羽生結弦選手 AC2017情報まとめ FS編その2

オータムクラシックのフリーについての記事のまとめ、その2です。
自分用の覚書ですが、まだ未読で興味ある記事がありましたら、どうぞ。


【岡崎真の目】羽生、失敗した後も丁寧な演技 五輪連覇へ“本気”感じる(20170925 スポニチアネックス)

◇フィギュアスケート オータム・クラシック(2017年9月23日 カナダ・モントリオール)

 ジャンプの失敗が目立ち、フリー5位で結果的にはフェルナンデスに逆転を許した羽生だが、演技全体を通して見ると印象は悪くなかった。何より感心したのは、ジャンプで失敗した後も気持ちを制御して、プログラム全体を丁寧に演じきったところだ。

 例えば、静かな曲調で動きを激しくしづらいためレベルは3にとどまったステップ。一つ一つを丁寧に行って、GOE(出来栄え評価)による加点を引き出している。ミスが重なると抑えられがちな5項目の演技点で9点前後を得たことも審判に丁寧さが伝わった証拠の一つではないだろうか。

 改めて確認しておきたいのは、ジャンプはあくまでプログラムの要素の一つにすぎないということだ。これまでの羽生はノーミスの演技の中でもジャンプに焦点が集中し過ぎ、ジャンプ以外の部分に「余白」を感じさせることもしばしばあった。だが、前日のSPも含め、今季は明らかに違う。本気で五輪連覇を狙っていることを感じさせてくれるし、このままの方向性でジャンプの精度が高まれば「凄いことになる」という予感がしている。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)



羽生結弦、まさかの「つまずき」を海外はどう見たのか 「次の舞台」に注目も(20170925 The Answer)

オータムクラシック2位も、例年シーズン終盤に驚異的強さ…王者の輝きはここから

 フィギュアスケートの男子シングル羽生結弦(ANA)は今季初戦となったオータムクラシック(カナダ・モントリオール)で2位だった。ショートプログラム(SP)で自身が持つ世界歴代最高得点を更新しながら、フリーはミスが続いてハビエル・フェルナンデス(スペイン)に逆転優勝を許した。

 羽生はSPで自身が持つ世界歴代最高得点を更新する112.72点をマーク。右膝の違和感がありながら、完璧な演技を披露した。しかし、フリーは一転、ジャンプにミスが相次ぎ、155.52点と得点を伸ばせず。フリー自己ベストに67点及ばないスコアで、合計268.24点で優勝を逃す形となった。

 まさかの失速を海外メディアはどう見たのか。

 米テレビ局「NBCスポーツ」電子版は「ユヅル・ハニュウがつまずき、ハビエル・フェルナンデスが開幕戦優勝を手中に収める」と見出しを打ち、要因について分析している。
「ハニュウはこれまでも似たような体験をしている」と記し、2015年、16年の世界選手権もSP首位に立ちながら、フリーでフェルナンデスに逆転負けを喫し、2位に終わったことを紹介。その上で、羽生自身はシーズンを通してみると、スロースターターであることを伝えている。

「膝の負傷」に擁護も…収穫と課題を得て、状態を上げていくのが王者の強さ

「日本のメガスターは過去の数シーズンにわたり、秋の大会で脆さを露呈することで知られている」
 羽生は直近2年、オータムクラシックこそ連覇していたが、グランプリ(GP)シリーズ初戦は5年連続2位。14年のソチ五輪、今年の世界選手権のように、圧倒的な強さを発揮するシーズン後半とは対照的だが、収穫と課題を得ながら、きっちりと状態を上げていることが王者の強さでもある。

 まして、記事も「ただし、今回、彼は膝の負傷を持ってモントリオールにやってきた」と擁護した通り、万全の状態ではなかった。にもかかわらず、SPで衝撃的な世界新を樹立するなどして発揮した底力は驚きだろう。
「ハニュウの次の舞台は4週間後に迫るロステレコム杯だ。そこで彼は18歳のアメリカ王者、ネイサン・チェンと相まみえることになるだろう」

