じ練習拠点のライバル羽生が、フリーで世界歴代最高点を出した。「彼がどんな演技をしたか分かっていた。あれでプレッシャーが増した」。完璧に近いフリーが求められる状況で、重圧にあらがえず暗転した。



驚異の世界新 羽生に前王者も脱帽「ミスなくこなしたら、彼は無敵だね」(2017.4.2 THE ANSWER)

フリー歴代最高得点で3年ぶりV、前王者フェルナンデス「彼に勝てるのか?」 

フィギュアスケート世界選手権(ヘルシンキ)の男子フリーで歴代最高得点を叩き出し、ショートプログラム(SP)5位から大逆転で3年ぶりVを果たした羽生結弦(ANA)。自身が持つ世界記録を塗り替えたフリーの223.20点は世界に衝撃を与えたが、その大きさはライバルにとっても同じようだ。大会2連覇中だったハビエル・フェルナンデス(スペイン)が「彼がミスなくこなしたら、無敵だね」と脱帽している。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。

 SP1位だったフェルナンデスは最終滑走のフリーで、4回転サルコーで転倒するなど、ミスが出て4位。5人前に滑り、前人未踏のスコアでリンクを支配した羽生とは対照的な結果となり、表彰台に上がることができなかった。世界王者を2年間守り続けたスペイン人は、その座をかつての王者に明け渡した。

 記事では、演技後、インタビューエリアに現れたフェルナンデスの後ろのスクリーンで金メダルを受け取る羽生が映し出される中、なぜフェルナンデスが羽生の代わりにあの場所にいないのか、理由をこう明かしたという。

「誰かに耳元で言われている気分だ。『オーマイゴッド。みんな、素晴らしい演技じゃないか。なんてこった、君が最終走者じゃないか。本当にやりたいのか? 彼は自己新を出したんだよ。彼に勝てるのか?』とね」 

 合計300点超が4人飛び出した空前のハイレベルな決戦。世界新を出し、その争いを制した羽生を手放しで称賛していた。

フェルナンデスに金メダルかけた羽生「メダルが誰に相応しいか、疑問を挟む余地はない」

 もっとも、恐ろしいのは羽生には、まだ可能性を感じさせるところである。合計321.59点をジャンプミスで5位とスコアを伸ばせなかったSPから叩き出したのだから、自身が持つ世界歴代最高330.43点はもちろん、さらに得点が伸びる可能性はある。

 それは、SPの10.66点差をあっさりとひっくり返されたフェルナンデスも感じているようだ。

「もし、彼がショートもロング(フリー)もミスなくこなしたら、思うに彼は無敵だね」

 そう語った記事では、インタビューエリアに現れた羽生はフェルナンデスとハグを交わすと、金メダルをフェルナンデスの首にかけてみせたというが、「しかし、この土曜日に関して言えば、このメダルが誰に相応しいか、疑問を挟む余地はなかっただろう」と結んでいる。

 驚異の世界新をマークしながら、SP、フリーを通していえば“ノビしろ”を感じさせた日本の22歳。前王者の言う通り、完璧な羽生結弦を見せれば、「無敵」の世界王者となるだろう。



ジュニア時代にライバルだったガチンスキーも同じようなことを言ってるようです。
ロシアン・フィギュアスケート・フォレヴァ様よりお借りします。ソースはこちら

フェルナンデスは(フリーで)最終滑走で、それがもちろん彼の心理にも影響しただろう。彼の前の選手はみな良い滑りをして、しかもみんなその武器庫にルッツやフリップがあり、結弦は絶対的に傑出した滑りを見せたのだから。

タイトルを保持するため、あるいは少なくとも表彰台に上るためには、クリーンに滑られなければならないことをハヴィエルはわかっていたでしょう。それが悪い方に働いたのだと思います。自分の最高を見せたいという思いが足を引っ張ったのです。ショートでは震えるくらい素晴らしかった。スペインの色が付いた、とても美しく、スタイリッシュな演技でした。緊張で揺らがなければ、トップ3全員と競えたでしょう。



ハビくんは、ワールド二連覇中。三連覇に強い意欲をしめしていました。
ハビくんのフリーのパーソナルベストは216.41。ノーミスなら同じくらいはでるだろうから、ショートの点差で逃げ切れたでしょう。でも、反対にその意識が緊張を生んでしまった。

追う立場は楽。追われる立場で王者であり続ける難しさ。
五輪金をとったときから、結弦くんがずっと背負い続けているもの。

この重圧に耐えられないから、五輪金とったら引退してしまう。二連覇狙うなんて普通考えない(笑)
怪我だなんだで、ここ2年はワールド銀だったけれど、直近の五輪チャンピオンで世界最高得点をもっている結弦くんは、どうあっても追われる一番手。しかも、メディアからの注目度や騒がれ方もハンパじゃない。四大陸選手権のアメリカ(だったかな?)解説で、実況が「彼は、他の選手と違って、メディアに追いかけまわされ、ファンにも追いかけられる。そんな中で、よくスケートをやれるよ」と感心していた。(海外でのインタビューで、「メディアがウザいときある」みたいなこと言ってたみたいですが。外国で、英語でのインタビューだから、つい本音がでたのね・・・笑) そして、そんな中で戦い続けている結弦くんの強さを一番わかっているのは・・・いつも身近で見ているハビくんかもしれない。

確かに2種クワドでも完璧ならば、今のところ、若手はハビくんにはなかなか勝てない。だけど、若手がいい演技をしたら、クワドの数が少ない分、ノーミスしないと、基礎点の差が響いてくる。今回のフリー、得点表をみると、ハビくんは、TESがボーヤンより20点少なく、不調だったネイサンと比べても10点以上少なかった。PCSにアドバンテージがあるといっても、TESに差がつきすぎると今回のように負けてしまう可能性がでてきた。たぶん、結弦くんは、そんな状況を見越して、コーチ陣の反対を押し切って、ループを導入したのでしょうね。

試合が終わった後、結弦くんが、ハビ、オーサー、トレイシーとハグしている映像も素敵でした。
結弦くんは、自分がワールドで優勝を逃したとき、ハビが慰めてくれた言葉をそのままハビにかけたとか。たしか・・・「今回は僕は優勝したけど、僕にとっては君がチャンピオンだよ」だったかしら?(そういう意味をこめて、ハビに金メダルかけてあげたのかな?)
そういえば、今回のワールドはずっとトレイシーがキスクラに座ってましたね。
現地さんから提供されるお写真。リンクサイドの雰囲気も和やかで、ほっこりしました(笑) 

それにしても・・・です。五輪チャンプで二度目のワールド優勝した結弦くんも、ワールド二連覇したハビくんもすごいけど、たった一人で、五輪二連覇中(キム・ヨナ→羽生)、ワールド四連覇中(羽生→ハビ→ハビ→羽生)、ファイナル四連覇中(羽生)、ユーロ五連覇中(ハビ)のオーサーが一番の勝ち組なのかも。こんな幸せなコーチ、もう出てこないんじゃない?(笑)


20170402EX
ヘルシンキに本物の天使が舞い降りたよう。彼を知らなかったら「誰?この美少女」(笑)


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テーマ : フィギュアスケート - ジャンル : スポーツ

2017/04/03 09:20 | 全日本・チャンピンシップCOMMENT(2)TRACKBACK(0)  TOP

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