羽生結弦がSOIに出演する理由を考えてみる

結弦くんは、2014年以来6年ぶりに、スターズオンアイスに出演します。



結弦くんは、八戸と横浜にINします。

八戸公演の会場は「フラット八戸」です。2020年竣工。できたてホヤホヤで、このスターズオンアイスがこけら落し公演となります。

スターズオンアイスが八戸で公演すると知ったとき、ほんのちょっぴり「もしかしたら?」という気持ちがありました。でも「今年はFaOI以外にも東京五輪の仕事もあるかもしれないし、過密スケジュール。まさかね。」と思い直しました。でも…やはり出るんですね。本当に結弦くんは義理固さが服着て歩いてるような人。八戸でなければ、おそらく結弦くんは、6年ぶりにSOIに出演することはなかったのではないかと思います。

結弦くんの2014年の24時間テレビの中継地は青森県のテクノルアイスパーク八戸でした。
実は結弦が被災したあと、主に神奈川スケートリンクを使っていたのですが、同時にテクノルアイスパーク八戸にも世話になっていました。そして、世界選手権で3位に食い込んだプログラムの振り付けはテクノルアイスパーク八戸で行われたのです。

そしてこのテクノルアイスパーク八戸には、結弦くんが被災の日に履いたまま避難した刃が欠けてしまったスケートシューズが置いてあるそうです。


テクノルアイスパーク八戸


「練習に来る東北の若いスケーターにこれを見てもらって少しでも元気になってほしい」という気持ちから寄付したもので、2012年の9月から展示されています。

テクノルアイスパーク八戸は、結弦くんにとってアイスリンク仙台、神奈川スケートリンク、クリケットとともに、思い出深いリンクのひとつなのです。八戸公演があるのは、テクノルアイスパーク八戸ではありませんが、お世話になった八戸へのお礼の気持ちから出演を決めたのではないかと思います。なんといってもこけら落とし公演。失敗させるわけにはいきませんものね。

結弦くんは、2015年以降、基本CIC主催のショーにしか出演していません。「Heroes & Future 2018 in NAGANO」、あれも一応CICが絡んでいました。しかし、わずかですが、イレギュラーにCIC関連以外のショーに出演したことがあります。

結弦くんは何の理由もなく、イレギュラー出演する人ではありません。
必ず、とてもわかりやすい意味や理由があります。


頭に思い浮かぶCIC以外のイレギュラー出演は、今回のも含め3つくらいでしょうか。

2016年1月 「ニューイヤーズ・オン・アイス」(大阪)に出演
2017年8月 「真夏の氷上カーニバル」(横浜)に出演
2020年4月 「スターズオンアイス」八戸・横浜公演に出演
 

2016年1月16日と17日、2日間に渡って開催された「ニューイヤーズ・オン・アイス」。ちょうど1月17日阪神淡路大震災の日です。関西を襲った悲劇の日のアイスショーに出ることに、彼なりの意味があったのだと思います。怪我も癒えない身体で、痛み止めを飲みながらの出演でした。そして、その日に演じたプログラムはサラ・オレインさんの 「The Final Time Traveler」。この曲はイシイ・ジロウさんが阪神淡路大震災をテーマに作った曲です。

結弦くんは、2017年8月16日、横浜市神奈川区内で行われた「真夏の氷上カーニバル」に参加し、エキシビションナンバー「花になれ」を披露しました。2011年の東日本大震災後、アイスリンク仙台の営業休止で、一時期神奈川スケートリンク(現・横浜銀行アイスアリーナ)にお世話になっていたのです。イベントは神奈川区制90周年の記念事業として行われました。都築コーチがお願いしたわけではなく、結弦くんからの申し出だったそうです。「鶴の恩返し」ならぬ「結弦の恩返し」だったのだと思います。