 記事は羽生の次戦、GPシリーズ初戦のロシア杯に注目した。シーズンは始まったばかり。まずは膝の状態を万全に戻し、本来の王者の姿へ。輝く時間は十分に残されている。



【フィギュア】羽生まさかのV逸も平昌五輪2連覇への不安は皆無(20170925 東スポ)

【カナダ・モントリオール23日(日本時間24日)発】フィギュアスケートのオータムクラシックで、男子ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(22=ANA)はフリーで155・52点にとどまり、合計268・24点でまさかの2位に終わった。それでも羽生は「悔しさという大きな収穫を手に入れることができた」と前向き。調整段階の初戦でミスが出るのは例年通りで、来年2月の平昌五輪での2連覇へ大きな不安はなさそうだ。

 完璧なSPで自身が持つ世界最高得点(110・95点)を更新する112・72点をマークした羽生が、フリーでつまずいた。今大会では右ヒザ痛の影響で4回転ループを避け、プログラムを一部変更。冒頭のジャンプは3回転ルッツを予定していたが、1回転になった。これを受け、ジャンプの構成を演技中に再変更するか思案するうちに「考え過ぎてぐちゃぐちゃになっちゃった」。

 その後は得意のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)での転倒など、ミスを連発。後半に跳ぶ予定だった3つの4回転ジャンプは1つしか成功しなかった。

 今大会は3年連続の出場。過去2年は優勝でシーズン初戦を飾っていたが、フリーで5位となり、ライバルでもある元世界王者ハビエル・フェルナンデス(26=スペイン)にまさかの逆転を許した。五輪シーズンの幕開けで不安を残す結果となったが…初戦としてはある意味「平常運転」ともいえる。

 昨年はSPで世界初の4回転ループに成功。フリーでもやはり4回転ループを決めたが、その他のジャンプでは2度の転倒があった。優勝したとはいえ、合計得点は260・57点。今年より7点以上低かった。

 一昨年は合計得点277・19点だったが、フリーでは転倒や連続ジャンプが単発になるなどのミスがあった。例年初戦では、体力的にもきつくなるフリーの後半で苦しんできた。だが、シーズンが進むにつれてその課題は克服している。

 演技後は「(回避した)4回転ループをやれば良かったかなと思うところもある。(今季から取り入れる予定の)4回転ルッツもできなくはない。そういった点でもどかしい」とコメント。常に高難度のプログラムに挑戦してきただけに、右ヒザの不安により、やや難度を落とした今大会の構成には満足していない。
「挑戦をしないと僕らしい演技は絶対できないと思った。もっとやりたいなと思っていた」。自らの限界に挑めるコンディションに戻れば、絶対王者らしい姿も戻ってくるに違いない。



羽生、今季初戦は2位 フリーでミス相次ぐも高評価(20170926 東京新聞)

 男子で2014年ソチ冬季五輪王者の羽生結弦(ANA)は23日に終了した平昌五輪シーズン初戦のオータム・クラシックで2位だった。右膝痛で滑り込みを欠き、長丁場のフリーでジャンプのミスが相次いだが、15年に合計得点の世界歴代最高を樹立した演目で再び臨んだショートプログラム(SP)とフリーでジャッジの高評価を受けた収穫もあった。

 SPは今季序盤で世界最高を更新する衝撃の112・72点をたたき出した。「やっていて心地よい」と通算3季目となったショパンのピアノ曲「バラード第1番」。2季前よりも迫力を増した内容となり、表現面を示す演技点の5項目で全て9点台後半が並び、10点満点を出すジャッジもいた。日本スケート連盟の小林芳子強化部長が「ステップなんてピアノの旋律そのもの」と感嘆するほどの完成度だった。

 フリーは和の趣が盛り込まれた映画「陰陽師」の音楽を使う2季ぶりの「SEIMEI」。「昨季に入る前から(五輪シーズンは)SEIMEIを使おうと思っていた」と思い入れのあるプログラム。予定した八つのうち五つも失敗したジャンプや切れのない動きで不本意な演技だったが、ジャッジの主観が左右する演技点の3項目で9点台を引き出せたことは大きかった。

 調整不足の今回は回避した右足で踏み切る4回転ループに加え、「できなくはない」と新たに取り組む高難度の4回転ルッツを組み込むことも今後検討する。「挑戦をしないと僕らしい演技はできない」とグランプリ(GP)シリーズ第1戦のロシア杯(10月20、21日・モスクワ)に向かう。 (モントリオール・共同)



