野村萬斎からみた羽生結弦 ~「打てば響く」人

少し古いテレビ番組ですが、萬斎さんが2016年4月に「徹子の部屋」に出演していたときのものです。
私も録画して見ましたが、けっこう長く、結弦くんとのことを語ってくださっているのです。

2年前の初見のときは、まだそれほど思わなかったのですが、平昌五輪、その後のアイスショーの結弦くんを見て、あらためてこの萬斎さんのお話を聞くと、今の結弦くんの「表現者」としての進化にとても影響を与えていると感じました。また、テレビの対談だけでなく、実際に氷上練習でも指導してくださっていたとのこと。萬斎さんは、結弦くんの利発さにかなり感銘を受けたようでしたから、リキを入れていろいろ教えてくださったようです。

羽生選手サイドから「話をしてみたい」という対談の申込があった。フィギュアスケーターが「陰陽師」を演じたということに対しては、素直にびっくりした。対談前に、羽生選手の演技を見た。

この対談のセッティングをした日本テレビ、グッジョブです! NHKでもなく、テレ朝でもなく、日テレとは。長年のeveryのゆづファンの信頼度がこれでさらに高まりました。あとで、NHKが対談のロングバージョンを放送していましたが、これも異例で、それだけNHKがこの企画を高く評価していたということ。本当なら、NHKがやりたがるような企画でしたものね。

萬斎さんは東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業。調べたら、東京芸大を現役合格されていました。やはり頭の良い方なのですね。ちなみに結弦くんと同じB型でいらっしゃいます。

徹子さんとの対談で、萬斎さんは結弦くんの聡明さや意識の高さをとても評価してくださっていますね。印象に残ったお話部分を書き起こします(一部要約あり)。

今(芸大で)講師として学生に「狂言」を教えているが、受講する学生は、色々な学部がいる。(学生たちは)表現のプロにはなるが、狂言師になるわけではない。だから、彼らに何を教えるべきか。「狂言」の基礎は教えるが、そこに宿る精神であるとか、本質的なもの。表現とはどうあるべきか、狂言における表現方法の知恵みたいなものを、自分の中で考えて、それを彼ら(学生)が役立てるようにと、常々心掛けているのですが、そういう意味では、(羽生選手は)僕が教えるというか、話をした中で、一番打てば響くというか。

やはり演劇であり、音楽であり、舞踊でありという部分があるときに、空間の時間をどれだけ操って、皆さん(観客)の集中力を引きつけるか・・・というのが表現の本質であるならば、そういうことを順序だてたときに、彼はすべてに反応しましたね。

(徹子さんの「やはり(羽生さんは)すごいとお思いになった?」という問いに対して)

そうですね。やっぱりそれは、彼自身がすごく問題意識をもっているからこそ、僕に話を聞きたかったんだろうと、本当に思いましたし、僕が申し上げたことに響いたような気がいたしました。

(徹子さんの「萬斎さんにとって。羽生さんは生徒としては非常に教えやすい生徒でしたか?」という問いに対して)

生徒といっていいかわかりませんけれども、そうですね、本当にこれだけ、ツーと言ってカーという感じの答えがでてくるのには、本当に驚きましたね。

あまり知られていませんが、対談の後、スケートリンクを貸し切っていただいて、一度だけ稽古を見ました。彼の練習風景を見て、実際滑ったのを拝見して、複雑な曲なので、「リズムのとり方はこちらの方がいいんじゃないか」とか申し上げました。

そういう意識を常にもってらっしゃって、だからこそ、僕の言ってることは普通の20歳の子だと、何をしゃべってるのかわからないだろうという気がしますけれど、すごく意識的に聞いてくださいました。

能も狂言も「型」があり、フィギュアスケートも「振付」という「型」がある。それをどのように生き生きと見せるか。ただそれをなぞるのではなく、そこに意識があると、その「型」に意味が、命が宿る・・・というような話をいたしました。



萬斎さんが教えている、結弦くんと同年代の芸大の学生たちと比べても、結弦くんは「一番打てば響く」「ツーと言ってカー」な生徒だったんですね。そりゃ、さぞ教え甲斐があったことでしょう。

今年のファンタジーオンアイス神戸公演のインタビューなどに、萬斎さんの「そこに意識があると、その『型』に意味が、命が宿る」という教えが、結弦くんの中にしっかり根付いているのが感じられました。


これからいろんなプログラムを滑っていくことになると思うんですけれども、ひとつひとつ意味があるものにしたいと思っていますし、もちろん、毎日いつも同じ気持ちで演技をしているわけではないので、いろんなたくさんの思いが皆さんに届くと思います。そのひとつひとつの思い、そして皆さんが感じとった何か気持ちとか、背景とか、そういったものを大切にしていただけるような、演技をしたいと思っています。


神戸のインタビューのとき、「春」の意味についても熱心に語っていた結弦くん。二連覇のあと、以前より一層、演技に意味を込める大切さを意識する発言が多くなったように思います。五輪二連覇という軛から解放されて、萬斎さんから受け取った表現者としてのこだわり、意識が一層高まってきたのではないでしょうか。


萬斎さんゲストの「徹子の部屋」の動画です。
結弦くんについて語っている部分のみ。動画ありがとうございます。


萬斎さんから見た羽生選手



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テーマ : フィギュアスケート - ジャンル : スポーツ

2018/08/06 14:50 | テレビ番組・コラム(2018-2019)COMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

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