羽生結弦を撮るフォトグラファーたち <高須力>
「羽生結弦を撮るフォトグラファーたち」シリーズ(笑)4回目です。
過去の3回は以下のとおり。興味のある方は過去記事まで飛んでください。
羽生結弦を撮るフォトグラファーたち <坂本清>
羽生結弦を撮るフォトグラファーたち <田口有史>
羽生結弦を撮るフォトグラファーたち <伊藤彰紀>
今回は、高須力さん。文・取材はいとうやまねさん。いとうさんは、人気コラム「プログラムに秘められた物語」で有名なライターさんですが、最近はVICTORYのコラムで活躍されていますね。
結弦くんの部分のみ抜粋。全文はこちら
https://victorysportsnews.com/articles/4511/original
スポーツ写真家・高須力が描く『フィギュアスケート写真』の世界(前編)
(VICTORY 2017.7.10 文:いとうやまね)
アスリートの見せる情熱や興奮、その躍動感や静寂を追い求める写真家・高須力。様々なスポーツ誌の表紙や巻頭を飾る髙須氏の仕事を紹介したい。第一回は、羽生結弦、浅田真央といったトップスケーターに迫った「フィギュアスケート写真」について。第二回は、間もなく開催される写真展に焦点を当て、髙須氏のスポーツ写真哲学に触れる。
人と同じ写真が好きじゃない。
一年かけてひとつのプログラムを表現する感覚
――フィギュア人気で競技会には毎回たくさんのカメラマンがいますが、高須さんの撮る選手はちょっと他とは違う印象があります。
高須 いつも他のカメラマンとは違う瞬間を狙うように心がけています。例えばビールマンスピン(片脚を後方から頭上に伸ばし、その脚を手で保持した状態で行なうスピン)だと、ブレードをしっかりつかんでいるところを撮る人が多いですが、ぼくはちょっと手が離れた瞬間を狙ったりしています。
――Numberの表紙になった『オペラ座の怪人』も仮面を顔に着ける“ちょっと前”です。
高須 あれも、怪人(羽生)がしっかり顔を隠している写真が一般的ですが、ぼくは顔から手が少し離れたところ、顔が半分見えているところを意識しました。性格が捻くれているのか、人と同じ写真が好きじゃないんです。
――やはりNumberですが、昨シーズンのフリー『Hope & Legacy』の写真も、すごく綺麗ですね。
高須 本当のことをいうと、違う瞬間を狙っていました。練習でやっていたちょっとした仕草なんですが、本番にはありませんでした。直前で少し乱れたので抜けちゃったのかも知れませんね。撮影ポジションも最終グループの直前までいろいろ考えて、審査員席の反対側に陣取りました。
昨シーズンのフリーは、ショートの『Let's go crazy』とは対象的に繊細な表現が多いので、写真で表現するのがすごく難しいプログラムでした。昨シーズンはすべての試合を撮影しましたが、写真的には惨敗続きだったので、すごく苦労させられましたね。
――前もって動画などでプログラムの構成を研究するのでしょうか?
高須 見ますよ。もちろん生で練習も見ますし、新しいプログラムは、ここで飛ぶとか、ここで何をするとかチェックします。例えば羽生選手の場合だと“見せ場”があるじゃないですか。それをリンクのどの位置でやるのかは、前もっておさえておきます。どの角度で撮るのがこの技は一番綺麗に見えるのか、とか。
――撮影ポジションは、日本と海外では違うと聞きましたが。
高須 日本だと決められた場所でしか撮れません。海外だと空いていれば客席で撮ってもかまわない国も多いです。だから、年間の撮影スケジュールを考えて、日本で撮れるポジションは外して、違うアングルを優先するようにしています。一年かけてひとつのプログラムを表現する感覚です。
羽生結弦は、羽生結弦という役になり切る
――羽生選手の苦悩はどうでしょう。
高須 どうなんでしょうね。彼はそれすら楽しんでいる気がします。羽生選手の場合は、自分で自分をコントロールしているイメージがあります。自分自身にあそこまで入り込める人って、そういないですよね。映画の役者さんが撮影が始まるとその人になり切っちゃう、そんな感じです。
――興味深いですね。確かにどこまでが素なのかわからない印象はあります。
高須 先輩カメラマンで野球のイチロー選手を撮っている人がいるのですが、「イチローよりも自分に入り込める人って見たことがない」って言うんです。イチローよりも入り込めるっていう部分で、羽生選手は相当凄いかもしれないって。
アスリートって色々あって、例えばサッカーの本田圭祐選手だったら、自分で言って自分を追い込む。そういう人もいるし、モチベーションの持っていき方は人それぞれだと思うんです。羽生選手やイチロー選手は、“自分になりきる”というか。
――役者さんを撮影する感覚になりますね。
高須 写真を撮る方としては、そういうタイプのアスリートを撮るのはすごく楽なんです。いい表情を作ってくれますから、黙っていてもいい写真が撮れる、むしろ撮らされてしまう。それだと面白くないので、本人の想像以上の瞬間を撮ってやろうって変な燃え方をしてます。
コスミック出版の「フィギュアスケートファン」というスケート誌に、よく高須さんの写真が掲載されていました。「フィギュアスケートファン」は綺麗な写真が多くて、私も何冊か購入したことがあります。スケート誌間の競争が激しくなり、最近は刊行されなくなりましたが、いとうやまねさんのコラム「プログラムに秘められた物語」が連載されていたのも、「フィギュアスケートファン」でした。
「役になりきる」・・・結弦くんは、よく”憑依型”のスケーターだといわれます。ファインダーを通して、ずっと被写体を追い続けている写真家の皆さんには、本質がよく見えるのでしょうね。
「黙っていてもいい写真が撮れる、むしろ撮らされてしまう」・・・写真家にとって、結弦くんは最高の素材でしょう。だからこそ・・・。
「本人の想像以上の瞬間を撮ってやろうって変な燃え方をしてます」・・・滅多にない最高級の素材を、どれだけうまく料理するか、そこは写真家としての腕の見せ所。しかも、結弦くんを追っている写真家は、今や相当数いるわけで、「他とは違うものを、他よりもっといい写真を」という競争心も湧くでしょう。そりゃ、燃えますよね(笑)
フォトグラファーの皆さん、これからもどんどん燃えて、結弦くんの美しい写真をどんどん世にだしてくださいね。皆さんのおかげで、ゆづ枯れの季節でも、潤いを補給することができて、とても助かっています(笑)
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2017/07/11 09:55 | アーチスト・裏方・メディア | COMMENT(0) | TRACKBACK(0) TOP