前哨戦でフリー惨敗の羽生結弦は平昌五輪連覇に向けて不安はあるのか?(20170926 THE PAGE)

羽生結弦(22、ANA)の平昌五輪シーズンの幕開けは波乱に満ちたものだった。カナダのオータムクラシックを今季の前哨戦に選んだ羽生は、ショート、フリー共に歴代世界得点をたたき出した2シーズン前のショパンの「バラード第1番」、陰陽師「SEIMEI」に戻して挑み、そのショートではいきなり自身の持つ世最高得点を更新する112.72点をマークした。

 ショートでは、右膝を痛めていたため、難易度の高い4回転ループを封印して4回転サルコーに変え、基礎点が1.1倍になる後半に4回転トゥループ+3回転トゥループを入れ、しかも、3回転トゥループでは両手を挙げる難易度の高い進化まで見せた。
 だが、注目のフリーでは一変。8つのジャンプのうち6つに失敗して、本人が「いろんなことを考えてぐじゃぐじゃになった」と反省するほどの演技内容で、自己ベストから67.68点も下回る155.52点に終わり、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)に抜かれ2位となった。

 金メダルを獲得したソチ五輪以降、羽生のフリー150点台は、公式練習中に衝突して大怪我をした2014年以来。なぜ、このような天国と地獄のような結果になってしまったのだろうか。連覇を狙う平昌五輪への不安はないのだろうか。
 元全日本2位で、現在後進指導を行っている中庭健介氏はフリー失敗の原因をこう分析している。

「フリーが乱れました。4回転トゥループジャンプが決まらなかったのは、右足のバックアウトエッジのすべりが悪かったからです。右ひざの不安が影響したのでしょう。またジャンプのための足りなさやひねり戻しのタイミングのずれがいつもとは違っていました。
 フリーの長い演技時間の中で、右ひざに負担をかけないようにすべると、左足への負担が増します。フォワードエッジをカーブから加速させていくのが羽生選手の長所でもありますが、この日のトリプルアクセルは、左足のいつもの加速が見られず踏み込みが甘く転倒する結果になりました。試合になると緊張感と興奮で多少痛みは感じなくなくなるものですが、右膝の不安が大きく影響したように思えました。何かアクデントがあれば、とっさに演技構成を変える適応力の高さも羽生選手は持ち合わせていますが、今回は集中力を欠きました」

 右膝への負担を考えてプログラムの難易度を下げたが、まずは冒頭の3回転ルッツがパンクして1回転に。焦った羽生は、急遽、4回転ループを飛ぼうと考えるが、迷ったあげくに3回転ループとなった。本来のプラグラムでは4回転が5、6本の構成に思えましたが、この日は足の状態を考慮し数を減らしていました。それらを後半に集めた。4回転サルコー+3回転トゥループは降りたが、続く4回トゥループから始まる予定だったジャンプは2回転のトゥループ、続いての3連続のコンビネーションではそれが、2回転トゥループ+1回転ループ+2回転サルコーに終わり、続く得意のトリプルアクセルで転倒した。最後のジャンプとなる4回転トゥループは、両足着氷となり回転不足の判定を受けた。

 それでも中庭氏はショートの世界最高得点に光を見たという。

「溜息が出るほどの美しく質の高いジャンプでした。GOEのほとんどが《3》評価であったのは納得です。予定していた4回転ループを4回転サルコーに変え、難易度を落としてことで、ストレスを感じさせずノビノビと演技が出来ていました。
 ジャンプだけでなくステップやスピンにも多くの工夫と成長が見られ、同じ曲ですがバージョンアップしました。演技の後半に入れ込んだ4回転トゥループ+3回転トゥループでは、3回転トゥループで両手を上げました。これは難易度の高いテクニックですが、進化の証明でしょう」

 ジャンプはできる限り回転軸を小さくまとまるのが基本だが、手をあげようとすると、遠心力につかまって腕が流れ肘が曲がったり大きなミスにつながる。中には、ジャンプのタイミングをつかめず腕を上げようとするだけで飛べなくなるスケーターも少なくないという。

