羽生選手 今後のジャンプ構成は? その1
全日本まで間があるので、それまで結弦くんのジャンプ構成についての話など。
かなり遅ればせながらですが、NHK杯での負傷でジャンプ構成の再考を求める記事がありました。
羽生の欠場は好判断 代表入りは確実、五輪連覇を目標に(20171110 朝日新聞)
フィギュアスケート男子の羽生結弦(ANA)が下したNHK杯欠場は好判断だった。今回のけがは強行出場が可能な程度だとしても、試合で悪化させる危険性もある。平昌五輪代表最終選考会を兼ねた12月下旬の全日本選手権に欠場しても、実績十分な羽生の代表入りは確実だ。選考基準は「世界選手権3位以内の実績がある選手が、けが等で全日本に参加できなかった場合、選考することがある」としている。
今後は、成功率を高めようと取り組んでいた4回転ルッツなど、難しい4回転ジャンプの練習をやめて、成功率が比較的高いトーループとサルコーに4回転を絞る手もある。
中学、高校時代の羽生にジャンプを教えた田中総司さんは、「新しいジャンプを習得しようとした際のけがのリスクは高い。結弦は元々体が強くないし、ルッツを入れなくても勝てる」と話す。今回の羽生のけがは、まさに4回転ルッツを無理に跳んだ時に起きた。
挑戦することが好きな羽生は「自分がスケートをやっている意味がなくなる。それじゃ試合じゃないだろうというのが僕の気持ち」と言い、難しいジャンプを跳ばない選択肢を嫌う。
しかし、ジャンプを絞っても十分難しいプログラムなのは間違いない。ステップや表現力などを高め、男子では66年ぶりとなる五輪連覇を目指すことも、大いなる挑戦だ。(後藤太輔)
<羽生結弦>思わぬ試練、五輪へ調整再考も 大技挑み落とし穴(20171111 河北新報)
羽生に大きな試練が待っていた。確実視されていたNHK杯3連覇を逃し、5連覇の偉業が懸かるGPファイナルにも進めない。平昌に向けた調整プランの再考も迫られる。順風に見えていた五輪連覇は、思わぬ向かい風に見舞われた。
10日午前11時20分から始まった公式練習。羽生の名前が呼ばれても、リンクに姿はない。曲かけ練習の順番が回って来る。ショートプログラム(SP)「バラード第1番」のピアノの旋律だけが無情に響き渡った。
国内の大会は今季初めて。日本のファンに直接演技を見せたいという思いが強かったのだろう。連盟の小林芳子強化部長が「競技に出られるよう、必死に治療しています」と強調したのは正午すぎ。約2時間後、正式に欠場が発表された。
これまで多くのけがに遭いながら試合に出てきた。2014年中国杯は演技直前の練習で他の選手と衝突し頭部を負傷。周囲の反対を押し切って強行出場した。試合出場に強い執念を見せる、その羽生が今回は欠場を決めた。五輪を見据え無理はしないという判断は当然だろう。
絶対王者の冠を頂いて臨んだ五輪シーズン。時に性急とも思えるほど歩を進めてきた。夏の段階で組み込まないと明言していた4回転ルッツを、2戦目から取り入れたのもその一つだ。ルッツなしでも十分に金メダルを狙う総合力がある。それでも新たな大技にこだわったのはネーサン・チェン(米国)、宇野昌磨(トヨタ自動車)ら強力なライバルの成長を目の当たりにし、焦りがあったからなのか。そのルッツの着地で足を痛めてしまった。
羽生は五輪代表最終選考会の全日本に出られなくても、選考基準には世界選手権で3位以内の実績のある選手については救済措置が明記されている。けがさえ癒えれば、金メダル候補の筆頭であることは揺るがない。だからこそ、ここで一度立ち止まってみるのも大切かもしれない。(佐藤夏樹)
多種クワドのジャンプの跳び分けの難しさについて、野口さんのこんな記事がありました。
NHK杯より前に書かれたものです。
Number(ナンバー)939号 日本シリーズ 激闘の果て。 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
羽生がロシア杯で味わった「四回転」を跳び分ける難しさ(野口美恵)
羽生結弦が10月のロシア杯で、自身にとって4種類目の4回転ジャンプとなる「ルッツ」を成功させた。しかし他の4回転で、2回転や3回転になるミスがあり総合2位に。
