羽生結弦とデヴィッド・ウィルソン その1 ~再タッグの可能性は?~

ソチ五輪の「ロミオとジュリエット」以降、結弦くんはウィルソンと仕事をしていません。
しかし、2016-2017シーズン、EXプログラムで久々にウィルソンの作品を演じました。
さすがウィルソン・・・と羽生ファンを唸らせましたが、その彼について少し語りたいと思います。

もう20日以上前ですが、女性自身にこんな記事が掲載されました。

羽生結弦 パートナーと決別…五輪連覇のため下した苦渋の決断(2017.4.29 女性自身)

「ショートプログラム(SP)に苦手意識が……」と語ったのは、羽生結弦(22)。4月20日の世界国別対抗戦でのことだ。フリープログラム(FP)では1位を獲得したた、SPではミスを連発。世界選手権でもFPで223点超えを記録したが、SP時点では5位発進だった。

そんな異変のなか、彼はある“変革”を進めていた。ひそかにパートナーを変更していたのだ。これまではSPがジェフリー・バトル氏(34)、FPはシェイリーン・ボーン氏(41)が振り付けを担当してきた。特にボーン氏が今年の世界選手権で手掛けたFP『Hope & Legacy』は、前述のとおり世界最高得点を叩き出した。だがフィギュア関係者が明かす。

「羽生選手はこのチームを解散し、新たな振付師たちと金メダルを狙うそうです。SPはバトル氏が続投ですが、FPはデビット・ウィルソン氏(50)の起用が決定的だといいます」

そんな突然の解散劇に、関係者からも疑問の声が上がっているという。だがパートナー変更は、羽生にとっても“苦渋の決断”だったようだ。

「実は、ボーン氏は振付師としてのキャリアがまだまだ浅いんです。彼女は必死に勉強して面白いプログラムを提案してくれるし、一緒にリンクへ上がって演技指導もしてくれます。しかし五輪ではそうした意欲的なプログラムよりも、重厚感のある王道モノが好まれる傾向にあるのです」(前出・フィギュア関係者)

その点、ウィルソン氏は前回のソチ五輪でも羽生選手のFPを担当。『ロミオとジュリエット』を手掛け、金メダルに導いた人物だ。

「彼は振付師として最高ランクと評価されており、勝つための方法を熟知している。羽生選手はかなり悩んだ末、『平昌五輪でさらなる究極演技を見せつけるため、もう一度“最強タッグ”を組まなければならない!』と決断したそうです」(前出・フィギュア関係者)

ソチ以来4年ぶりにカリスマ振付師と夢の再現を目指すことになった羽生。実は、彼はソチ五輪の前にも“コーチ変更”という苦渋の決断を下している。

「幼いころから教えてくれた阿部奈々美氏(47)と別れ、ブライアン・オーサー氏(55)に指導を仰いだのです。たしかに現状を変えることは、リスクでもあります。しかし羽生選手は『現状に甘んじていてはダメだ!』という思いがある。そんな彼だから、トラウマがある今こそ攻めの姿勢を貫いているのでしょう」(別のフィギュア関係者)



五輪シーズンになると、ウィルソンプロが増えるという人がいます。ソチ五輪でも、男子シングルの金と銀はウィルソンの振付だったし、女子シングル銀もウィルソンプロでした。やはり、勝負のシーズンは、信頼と実績のウィルソンに・・・ということでしょうか。ボーンが世界最高得点のプログラムを生み出し、超一流の振付師の仲間入りをしたといっても、もし振付師のランクというものがあるとすれば、ウィルソンの方が、ボーンよりランクは上ではあるでしょう。

しかし、「チーム・ブライアン 300点伝説」(P103)の中で、オーサーは、この記事と真逆のことを言っているのです。「ジェフとシェイ、この2人以外と組むのは難しい」と。

ユヅルの場合、ショートの振付師ジェフリー・バトルと、このシェイ=リーンの2人との相性がとてもいいことがすでにわかっていました。むしろ、この2人以外と組むのは難しいでしょう。ユヅルには、彼独特のジャンプへの助走と構えのタイミングがあり、そのユヅルにとって快適なタイミングをとても重要視しています。ステップからの四回転だとしても、そのステップのスピードやカーブの角度は、結弦の中で理想が確立されています。こういったトップ選手ならではの”こだわり”を共有できる振付師でなければなりません。

振付師には、自身が芸術家肌で、選手の動きよりも振付師としてのインスピレーションを優先するタイプがいます。そのほうが最終的には芸術的な作品に仕上がるケースがあるのは事実です。しかしユヅルの場合は、彼自身が自分の感性を大切にしていますから、自分が自然に呼吸をし、音楽に気持ちを乗せて滑る必要があります。そういう意味で、シェイ=リーンは、ユヅルの動きを理解できますし、ユヅルもシェイ=リーンが試す動きを理解できるので、最高のコラボレーションが生まれるのです。