 ショートとフリーでまるでジキルとハイドのような裏表を見せた羽生だが、中庭氏は「今後に向けて、収穫と課題の両方がみつかって有意義だったのではないか」と見ている。

 羽生は「ピークを作ることに失敗した」とも語ったが、来年2月の平昌五輪へ向けて、どうコンディション調整を進めるかが、最大のポイントになるだろう。計画では、羽生は10月20日のロシア杯でGPシリーズの初戦を迎え、11月10日のNHK杯、12月にGPファイナル、全日本選手権を戦い、ここで五輪切符を確定させ、来年2月の平昌五輪に照準を合わせるスケジュールを組んでいる。

 中庭氏は、今後の見通しをこう語る。

「まず右膝を完璧にすることでしょうが、羽生選手は、4回転ループだけでなく、フリーには4回転ルッツを入れる準備を練習で行っています。4回転の種類が増え、演技に入れる本数が増えるほど、腰や膝、足首などへの負担が大きくなります。真4回転時代と呼ばれていますが、選手は、練習から怪我というリスクと背中合わせなのです。
 年間を通じて、いかにコンディションを保つか。そのためにはフィジカルの強化も必要でしょう。平昌五輪は、アスリートとしてのトータルの力を試される大会になると見ています。羽生陣営が、どうコンディションを整え、ピークを作っていくのかにも注目したいですね」

 羽生の本格シーズン開幕は、約1か月後のロシアGPだ。



AC2017表彰式2


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2017/09/30 11:00 | クリケット・プログラム・CS(2017-2018)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

羽生結弦選手 AC2017情報まとめ FS編その1

オータムクラシックのフリーについての記事をまとめときます。
遅ればせながらですが、自分用の覚書として。長いので2回に分けます。


羽生「最初にルッツがパンク(回転不足)して…集中はどこかにいってしまった」(20170924 サンスポ)

 フィギュアスケート・オータム・クラシック 最終日(カナダ・モントリオール23日=日本時間24日)来年2月の平昌五輪で、66年ぶりの2連覇を狙う男子の羽生結弦(22)=ANA=は合計268・24点で2位だった。ショートプログラム(SP)では世界歴代最高得点の112・72点をマークして首位に立ったが、フリーは155・52点にとどまった。元世界王者のハビエル・フェルナンデス(26)=スペイン=が合計279・07点で優勝した。演技後の主な一問一答は以下の通り。

 --体力が厳しかったのか
 「最初に3回転(ジャンプ)の連続は難しいと思った。誰もやったことないので、こんな(高難度な)構成。未体験の領域だった」

 --演技を終えて何かつぶやいた
 「『しょうがねえ』って。(今季の)初戦だった。悔しさという大きな収穫を手に入れることができた。SPの得点や演技内容では『五輪で優勝するぞ』という、自分が強いイメージを与えられたと思う。強い自分を追いかけながら、さらに難しい構成で追い抜いてやろうと思う」

 --昨日(SP)と比べ、体の状態や精神面で違いがあった
 「特にない。良いSPの後のフリーはもちろん難しいと分かっている。ちょっと余計な力が入り過ぎた」

 --高難度な構成で、昨日(SP)より気持ちが入っていた
 「難しいと言っては、おしまい。間違いなく実力不足。もっと練習しないといけない。(右)膝の違和感があって、構成を落としてぐちゃぐちゃになって、終わってしまった。その違和感を覚える練習をしていたのは僕の調整力不足。五輪に向けて体を作りながら、良い試合をし続けなければいけないシーズン。良い初戦だった」

 --今までも悔しい経験をしてきた。きょうの悔しさのレベルは
 「もどかしい悔しさです。やっぱり(4回転)ループを跳べばよかったとも思う。(4回転)ルッツもできなくはない。その点でも、もどかしい」

 --挑戦する方が楽しい
 「競技者なので。やっぱり挑戦しないと僕らしい演技は絶対にできない」

 --気持ちで演技を乗り越えようとしていた
 「最初にルッツがパンク(回転が不足)して、いろいろ考えて、集中はどこかにいってしまった。集中力の弱さはスケート人生の中で永遠の課題。良いときと悪いときの差が激しい」