ツィッターをみると、「IMGとも提携を考えてるのでは?」という声もありましたが、私はそれはないと思います(引退後はどうなるかわかりませんが、少なくとも現役の間は)。理由は「お世話になった八戸への恩返し」しか考えられない。では、なぜ横浜にも?ということですが、横浜公演は八戸公演の翌週なので、はっきりいうと「ついで」かなと(笑) わざわざカナダから帰国するわけですし、おそらく「なんとか横浜も」とIMGに頼みこまれたのではないでしょうか。大阪と名古屋は出ないようですが、結弦くんも大阪と名古屋には何の義理もないですからね。

結弦くんが震災で練習場所を探していたとき、中京大のトレセンで練習させてほしいとお願いしたけど、中京大が受け入れの条件に自校転入を出したためかなわなかったそうです。中京大もアホですね。そのときちょっとでも手を差し伸べて恩を売っておけば、これだけ義理固い結弦くんのこと、名古屋のメモリアル的なアイスショーがあったら出てくれただろうに。ジャパンオープンだって、結弦くんが出場したがっていたときに拒否するから、今になって出てほしくても出てもらえないのよ。まあ、これだけ化けるとは誰も思わなかったのだろうけど。

これからチケット争奪戦が始まるのでしょうけど、個人的にはSOIはパスする予定です。
あとからくるファンタジーオンアイスに全精力を傾けたいので、力を温存しておこうと思います(笑)


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2020/01/15 20:10 | アイスショー・イベントCOMMENT(16)TRACKBACK(0)  TOP

ミーシンの新採点関連インタまとめ 「地獄への道は舗装された」~最新インタまで

ロシアの重鎮・ミーシンの発言を少しまとめます。

こちらは、平昌五輪後の新ルールについてのミーシンのインタです。
1年半ほど前の発言なので、ご存知の方も多いと思います。



長いインタビューですが、興味深い前半部分だけ翻訳します(ほぼ機械翻訳です)。

ロシアの伝説的なコーチ、アレクセイ・ミーシンは、次の国際スケート連盟の会議で提案された規則の変更は、スポーツの進歩を妨げる可能性があると警告します。

「私の記憶では、私がコーチとしていう間に2つの大きな変化がありました。コンパルソリーの廃止と新しい(ISU判定)システムの導入です」とミシンは言いました。 2006年には個人の金メダル、2014年にはチームの金メダル。これらは、フィギュアスケートのスポーツ全体を変えました。いくつかの部分では改善されましたが、いくつかの部分では悪化しました。」

「”才能のある人”と”才能のない人”の見方が変わりました」と彼は続けた。 「誰が良いコーチであり、悪いコーチであるかが変わりました。彼らはフィギュアではなくジャンプを判断しなければならなかったので、「良いジャッジと悪いジャッジが誰か」も変わりました。フィギュアスケートの生体力学に関する書籍を数冊執筆したこのコーチ(ミーシン)は、スピンやフットワークなどの要素の創造性が失われたと感じています。

現在、ミーシンは「革新性」をもつ第3の大きな変化を目の当たりにしており、特にマイナス5からプラス5の範囲の執行レベル(GOE)の導入について懐疑的です。

「これらの変更は、判断の客観性に大きな打撃を与えると思う」と彼は警告した。 「プラス、3、プラス4、プラス5-違いを生むことはできません。基準はありません。技術審判がそれらを紙に書き留めますが、ジャンプは基本的に誰もが同じように行われるため、それほど区別することはできません。 1994年のオリンピックチャンピオンのアレクセイウルマノフと2015年のワールドチャンピオンのエリザベータトゥクタミシェバを含め、「あなたの友人はプラス5を、敵はプラス1またはマイナス1を与える。そして、このプラス5が勝敗の行方を決定づける」

ミーシンは、GOEのマイナス3からプラス3の現行の範囲で十分だと考えている。現在、トップアスリートの中には、実際にはあまり良くない要素に対して肯定的なGOEを取得しているものがおり、常に適切な方法で使用されてはいません。 「一部の女性はダメなダブルアクセルを跳んでいるが、それでもプラス2を獲得している」と彼は指摘しました。 「したがって、これに5を加えたものは大きな打撃になります。トップ選手はプラス5がつき、トップでない選手はゼロまたはマイナス1がつく。地獄への道は善意で舗装されています(良かれとおこなった改革が酷い結果になる)」

