羽生結弦との共通点 ~松岡修造の「弱さをさらけだす勇気」より


昨日の記事の続きです。


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結弦くんのページは20ページほどですが、修造さん自身や他のアスリートについて書かれた章にも、結弦くんとオーバーラップする言葉がいろいろありました。それを少しピックアップします。修造さんと結弦くんが気が合う理由がわかるような気がしました(笑)


●宿命はもって生まれたもの、運命はつくるもの

以前にも記事であげましたが、以下は朝日新聞社の後藤さんの羽生結弦評です。

 羽生のスケート人生は、けがや病気との闘いだった。ぜんそく持ちで薬が手放せず、14年ソチ五輪後も発作が出ることがあった。食が細く、風邪を引きやすい。両足首、股関節、左ひざだけでなく、背中や首も痛めたことがある。

 けがや病気を避けるために、羽生は練習時間を短くした。週に4日か、多くても5日。氷上練習は2時間程度だ。日本の他の選手が、週6や7日、1日に4時間前後も滑るのと比べると短い。

 その分を「研究」で補った。成功するジャンプに共通する体の動きなどを「最大公約数」と呼び、ノートに書き留めてきた。


生まれつき身体が弱いこと。怪我をしやすい体質であること。ホームリンクの閉鎖や震災で、2度もリンク難民になったこと。何度も大きな大会の直前に怪我や病気に見舞われたこと。完全な健康体で世界選手権に出場できたことはほとんどない。それらは、彼の宿命なのかもしれないけれど、一定期間休んでも、いつも短い練習期間で休養前の感覚を取り戻してきた。その最たるものが平昌五輪。それも、短い練習時間でいいパフォーマンスをするための取り組みを、子供の頃からしてきたからです。

宿命はもって生まれたもの、運命はつくるもの・・・まるで結弦くんのことだなと思いました。
マイナスの宿命を、努力でプラスの運命に変えてきた・・・そういうスケート人生だよなあと。


●天才は努力しなくてもできる人というイメージがあるけど、じつは、ひとつのことをずっとやり続けている人

この言葉は、羽生善治さんの、この名言と被りました。

私は才能は一瞬のひらめきだと思っていた。
しかし今は10年とか20年30年を同じ姿勢で
同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。


結弦くんは、氷上練習は人より少ないとしても、大学の勉強や、研究、音楽などの趣味、費やす時間のほとんどがスケートにベクトルが向いてるように感じるのです。スケートが大好きだからこそできること。最近の認知科学界では、人が成功するかどうかを予測するための重要な要素は、才能ではなく、「継続力」だ・・・という説があるのだそうですが、もって生まれた優れた才能に、人並外れた「継続力」まで持っているのですから、結弦くんが成功しないはずがないですよね。

ぶっちゃけ、結弦くんは”フィギュアスケートオタク”だと思うんですが、アインシュタインだってビル・ゲイツだって、いえばオタクなわけで、オタク力を舐めてはいけない(笑) ある意味オタクが世界を進化させてるといっていいと思う。フィギュアオタクの結弦くんは、フィギュアスケートを進化させた。アインシュタインは「自分は天才ではなく、人より時間をかけて研究に取り組んでいるだけ」と言っていたそうですが、それは謙遜としても(笑)、「継続は力なり」とはよくいったものですね。


●試練は乗り越えるたびに楽になる

修造さんは、現役時代怪我の多い選手だったそうです。二度目に怪我をしたときは、ランキング100位内に戻せる頃で、修造さんは運命を呪ったと。しかし、二度目の怪我だったので、早く立ち直ることができた。最初の試練(怪我)で多くのことを学んでいたからです。修造さんは、こう言っています。

最初の試練から学ぶことが多いほど、次の試練は乗り切るのが楽になるのです

五輪直前の大怪我でも、結弦くんが決して心折れることがなかったのは、それまで何度も試練を乗り越えてきた経験値があったから。結弦くん自身が言ってましたよね。「このNHK杯で怪我をするまで、本当に順風満帆で何もなくて、上手くいっていたとしたら、多分オリンピックでは金メダルは取れていないです」と。


●マイナス言葉がでそうになったら「ストップ!」
●あえて崖っぷちをつくってみる


結弦くんは、試合後インタなどで、よく「悔しい」と言いますが、「できない」とか「無理」とかマイナス言葉は絶対いいません。「言霊」を信じているのでしょうね。だから、NHK杯で怪我をした後も、どんなに不安でも、ゆづファンは絶対マイナス言葉を言わないようにしていました。

そして、彼は、はたからみれば「いや、それって無理ゲ―すぎない?」というほどの目標値を掲げて、それをクリアしてきました。

その最たるものが、2015年のNHK杯。カナダ杯のショートでクワド1本でもミスがあったのに、次の試合でいきなりクワド2本入れてくると知ったときは、正直「なんて無理ゲーなことを・・・」と思ったものでした。蓋を開けてみれば、世界最高得点で度肝を抜かれたわけですが・・。怪我や病気でいつも崖っぷちが多い結弦くんですが、そういうのがないときも、自分で崖っぷちを作ってるような気がします。まあ、「崖っぷち、大好き!」と自分でも言ってましたから・・・(笑)

彼は夢想家ではありません。とてもリアリストな面があります。他の人にとって「無理ゲー」に見えるだけで、結弦くんにとっては、十分勝算があってのこと。以前に、修造さんと結弦くんとの間でこんな風なやりとりがありました。

修造「異次元ですね」
ゆづ「いや、僕にとっては異次元じゃないです」
修造「えっ、現実元?」
ゆづ「(笑) そう、リアルです」


だからこそ、四回転半も五回転も、「あの羽生結弦が言うなら、実現するのじゃないか」と、皆が期待するのですね。口にしたことは、必ず実現させてきたからです。


●金メダルはスーパーじゃ売ってない

これは女子レスリングの吉田沙保里さんのお父様の栄勝さんの言葉で、スポーツ界の名言と言われているそうです。

金メダルは、頑張って練習して強くなって勝った子しかもらえない。スーパーやコンビニでは売ってないんだよ」という言葉に、吉田さんは、本気で練習に取り組むようになったのだとか。

プルシェンコに憧れ、自分も金メダルが欲しいと思った結弦少年は、頑張って練習して強くなって、二度金メダルを勝ち取りました。決してお金では買えない勲章。その重みを、誰よりも結弦くんは知っています。


興味深い言葉は他にもありましたが、全部は書ききれないので、このへんでやめますが、自分の選手としての経験だけでなく、様々なアスリートを取材する過程で、修造さん自身も、あらためて教えられることが多いのだろうなと思いました。


ゆづ×修造


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テーマ : フィギュアスケート - ジャンル : スポーツ

2018/08/19 11:50 | テレビ番組・コラム(2018-2019)COMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

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