パトリック・チャン「ユヅルが切り拓いた新時代」感想
今日は、Numberの感想記事です。 ← アマゾンサイトへ
この号のNumberに、パトリック・チャンが結弦くんについて語った「ユヅルが切り拓いた新時代」という記事が掲載されています。ライターは田村明子氏で、WEB記事の方は妄想まじりのクソ記事だったようですが、本誌の方はマトモです。WEB記事のような内容だと羽生ファンが買ってくれないことはわかっていたのでしょう。無料のWEB記事だから、自分の我(願望?)やら私情やらが思いっきり前面にでてしまったのでしょうね。確信犯だからよけいタチが悪いともいえますが、WEB記事で幻滅された人も、こちらは良記事となってますので、よほど田村アレルギーのある人以外は、購入されても問題ないと思います。
私が一番心を打たれたのは、パトリックの最後のこの言葉です。
ユヅルが平昌で2度目の金メダルを手にするのを目にしたときに、思いがけない感動がわいてきたんです。実を言うとソチオリンピックでは、まだそれほど経験のない新人に負けてしまったという忸怩たる思いをなかなか拭い去ることができなかった。でもユヅルがソチから見せた成長ぶりと、彼の歩んできたオリンピック2連覇への道のりを目にしたとき、この素晴らしい物語の中に自分も参加できたことを誇りに思いました。ソチオリンピックの結果はなるべくしてなったのだ、と自分を納得させることができた。これほどの選手だったのだから、自分が負けたのは仕方のないことだったのだということを、ユヅルが平昌で証明してくれたのです。
NHKの「アナザーストーリー」で、ハビは最後にこんなことを言ってました。
まずは、今のケガをしっかり治してほしいです。ケガさえ治れば、後はもう好きなだけ「前」へ、「前」へと、目指していけばいい。
そしてもし引退する時がきたら、その時初めて「後ろ」を振り返って見て欲しい。君が登ってきたのは、今後、永遠に語り継がれる道のりだ。その道のりの途中に、僕の名前があるのも、お忘れなくね。
ブライアンもメントール賞受賞のビデオメッセージにこんな言葉を寄せてました。
世界フィギュアスケート選手権大会、そしてオリンピックでの羽生選手の偉業は日本だけでなく世界のスケート界をさらなる高みへと引き上げました。私も少しではありますがお手伝いできたことを大変光栄に思います。
パトリック:この素晴らしい物語の中に自分も参加できたことを誇りに思いました。
ハビ:その道のりの途中に、僕の名前があるのも、お忘れなくね。
ブライアン:私も少しではありますがお手伝いできたことを大変光栄に思います。
表現が違えど、3人の言っていることは同じですよね。
ハビやブライアンだけでなく、パトリックまでが、史上最高のスケーターと評価され、フィギュアスケートの新時代を築いた羽生結弦の「物語の登場人物」の一人であることを誇りに思ってくれてる・・・それが本当にうれしいと思いました。日本では誰も言わないけど、世界では、羽生結弦は「フィギュアスケート界の偉人」です。間違いなく、フィギュアスケートがこの世にあるかぎり、永遠に語り継がれることでしょう。
もし、結弦くんがソチ五輪の金で満足して引退していたら、もし現役続行していてもオリンピックチャンピオンに相応しくない不甲斐ない演技を続けていたら・・・パトリックも、ソチで金メダルをとれなかった後悔から解放されることはなかったのではないでしょうか。こんな選手に負けたのか・・・と、ずっと吹っ切ることはできなかったのではないか・・・そう思います。
パトリックは、結弦くんと世代が違ったので、結弦くんの急成長を警戒するのが少し遅かった。もし、同国人だったら、もう少し早く気づいて、なんらかの対策を打ったかもしれない。パトリックが意識してたのは、どちらかというと年齢の近い高橋さんの方だったようで、結弦くんが自分にとってヤバイ存在だとわかったのが、実はソチ五輪シーズン。もう手をうつには遅すぎたのです。
ユヅルは新しい世代のスケーターの先駆者で、すごい技術を持っている。実を言うとこんなに早く彼のような選手が出現すると予想しておらず、心の準備もしていなかった。
2013年の世界選手権は、結弦くんは、インフルエンザに膝痛にあげくは捻挫と、体調不良のオンパレードで4位でした。結弦くんの世界選手権出場史上、唯一台落ちした世界選手権です。でも、ここで結弦くんが台落ちしたことで、よけいパトリックに油断が生じたのではないかとも思います。このときの台落ちが、最大のライバルに隙を与えたとしたら、結弦くんのマイナスをプラスに変える運命力はやはりハンパないですね。
ハビも結弦くんのことを語っている「彼は心の底から戦士だった」という記事も同時に掲載されてますが、ハビは「羽生結弦語り」はこれまでもなにかにつけてありましたから、それほど新味はないかもしれません。パトリックはこれまであまり結弦くんについて語ることがありませんでしたから、こちらは必読かなと思います。
次は、パトリックよりずっと前から、結弦くんを脅威に感じていた日本人選手について記事にする予定です。
実はこの3人の表彰台ないんですよね。これはマルセイユファイナルのSP終わった段階でのプレカンかな? 一度でいいから見たかったです(もちろん真ん中は結弦くんで!)。この3人がトップ争ってる頃が一番男子シングル面白かったよ・・・。
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2019/05/04 13:10 | スケート書籍感想 | COMMENT(15) | TRACKBACK(0) TOP