負けると冗舌、2位の羽生結弦「もう、しょうがねえっ」(20170924 朝日新聞)

 羽生結弦は男子フリーを滑り終え、両手をひざについて首を横に振った。氷上で「もう、しょうがねえっ」とつぶやいた。

 序盤は、簡単な3回転ジャンプが続く予定だった。しかし、羽生は「逆に思いきってできない難しさがあった」と明かす。冒頭のルッツが1回転になると、「4回転ループを一瞬考えた」。やらなかったが、右ひざの違和感のため封印した大技が脳裏をかすめた。

 後半に入ると、4回転からの3連続ジャンプは回転が少なくなり、得意のトリプルアクセル(3回転半)で転倒した。立て直ししようと急きょ跳んだ4回転トーループは、回転が半分以上足りないという判定。8本中5本のジャンプでミスをした。「雑念がすごく多くて。色んなことを考えすぎて、ぐじゃぐじゃになっちゃった」

 ミスが出た試合や負けた時ほど、羽生は冗舌になる。大会運営の担当者が、報道陣に「最後の質問」と告げた時、羽生自ら「あと2問」というしぐさをして質問を受け付けた。

 「悔しさという大きな収穫を手にいれることができた。強い自分を追いかけながら追い抜いてやろうと思う」。過去の記事を読んで頭の整理に利用するという羽生は話し続けた。「いい時と悪い時との差が激しいのは、スケート人生での永遠の課題。ガラスのピースを積み上げて、きれいなピラミッドにするんじゃなくて、粗くてもいいから頂点まで絶対にたどり着けるような地力も必要だ」(後藤太輔)



羽生、SP世界新からまさかのフリー5位「しょうがねえ」(20170924 スポーツ報知)

◆フィギュアスケート オータム・クラシック最終日(23日、カナダ・モントリオール)

 【モントリオール(カナダ)23日=高木恵】男子フリーは今季初戦の羽生結弦(22)=ANA=がジャンプミスを連発し、155・52点でフリー5位、合計268・24点で2位に終わった。前日のショートプログラム(SP)で世界最高得点を記録し首位に立ったが、177・87点、合計279・07点のハビエル・フェルナンデス(スペイン)に逆転を許した。女子フリーは三原舞依(18)=神戸ポートアイランドク=が132・84点、合計199・02点で2位。

 演技後、羽生はリンク中央でつぶやいた。「もう、しょうがねえ!」。2季ぶりにリンクへ帰ってきた安倍晴明の「SEIMEI」は、冒頭の1つのミスから崩れていった。SPで世界最高得点を記録した翌日に、フリーの自己ベストを68点近く下回る155・52点。振り幅の大きな結果だったが「悔しさという大きな収穫があった」。平昌五輪シーズン初戦での敗戦を、むしろ笑顔で歓迎した。

 右膝の違和感の影響で、今季初戦は4回転ループを回避。前半は難易度の低いジャンプに変更した。冒頭から3本連続で3回転が続く構成は「逆に思い切ってできない難しさがあった」と最初のルッツがまさかの1回転に。すると「次のループを4回転にしようか」と一瞬、“禁断のジャンプ”が脳裏をよぎるほど心に乱れが生まれていた。

 後半の2つの4回転トウループは共に2回転に。得意のトリプルアクセルで転倒、最後に予定を変えて跳んだ4回転トウループは両足着氷。「雑念がすごく多かった。いろいろなことを考えすぎて、ぐちゃぐちゃになってしまった」。ジャンプ8本中、成功は3本のみ。フリーでの150点台は14年のNHK杯以来、5位以下は6位だった10年ロシア杯以来のことだった。

 胸元のデザインを変更するなど、より洗練された新衣装で迎えた“再演初日”。「挑戦しないと僕らしい演技は絶対にできないと分かった。できることを出し切っていない。もっとやりたい」。落とした構成で失敗を重ね、不完全燃焼に終わった自分が許せなかった。

 「ルッツもできなくはない」と自ら切り出した。ブライアン・オーサーコーチは今季中の4回転ルッツの導入を示唆している。「強い自分を追いかけながら、さらに難しい構成で追い抜いてやろうって思っている」。火がついた闘志が、4種類目の4回転の投入を早めることになるかも知れない。

 ◆ゆづに聞く

 ―昨日と何が違った?