1956年にスケートを始めたコーチ(ミーシン)は、ジャンプの基礎点の変更と、1/4でアンダーローテーションがとられることにも批判的です。これまでは、1/4回転以上だった。ミーシンは、カメラの角度やジャンプの記録方法が違いを生む可能性があると指摘しています。たとえば、実際には回転不足のジャンプは回転しているように見えたり、逆の場合もあります。

サンクトペテルブルクのレスガフト物理学、スポーツ、健康大学の教授でもあるコーチは、ミスのペナルティがそれほど大きいと、スケーターは新しいジャンプを学ぶことを思いとどまるだろう感じています。 「競技で新しいジャンプを跳ぶにはモチベーションが必要です」とミーシンは語ります。ミーシンは何十年もの間、フィギュアスケートのテクニックを研究しており、世界中で使用されているジャンプを教えるための練習と方法を開発しました。 「競技者が競技会でジャンプを跳ばなければそれを習得するスピードは遅くなり、競技会で跳べばより早く習得することができる」



ミーシンの著書の翻訳をUPしてくださっています。その一部を。


 ソルトレイクシティオリンピックはIOCの新会長、ジャック・ロゲ氏にとって初めての大会でした。彼は当然フィギュアスケートの試合に居ました。まさにそこで、ISU会長のオッタビオ・チンクアンタは、評価の主観的な要因を最小限まで抑えられるであろう、より現代的な新ジャッジシステムへの移行をできるだけ早く実現することをIOC会長のロゲ氏に約束しました。しかし、現実が証明しているように、最高位がメートルや秒で決定されないスポーツ種目で、まったく客観的にジャッジすることは実現不可能な夢です。ロシアの首相の一人、ヴィクトル・チェルノムイルジンによる素晴らしい格言を引用すると:≪我々は良かれと思ってやったが、いつもと同じような結果に終わってしまった。≫

 以前は9人のジャッジのうちの5人が審判団の多数となり、申し合わせて特定の選手の勝利を保証することができましたが、今は技術審判団の席に座る3人のうちの2人で試合の結果を決定するのに十分になっています。これは、技術審判団の構成をちょっと見ただけで、特定カップルのステップシークエンスの難しさのレベルを氷に出る前であっても決めることができるアイスダンスの試合でも起こっています。シングルの試合でも技術の専門家たちはまったく同様です。例えば、4回転トウループは回転が足りていると考えることもできるし、自分の片寄った考えでジャッジすることもできます。ルッツのエッジが内側に見える時もあれば、それが見えなくなって見逃すこともできます。あるエレガントなアメリカのスケーターについて、ジャーナリストたちはこう書きました。:≪彼女が故郷から離れれば離れるほど、彼女の回転不足は多くなる。≫ そして逆もあります。ジャッジ手順の詳細には深入りしませんが、知れ渡った真実を言いましょう。新システムは十分に客観的なものではなく、ジャッジの好き嫌いから私たちのスポーツ種目を完全に救うことはできませんでした。



新採点への移行のきっかけはソルトレイク事件でした。
これでフィギュアはあやうく五輪種目から外されかけたのです。
ソルトレイク事件のあらましはこちら


≪我々は良かれと思ってやったが、いつもと同じような結果に終わってしまった。≫
新システムは十分に客観的なものではなく、ジャッジの好き嫌いから私たちのスポーツ種目を完全に救うことはできませんでした。

まさに。五輪種目から外されそうなことをやらかしたのに、フィギュア界はまったく変わる気配はありません。

そして、GOE幅の拡大は、ジャッジの恣意的採点の幅を広げただけで、まさに「地獄への道は舗装されて」しまう結果になりました。
客観的な採点は完全に消えてしまい、「ジャッジの好き嫌い」で勝敗を決めるスポーツになってしまったのです。元々うさん臭いスポーツではありましたが、平昌五輪以降、フィギュアはスポーツとして完全に終わったと感じています。


