オーサー「結弦は必ず蘇る」 ~アエラより

AERA dot.は、トンデモ記事のときもありますが、雑誌「AERA」からの抜粋のときは比較的マトモです。本日付けの記事は、ソースが最新号の「AERA」でした。オーサーのインタビュー記事になっています。


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「最後は結弦が決めた」ブライアン・オーサーが語るロシア杯の裏側(20181127 AERA.dot)

 羽生結弦をソチ五輪、平昌五輪の王者へと導いた名将ブライアン・オーサー。タッグを組んで7年目、ロシア杯ではけがを乗り越え優勝した。今後2人が目指す未来についてオーサーに聞いた。

*  *  *
――トロント郊外の高級住宅地にたたずむ会員制スポーツクラブ「トロント・クリケット・スケーティング&カーリング・クラブ」。ここが、キム・ヨナ(28)に始まり、羽生結弦(23)、ハビエル・フェルナンデス(27)らを世界に送り出してきたブライアン・オーサー(56)の指導拠点だ。

オーサー:勇敢な選手たちのお陰で、私のチームは3大会連続で五輪メダルを獲得しました。誰もがチーム・ブライアンの強さの秘訣を尋ねますが、その答えは「コミュニティー」です。選手が大半の時間を過ごすこの場所は、お互いを助け合い、成功を共に喜ぶ一つの村なのです。その一体感は五輪という特別な場所で、練習への自信や仲間のいる心強さにつながるのです。

――チーム・ブライアンの一体感が、平昌五輪の連覇を支えたという。では実際にどんなドラマがあったのか。オーサーは今年11月、『チーム・ブライアン 新たな旅』を出版し、平昌五輪までの知られざるエピソードと、今後について語っている。

オーサー:皆さんは、五輪シーズンにどんな練習をし、どんなジャンプを跳んだのか、ということばかり話題にします。しかし実際に重要なのは、五輪のプレシーズンまでに準備をどれだけ終えているかです。今回の結弦は成熟さを問われました。

――では、どんな準備をプレシーズンまでにしていたのか。

オーサー:実力を磨いておくのは当然の準備の一つです。しかしもっと大切なのは、どんな問題が起きても慌てないための準備です。五輪シーズンは無理をしやすく、けがや病気の可能性も高い。休養した場合に、何日練習すればピークの体調に持っていけるかというシミュレーションを、6年かけてつかんでいました。

――羽生は2018年2月の平昌五輪直前、17年11月のNHK杯公式練習で4回転ルッツの練習中に転倒、致命的なけがを負った。帰国直後のミーティングで、オーサーと羽生はある約束を交わしたという。

オーサー:誰もが、五輪連覇は難しいと思ったことでしょう。しかし私は慌てませんでした。結弦は松葉杖をついて歩くほどのけがでしたが「五輪で優勝したい」と言いました。それで私たちは二つの約束をしました。一つは「ルッツもループも無くても300点を超えられる」ということ。そして練習を再開してピークになるまで、結弦の場合は6週間。だから「年内は無理せず治療」ということでした。

――羽生は1月になってから本格的に練習を再開。しかし簡単に技術は戻らなかった。

オーサー:難しい時間でした。ハビエルは五輪への最終調整で、4回転をバンバン跳ぶ。結弦はまだ3回転で苦労している。6年間、刺激しあってきたライバル同士ですが、いつもの明るいじゃれあいも無く、気まずい空気が流れました。でも真の友情はちゃんと培われていたのです。

――その友情をオーサーは、五輪会場でも目撃することになる。

オーサー:男子の試合前日の公式練習で、2人は素晴らしい演技をしました。リンクサイドに一緒に来てニコニコ笑いながら話し、いつもの温かい空気が流れました。すると2人はチーム・ブライアンの名物である基礎練習をシンクロしながら披露したのです。美しい光景でした。私は絆の強さを感じ、最高の五輪になることを確信しました。

――チームの絆が精神的な強さにつながったというオーサー。

オーサー:本番は、2人とも本当に魔法にかかったような時間でした。結弦は、涙なしに見られない決死の演技でした。ハビエルはいつになく平常心で、スペインの全国民の期待を背負いながら銅メダルをつかみました。2人を心から誇りに思います。

――五輪後、フェルナンデスは今季前半を休養。羽生は現役続行となった。

オーサー:北京五輪に向けて、チーム・ブライアンは休んでいられません。4月には再始動しました。エフゲニア・メドベージェワ(19)ら新しいメンバーが加わり、結弦にとっては新たな刺激が出来ました。それぞれ持ち味が違いますし、尊敬しあえるチームメートになっていくと思います。

