”Web Sportiva”掲載「鈴木明子が羽生結弦の来季に求めるもの」について思うこと その1
「Web Sportiva」に掲載された、鈴木明子さんの「羽生結弦評」が、少し話題になってますね。
鈴木明子が羽生結弦の来季に求めるもの。「もっとエモーショナルに」(2017.4.27 Web Sportiva)
鈴木明子が「羽生結弦」を語る
羽生結弦選手は「絶対王者」と呼ばれながら、世界選手権の優勝を逃していたことがものすごく歯がゆかったと思います。彼は「勝ちたい」だけでなく、「圧倒的に勝ちたい」人ですから。
2017年2月の四大陸選手権。本人の表情からすると、ショートプログラムが終わるまでは、まだネイサン・チェン選手(アメリカ)や宇野昌磨選手と自分との間には少し差があると思っていたように見えました。今まではミスがあっても勝てましたが、今回は「もう、そうではない」と実感したのではないでしょうか。ショートプログラムが終わって目の色が変わりました。結果的に総合でもネイサン選手に敗れたことが、世界選手権の優勝につながりましたね。四大陸選手権は羽生選手にとって、ターニングポイントになったのではないでしょうか。
2014年のソチオリンピックで羽生選手がチャンピオンになってから、ほかの選手たちは「どうすれば羽生に勝てるのか」をずっと考えてきました。その答えは、「羽生が跳ばないジャンプを跳ぶこと」。彼が持っていない武器をみんなが探してきました。宇野選手もネイサン選手も、世界選手権で表彰台に上がったボーヤン・ジン選手(中国)たちも、羽生選手との差を4回転ジャンプで埋めようとしています。だから、フリップやルッツに挑んだのです。
王座に返り咲いた世界選手権での羽生選手のフリーの演技は、今できる最高のものでした。2016-2017シーズンにいろいろと試したなかで、何を入れて何を省くかの判断は終わったはずです。これからはどこを磨いて、どれだけ完成度を高めるかという作業に入ります。世界選手権でのあの演技が2017-2018シーズンのベースになるでしょう。
羽生選手は並み外れて負けず嫌いなので、「もっともっとすごい演技をしたい」と本心では思っているはず。「4回転アクセルを世界で初めて跳びたい」と本気で考えているかもしれません。しかし、もしケガをしたら大変です。「自分が今、何をすべきか」を考え、情熱的に動きつつも、冷静にまわりを見ています。以前なら「絶対にやる!」と言ったでしょうが、抑える部分が彼の演技にいい作用をもたらしています。
アスリートとしての本能と、勝負師としての冷静さ――。このバランスが取れているから、世界選手権で勝てたのです。10代の宇野選手、ネイサン選手は今後も果敢に新しい技に挑んでくるでしょう。年齢的に考えれば、羽生選手が同じことをするのは難しい。武器をどんどん増やしているのが宇野選手やネイサン選手なら、持っている武器を研ぎ澄ましながら、さらにレベルを上げようとしているのが羽生選手です。彼は武器の磨き方と使い方で勝負することになるでしょう。
宇野選手やネイサン選手の怖いところは、演技構成点でも羽生選手に引けをとらないこと。スケーティングもそうです。だから、羽生選手は彼らを脅威だと認めているのだと思います。
四大陸選手権のショートプログラムが終わったとき、羽生選手がメラメラと燃えているのがわかりました。世界選手権のショートプログラムのあとの苛立った感じもよかったですね。あの表情が見えたときに、「ああ、アスリートだな」と思いました。
3種類の4回転ジャンプ(トーループ、サルコウ、ループ)がきっちり入るプログラムをノーミスで滑ることができれば、羽生選手は別格です。さらに何かを求めるとするならば、もっと感情を入れること。今回、パーフェクトな演技をした世界選手権でのフリーでも、ジャンプ以外をもっとエモーショナルにできるのではないかと思います。
これだけの4回転を入れることの難しさは理解しています。今回の世界選手権の演技もスタンディングオベーションをしたくなる、すばらしいものでした。しかし、もっともっと感情の入った羽生結弦を見たい。ジャンプの技術に表現者としてのエモーショナルな部分を加えてくれることを期待しています。