「難しいジャンプばかりに手を付けていると、他のジャンプに影響がでてしまう」と話した。
羽生が言う「影響」とは、新たな4回転を跳べると元々跳べた4回転や3回転でミスをする逆転現象のことだ。
まず4回転ジャンプと言っても、「360度×4」をきっちり回るわけではない。5種類のうち最も得点が高い4回転ルッツは4回転よりわずかに多く、最も得点が低いトゥループは少なく回る。これは「踏み切るときの足の向き」が違うため、空中での回転角度に多少の差が出ることによる。つまりジャンプの難易度は回転角度の順位なのだ。羽生は言う。
「種類によって跳び方が全然違います。ぜんぶ使い分けて跳んでいるので、あちこちに手を付けていると本当に訳が分からない状態になる。まだ甘ちゃんです」
羽生はロシア杯フリーの冒頭で、集中的に練習してきた4回転ルッツを成功。次のループはぴったり4回転のため回転角度をわずかに緩めたところ、3回転に。更に後半の4回転トゥループも力が抜けて2回転になった。
「4回転ループは、直前の4回転ルッツとの兼ね合いをうまく調整しないといけないと思いました。ルッツを入れると単独の3回転は一つだけ。気が抜けなくなりました」
一方、同月のスケートカナダで宇野昌磨も類似のミスがあった。フリーの冒頭で綺麗な4回転ループを決めたが、続く3回転ループで3回転以上回ってしまいバランスを崩す。
「2度目の3回転ループは二度とやりません。4回転にします」と苦笑い。同じジャンプの4回転と3回転を跳び分ける難しさを痛感し、攻めの戦略に切り替えることにした。
もちろん羽生も種類を減らすつもりはない。
「今の世界最高得点はトゥループとサルコウのみで勝ち取っているけれど、それでノーミスしても自分がスケートをしている意味が無くなってしまう。大変だけれど、4種類という方向性で練習します」
複数種類の四回転を跳べる男子だけが直面する壁。強い挑戦心で乗り越えてほしい。
先シーズン、鉄板だったサルコウが安定しなかったり、今シーズンになって、先シーズンよりループが抜けたりしがちなのは、新しいジャンプの練習が原因となってるのだと思います。
プルシェンコは、トゥループとサルコウだけで、五輪で優勝できるといってました。
実際、結弦くんの世界最高得点は2種クワドで達成したもの。4種クワドの選手も5種クワドの選手も、その得点をいまだ上回っていません。フィギュアスケートスケートは、ジャンプの比重が大きいとはいえ、ただのジャンプ大会ではないからです。
結弦くんは、オータムクラシックのときに、こう言ってましたね。
守ることも捨てることもいつでもできる
日本のマスコミは、結弦くんが多種クワドにこだわるのは、そうしないと、多種クワド持ちの若手に勝てないから・・・みたいな書き方をしていますが、これは全くの間違いです。それなら、なぜ若手は、今だ結弦くんの世界最高得点を超えられないのでしょう。むしろ、結弦くんが守りに入ったほうが、他のスケーターは嫌なはずです。でも、そうしないのが、羽生結弦でもあるわけで。
守ることも捨てることもいつでもできる・・・これは、守りに入っても、ルッツを捨てても、勝てるという、自信の裏返しの言葉だと思います。それでも、「羽生結弦は、若手に追い上げられて、焦っている」ことにしたいんですよね、日本のマスコミは。
「現役でスケートを続ける意味」・・・それが、今季のルッツへのこだわりでした。しかし、NHK杯での負傷で調整が大幅に遅れたのも事実。本当にルッツを入れないと勝てないならば、他に選択肢はありません。しかし、そうではないだけに、さてどうするか。負傷の原因がルッツであることも、構成見直しの声がでてくる原因かと思います。
ただ、結弦くんの性格からして、ルッツは捨てないだろうという見方も多い。オーサーもそうみてる。
2~3回に分けて、今後のジャンプ構成について言及している記事を紹介したいと思います。
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2017/11/26 09:50 | クリケット・プログラム・CS(2017-2018) | COMMENT(0) | TRACKBACK(0) TOP