羽生結弦の「捨てる」決断 ~松岡修造の「弱さをさらけだす勇気」より

修造さんの「弱さをさらけだす勇気」を読みました。
どういう内容かというと、修造風自己啓発本です。
修造さんらしい、暑苦しさ一杯の本でした(笑)
結弦くんについても触れてるので、少し感想など。


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結弦くんについては、序章部分で20ページほどに渡って触れています。
その中で特に印象に残ったのはこの言葉。

「捨てる」決断で本当の自分が見えてくる

「平昌オリンピックは、捨てて、捨てて、捨てる作業をしてきた大会でした」
「連覇のためだけに幸せを捨てました」
「捨てることにより結晶がどんどん削られていき、最後は本当に小さな金メダルの結晶になりました。何をすれば勝てるかを、明確に見ることができました」


連覇のために、結弦くんが捨てたものはたくさんありました。それは、友達に会いたい、遊びたい、大好きなゲームをやりたい、という日常的な欲、普段の生活の中での楽しみです。そして、平昌五輪では、苦労をして習得した四回転ルッツや四回転ループを捨てました。自分の技術を限界まで出し切って戦うという、長年持ち続けてきた自分の信念をも捨てる感覚だったかもしれません。もちろん、そんな決断ができたのは、ソチからの4年間で自分の「引き出し」を増やし、選択肢を多くもっていたから。あの身体の状態で組める最大限の構成で、ほぼ望みうる最良の演技ができたこと。自分自身に打ち勝った達成感を、演技後「勝った!」と表現したのですね。

「あれもこれも」と人は欲張りなものですが、与えられた時間は皆平等であり、すべてを得ることは難しい。欲しいものが大きければ大きいほど、他は取捨選択をしなければならない。私が、彼について以前からすごいと思ってることのひとつが、彼がこの取捨選択の「優先順位」が常にはっきりしていて、何があってもピりとも揺るがず、そしてその「優先順位」を絶対間違えないということです。才能があり、「優先順位」を間違えなければ、もっと実績が残せたのでは・・・と、もったいなさを感じる日本人スケーターは、思い浮かぶだけでも何人かいます。でも、ちょうど遊びたい盛りの年代。誘惑はたくさんあります。高校時代は、誘惑を断ち切るために携帯電話すらもっていなかったという徹底ぶりに、羽生結弦の凄みを感じるのです。

少しずつ不要なものを削っていって、怪我をした後は、息抜きのゲームすら断った。そして、必要最小限のものだけで作り上げた結晶が金メダルだった。「捨てる」決断で本当の自分が見えてくる・・・これは一種の「人生の断捨離」だなと思いました。

実は今、まったりペースで少しずつ「断捨離」をしているのですが、確かに「捨てる」という作業をしてると、本当に自分に必要なものが見えてくるのです。「今の自分にとって何が必要か」という優先順位を決めなければならないからです。「置けるスペース」が狭ければ狭いほど、捨てるものは多くなる。「これは高かったからもったいない」とか「もしかしたらいつか使うかも」とかの雑念を捨てなければ、断捨離はなかなか進まない。究極に「今の自分」と向き合う作業だなと思います。ましてや「モノ」ではなく、彼がしてきたのは「人生」における断捨離・・・それをあの若さでできてしまう意志の強さとクレバーさが、そもそも規格外だなと思うのです。

ジェフが、CWWのインタビューで、結弦くんについて「結弦の才能は、僕らへの贈り物であり、(彼は)才能の活かし方が素晴らしい」と言っていました。トレイシーも、数年前に、結弦くんのことをこう言っています。「才能があっても、それを活かせないスケーターが多い。結弦は、神様から与えられたギフト(才能)を最大限に活かすことができる。それが彼の最大の才能」と。

もって生まれた美しい容姿やポテンシャル・・・神様はたくさんのギフトを結弦くんに与えました。でも、彼がもっとアホの子だったら、せっかくのギフトが宝の持ち腐れになったかもしれないわけで・・・彼の最大の武器は、あのクレバーさかもしれないとすら思います。

捨てて、捨てて、捨てた先に手にいれた金メダル。五輪二連覇。1000個目の金メダルというオプションまでついて、二度目の紫綬褒章に国民栄誉賞。更には、全部門における世界最高得点の「HISTORIC RECORD」。この先に、さらに何が待っているのか、とても楽しみではあります。

それ以外では、ソチのときは「オリンピックの魔物に負けた」結弦くんが、平昌では「魔物に助けられた」というところも、興味深かったです。修造さんは、自分自身やいろいろなアスリートについて言及されていますが、フィギュアスケーターでは、結弦くんと宮原さんだけでした。

他のアスリートにも、結弦くんとオーバーラップするというか、重なる部分があり、結弦くんとの共通点を探しながら読んだので、最後まで楽しく読めました(笑) その「共通項」については、また時間があれば、記事にします。


201802-063


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2018/08/18 07:55 | テレビ番組・コラム(2018-2019)COMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

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