――五輪連覇を果たして迎えた今季、グランプリシリーズ初戦のフィンランド大会では、世界最高点297.12 点で優勝した。

オーサー:結弦は五輪連覇を果たしても、まだ勝利と成長への強い意欲があります。コーチの私が感心させられるほどです。具体的なモチベーションの一つが4回転アクセルですが、そのための前段階として、トリプルアクセルを二つ目につける連続ジャンプをやっています。最高の難度と質のトリプルアクセルを練習することが、4回転アクセルにつながるからです。

――続くロシア杯では、ショートで世界最高点を更新した。

オーサー:ロシア大会に向けて、トロントでの練習は絶好調でした。それは3年前に初めて300点を超えた時のようでした。驚くほどの速さで調子を上げ、プログラムを完璧にこなしていました。ロシア杯でのショートは、結弦の普段の練習そのもの、いや、試合での情熱も加わって本当に素晴らしい演技でした。

――フリーの公式練習で4回転ループを転倒した際に、右足首をねんざした。

オーサー:結弦はロシアに着いてからも好調でしたが、ただし4回転ループというのはどんなに好調な時でもタイミングがわずかに違うだけでミスをするジャンプです。結弦は4回転ループの成功にかなりこだわり、朝の練習ではちょっと慎重に跳んで、回転不足で転倒しました。

――本番では、右足で踏み切る4回転ループを回避するなど、ジャンプ構成を変更した。

オーサー:ホテルに戻って治療後、結弦とミーティングをし、右足に負担がかかる4回転ループや3回転ルッツは入れないなど細かい相談をし、最終的に結弦が決めました。本番では4回転を三つとも決め、結弦の精神力の強さを見せました。あの時に出来る、最善の選択肢であり、最高の演技でした。

――全治3週間という見立てもあり、グランプリファイナル、そして全日本選手権の出場が危ぶまれる事態になった。

オーサー:けがの程度にもよりますが、おそらくトロントで治療することになるでしょう。結弦はチーム・ブライアンの一員として、居場所を持っています。痛みやけがの程度は結弦にしか分からないので、自分のペースで練習が出来る環境が良いでしょう。

――けがからの復帰、そして今季の計画は?

オーサー:けがの程度がまだ分からないので、明確な時期はまだ言えません。しかし一つだけ言えるのは、結弦は必ず蘇(よみがえ)るということ。これまでも、けがや病気から何度も復活し、その度に更に成長してきました。けがという逆境は、結弦のモチベーションになるはずです。それにフリーは、憧れのプルシェンコのように演じたいという情熱も加わり、魂をこめて練習していました。トロントで見せていたあの素晴らしいフリーの演技を、ぜひ皆さんに見てほしい。結弦もそう願っているはずです。

――4回転アクセルへの挑戦は、先送りになるのだろうか。

オーサー:けがから復帰した後のモチベーションの一つに4回転アクセルはあるでしょう。今回のけがは右足で、アクセルは左足で踏み切るジャンプです。ですからリハビリが終われば練習できるでしょう。私は現役時代「ミスター・トリプルアクセル」と呼ばれましたが、結弦が「ミスター・クワッドアクセル」になったら素敵ですね。結弦が必要とするならばアドバイスもしていきたいですし、彼の夢を応援したいと思います。

(ライター・野口美恵) ※AERA 2018年12月3日号



4回転ループというのはどんなに好調な時でもタイミングがわずかに違うだけでミスをするジャンプです。結弦は4回転ループの成功にかなりこだわり、朝の練習ではちょっと慎重に跳んで、回転不足で転倒しました。

結弦くんは「事故のようなもの」と言ってましたが、本当に不運でした。でも、オーサーの言うとおり、試練の後には、必ず以前より大きく成長して戻ってくるのが羽生結弦というアスリートです。「転んでもタダでは起きない」というのは、羽生結弦のためにあるような言葉だと思います。

トロントで見せていたあの素晴らしいフリーの演技を、ぜひ皆さんに見てほしい。

ロシアの地で、完璧なフリーを披露するために、トロントで自分を追い込んでいたのでしょうね。そして、ランスルーでは、すでにノーミスで滑りきれるようになっていたのではないでしょうか。それだけに、悔しかったことでしょう。それくらい思い入れのあるロシアだったから、どうしても滑りきりたかったのでしょうね。


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2018/11/27 15:11 | テレビ番組・コラム(2018-2019)COMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

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