この「自身が芸術家肌で、選手の動きよりも振付師としてのインスピレーションを優先するタイプ」というのは、ウィルソンのような振付師のこと。ウィルソンが手掛けた、2016-2017シーズンのEXプログラム「ノッテ・ステラータ」の格調高さをみると、オーサーが「そのほうが最終的には芸術的な作品に仕上がるケースがある」という意味がよくわかります。事実、結弦くんは、「自分の魅力を表現しきれた曲」として「ノッテ・ステラータ」をあげています。


羽生結弦、66年ぶり五輪連覇に「プレッシャーは感じなくはない。でも楽しい」(2017.4.5 スポーツ報知)

 世界選手権での逆転Vから3日。注目が集まる平昌五輪イヤーの来季のプログラム曲について「まだ決めていない」としたが、ベスト・オブ・ユヅのプログラム完成へ熟考を重ねていく。
 「来季は本当に慎重に考えなくてはいけない。いろんな曲を聴いて、ジャンプやステップやスピンを合わせたうえで、どれが一番自分の魅力を引き出すか。勝負の年になるので、自分の魅力、曲の魅力が確実に出るものじゃないといけない」

 今季はショートプログラム(SP)の「レッツ・ゴー・クレイジー」で新境地を開拓した。羽生自身が考える羽生の魅力を表現しきれた曲は、ジャンプを2本に絞り、表現に特化した今季エキシビションの「ノッテ・ステラータ(星降る夜)」と、ソチ五輪SPの「パリの散歩道」。「たくさんのみなさんの胸の中に残っていると思う。そういったものにしたい」と話した。

 今季のフリーは4回転4本の構成に挑んだ。「シーズンが終わったらいろんなジャンプを試してみたい」とし、フリーでの4回転5本も視野に入れているが慎重な姿勢は崩さない。「これ以上(スケート界の)レベルが上がるというのは考えられない。世界選手権の延長線上に平昌五輪のシーズンがあるのかなという感じ」。完成度を突き詰めていくことにも重点を置く。



結弦くんは、2015-2016シーズンの終わりに、好きなプログラムをあげてました。たしか、「旧ロミジュリ」と「バラード一番」と「SEIMEI」、あと「Sing Sing Sing」じゃなかったかしら? 今シーズンの「ホプレガ」も、自ら選んだ曲。お気に入りのプログラムのひとつになったと思います。でも、「好きなプログラム」と「自身が考える羽生の魅力を表現しきれた曲」・・・この二つの質問と回答の違いでわかったこと・・・それは、彼にとって、その両者は別ものなのだということです。
 
ここ3シーズンは、彼は「好きなプログラム」を選んできた。自分で曲を選び、ときには曲の編集にすら関わった。でも、五輪シーズンは、「自分の魅力を最大限に引き出せるプログラム」をぶつけてくるでしょう。五輪連覇のための「勝負プロ」として。

シェイ=リーンの振付でフリーの世界最高得点を3度も塗り替えているし、オーサーの言葉からも、振付師の変更の可能性は低いと思う。それでも、万が一変えるとすれば、女性自身の記事のとおり、ウィルソン一択でしょう。ジェフとウィルソンとのタッグでソチで金メダルをとっている。縁起を担ぐ可能性もまったくゼロとは言い切れない。3年ぶりにウィルソンにプログラムを発注したこと自体、五輪シーズンに向けて、振付師変更の試金石だった・・・という可能性も否定しきれない。

ネックがあるとすれば・・・ウィルソンみたいな芸術家肌の振付師は、自分のプログラムの構想やイメージを、選手が勝手に変えることを嫌います。ローリーもそういうタイプですね。でも、ジェフやシェイ=リーンは、そのあたりが柔軟。そして、結弦くんはわりと変えちゃうタイプです。だから、オーサーは、バトルとシェイ=リーンとの相性がいいといってるのだと思います。「ノッテ・ステラータ」も、シーズンを追うごとに微妙に変わっていったけれど、たぶん、初演がウィルソンのイメージに一番近かったのではないかなあと思うので(笑)  あともうひとつは、この3年ほどのブランクでしょうか。相手のことを熟知している方が、よい作品ができるのは確かですから。

この女性自身の記事は、立ち読みしましたが、結弦くんのすぐあとに浅田真央さんの記事も載っていました。ろくに取材をせずに妄想だけで書いたような記事だったので、それを考えあわせると、結弦くんのパートナー変更の記事も信ぴょう性は低いと思います(笑) 個人的には、このままシェイ=リーン続行が濃厚だろうと思ってますけど、ここしばらく一緒に仕事をしていなかった結弦くんに、エキシビションにも関わらず、あれだけの力作を提供したことを考えると、ウィルソンにも多少色気があるのかな・・・と思わないでもありません(笑)

今日はこのへんで・・・。「その2」は、「デヴィッド・ウィルソン 羽生結弦を語る」です。


2017worldex
このプログラムは、影まで美しかったですね・・・。


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テーマ : フィギュアスケート - ジャンル : スポーツ

2017/05/20 09:20 | クリケット・プログラム・CS(2016-2017)COMMENT(10)TRACKBACK(0)  TOP

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