 「いや、特になかった。いいショートの後のフリーは難しいっていうのは分かっている。ただ、そういうの関係なく、慣れていない構成っていうのもあったし、余計な力が入りすぎた」

 ―初戦の印象?

 「ショートの点数とか演技内容っていうのは、オリンピックで優勝するぞっていう、印象としてはものすごく強いものを残せたと思う」

 ―どういう種類の悔しさ?

 「もどかしい悔しさ。やっぱり(4回転)ループをやればよかったかなって思うところもあるし。練習では毎日1回ずつ跳んでいて、確実にいいものになってきている」

 ―気持ちで滑った?

 「最後はそう。集中力の弱さは僕のスケート人生のなかで永遠の課題。いい時と悪い時の差が激しい。ガラスのピースを1つ1つ組み合わせてピラミッドを作るんじゃなくて、粗くてもいいから頂点まで絶対にたどりつける地力も必要」



羽生V逸から闘争心「悔しさという大きな収穫手に」(20170925 日刊スポーツ)

<フィギュアスケート:オータムクラシック>◇23日◇カナダ・モントリオール◇男子フリー
 14年ソチ五輪男子金メダルの羽生結弦(22=ANA)はフリーでミスを連発して155・52点で5位にとどまり、合計268・24点で2位に終わった。世界最高得点をたたき出した前日のショートプログラム(SP)から一転し、8つのジャンプのうち6つでミスするなど自己ベストを67・68点下回った。今季初戦の収穫は悔しさと強調。五輪連覇へ巻き返しを誓った。

 ぼろぼろの演技が、羽生の闘志に火をつけた。フリーは自己ベストより67・68点も低く、ソチ五輪以降ワースト順位の5位。額に汗を浮かべ、プーさんのティッシュボックスを抱えた羽生は悔しさを吐き出すようにまくしたてた。「こういう風になって思うのは、やっぱり挑戦しないと、僕らしい演技は絶対できない」。右膝痛のため、4回転ループを回避したが「ループをやれば良かったなと思うところもある。ルッツもできなくはない」。試合では試していない4回転ルッツへの挑戦まで口にした。

 歴代最高点を出した前日の完璧なSPとは一転、演技はかみ合わなかった。右膝痛を悪化させないため、4回転ジャンプの数を5本から3本に減らし、前半は3回転3本の構成。最初に4回転を跳んで勢いづけるところで「思い切ってできない難しさがあった」。冒頭の3回転ルッツが1回転となり、とっさに次の3回転ループを4回転にしようかなどと考え「いろんなことを考えすぎてぐじゃぐじゃになっちゃった」。得意技のトリプルアクセル(3回転半)で転倒するなど、8つのジャンプのうち6つでミスした。

 前半を抑えた分、基礎点が1・1倍になる後半は3本の4回転を跳ぶ自己最高難度の構成だった。それでも「できること全てを出し切っているわけではない。もっとやりたいな、と思っていました」。もどかしさの中で、今できる最高のものに挑戦したいという欲を再確認した。

 技術面を指導するトレーシー・ウィルソン・コーチ(55)は「彼は多くを悟ったマスターであり、謙虚に学び続けようとする弟子でもある。その両立こそが強さ」と言う。世界歴代最高点を出した2季前よりジャンプなど全ての要素で技術も質は上がった。それでも満足することなく学び、技術を磨き続ける。それが自己記録を更新し続ける羽生の強さといえる。

 この試合も「大きく学べた」と羽生。次戦は10月20日開幕のGPロシア杯。「悔しさという大きな収穫を手に入れることができた。強い自分を追いかけながら、さらに難しい構成で、追い抜いてやろうと思います」。挑戦することは楽しいかと聞かれると「競技者ですから」と笑った。【高場泉穂】

 ◆羽生のフリー150点台 ソチ五輪後では14年11月の中国杯とNHK杯で記録。



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2017/09/30 10:45 | クリケット・プログラム・CS(2017-2018)COMMENT(2)TRACKBACK(0)  TOP

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