これまでの3年間、体調を崩すなどいろいろなことがありましたが、人間だから波があって当たり前。だからこそ、彼は強くなったと思います。ありとあらゆる部分が成長していることは間違いありません。肉体もメンタルも強くなり、技術も上がりました。ソチオリンピック前とはまったく違う「羽生結弦」で平昌(ピョンチャン)オリンピックに臨むでしょう。
しかし、チャレンジャーとして迎えたソチと、チャンピオンとして連覇を狙う平昌では、また違ったプレッシャーが彼を襲うはず。本人にとっては苦しいと思いますが、普通の人には絶対に入り込めない領域で、彼がどんな演技をしてくれるのか――。羽生結弦が解き放たれた瞬間を見たいですね。(鈴木明子)
このコラムは、どうやら、一部のゆづファンの反発を買ってるようです。
7割方はそう間違ったことは書いてないですが、確かに、いくつか「?」と感じるところがあります。
引退後の鈴木さんは、現在は、結弦くんとはアイスショーくらいしか接点がないのではないかと思います(そのアイスショーも、昨年のオフは結弦くんは全休でした)。鈴木さんも、原稿依頼がきて、最近接点がないけどなんか書かなきゃいけない、でも、折山さんのように、ライターとして取材してるわけでも、ライターとしてのキャリアがあるわけでもないので、彼女の想像部分と好みがかなり入った、少々説得力に欠ける素人っぽいコラムになってしまったのかもしれません。
鈴木さんは、結弦くんとは、試合やショーで一緒になれば普通に親しいですし、鈴木さんも結弦くんに悪意をもって書いたコラムではないと思います。ただ、彼女の「芸風(?)」から考えて、結弦くんより、高橋大輔さんタイプの演技の方が好みだろうな・・・というのは想像できます。もちろん、人それぞれ考え方や好みはあり、それは自由です。でも、このコラムを読んで、こう思ったのも事実。
日本人のフィギュア関係者は、「自分の物差し」でしかスケートを語れない人が多いなあ。
3月に日本経済新聞で掲載され物議を醸した、高橋大輔さんのコラムを思いだしました。
→ フィギュアの楽しみ ズバリ「色気」こそすべて (2017.3.27 日本経済新聞)
現役時代も今も、”色気”をウリにしているスケーターが「フィギュアは色気だ!!」と主張し、
現役時代も今も、”エモーショナルな演技”をウリにしているスケーターが「羽生選手のホプレガには感情が足りない! ジャンプ以外の、もっとエモーショナルな演技を!!」と、「羽生結弦史上最高の演技」を評価する。
ホプレガは、「旧ロミジュリ」や「SEIMEI」のような、劇場型のプログラムではありません。でも、彼のワールドのホプレガを、「感情が足りない」と評価するフィギュア関係者は、おそらく世界中探しても日本以外にはいないでしょう。鈴木さんのコラムが、一部のゆづファンの反発を買っているとすれば、世界最高得点を更新し、カート・ブラウニングが「夢のスケート」とまで評し、世界中から「伝説の演技」と絶賛されているワールドのホプレガに対してさえ、日本の関係者は、重箱の隅をつつくようなあら探しをするのか・・・と感じるからではないでしょうか。
ホプレガは、「風であったり、木であったり、水であったりを、自然に表現する」プログラム。
「曲に溶け込んでいくような感覚があった」
「風や川の中にドプンと入っている感覚、自然の中に溶け込んでいく感じだった」
演技後、こう語っていた結弦くん。プログラムのコンセプトを、ワールドで見事に完成させたのです。
それでも・・・「感情が足りない」といわれたら、それ以上どうすればいいんでしょうね(笑)
鈴木さんのコラムに関して、もう少し語りたいことがありますが、長くなるので、それは次回に。
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2017/04/27 11:55 | その他(2016-2017) | COMMENT(13) | TRACKBACK(0) TOP