ミーシンが、世界選手権の予想をしています。


「На чемпионат мира мэтр дал особый прогноз на мужское фигурное катание " Ханю сейчас не выглядит таким спортсменом, который способен победить. Думаю, что золото завоюет Натан Чен. Юдзуру Ханю - безусловно, уникальный спортсмен, но сейчас из всех фаворитов я отдаю предпочтение именно американцу Чену."」

世界選手権で、マスターは男子フィギュアスケートの特別な予測を行いました。「羽生は勝てるアスリートのようには見えません。ネイサンチェンが金を獲得すると思います。羽生結弦は確かにユニークなアスリートですが、今はアメリカのチェンを優先します 」


このミーシンの予測は、一見ネイサンを高く評価しているように見えます。確かに、ミーシンの弟子をみると、つなぎが薄くジャンプに特化した選手が多い。ネイサンの演技スタイルは、結弦くんよりミーシンの弟子の方が近いかもしれない。しかし、ミーシンは結弦くんのことは「染色体の奇跡の融合」とまで、高く評価していました。そして、これまでのミーシンの発言を考えると、「ジャッジの好き嫌い」が勝敗に大きく影響する現システムにおいて、「そりゃ、ジャッジに愛されてるネイサンでしょ」という予測だろうと私は解釈しました。


新採点は「ネイサンルール」と言われています。
まさにネイサンが弱いところを外し、強いところを補強するルールなのです。

・ステップからジャンプできないネイサンのためにSPの「ステップからの単独ジャンプ」要件をなくす
・ネイサンの得意な4Lz・4Fの基礎点は高めに、ネイサンができそうにない4Aや苦手な4Loの基礎点を低めに設定
・GOEにまで係数をかけ、基礎点が高いジャンプほど高いGOEがつくようにする
・全米でネイサンにありえない爆盛採点をして、そのナショナル基準をワールドの採点に持ち込む
・それでも飽き足らず、羽生結弦限定でシリアスルールを適用、PCSを削る


トップ層では結弦くんとコリャダくんとボーヤンしかできないディレイドジャンプもプラス項目から外されました。そしていまやプレロテジャンプ全盛時代に。タノジャンプもプラス項目から外されましたね。これは主にロシア女子対策だと思いますが、男子に目を向けると、タノジャンプができるトップ男子は結弦くんだけなのですよね…。

まだ決定していませんが、ネイサンの繋ぎレス演技に批判が集中するとそれをクリアするために、繋ぎの項目をなくす案がでているようです。ISU副会長のラケルニクがこの案に賛成しているので、通る公算が高いとか。この案が通れば、ネイサンは今以上に堂々とスカスカ演技ができるというもの。しかし、ただのジャンプ大会ならもう音楽必要なくね?(笑)

言い換えれば「ここまでネイサンにアドバンテージを与えないと羽生結弦を勝つことはできない」と白状しているようなもの。
そして、自国スケ連のサポートもなく(むしろ足を引っ張られている)、これだけ不利な状況におかれながら、それでもネイサンとのトップ争いに食らいついている結弦くんの異次元さをあらためて感じます。

ネイサンは20歳。スケーターとしてピーク年齢です。対して結弦くんは25歳。本来ならピークアウトしていてもおかしくない年齢なのです。しかし、私の目にはネイサンの進歩はジャンプが安定したことだけ。結弦くんの方が今なお進化しているように見えます。

ネイサンと関係ないですが、全日本のジャッジについて、岡部さんのアカウントに批判のコメントが寄せられました。岡部さんは批判コメントについては無視されていましたが、まあ、岡部さんからすると「フィギュアの採点なんて依怙贔屓があって当たり前でしょ! フィギュアってのはず~っとそういうものだったの! ましてや全日本なのよ? つまんねーことで凸するんじゃないわよ! だから羽生ファンはニワカばっかりでいやなのよ!」とか思ってんじゃないでしょうかね、たぶん(笑)


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2020/01/15 12:20 | 海外情報COMMENT(6)TRACKBACK(0)  TOP

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