ガヤゲ「なぜ日本の連盟は羽生を守らないのか」 ~田村明子氏著書より

田村さんの男子フィギュアに関する著書「翼を羽ばたかせて 世界のトップスケーター12人がつむぐ『氷上物語」」の感想です。気になる部分があったので、図書館で借りました。


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とりあげているのは海外男子6人と日本男子6人です。すべて現役。
海外男子:ネイサン、ジェイソン、エイモズ、リッツォ、キーガン、アリエフ
日本男子:羽生、高橋、宇野、島田、佐藤、鍵山


「翼をはばたかせて」というタイトルの意味を「はじめに」でこう書いています。


現在の日本のフィギュアスケート界には、羽生結弦選手という巨人がいます。
彼本人が成し遂げてきたことの素晴らしさももちろんですが、彼がこれまでの活動を通してこのスポーツにもたらした影響はどれほどのものなのか、一言ではとても言い尽くせません。多くのスケーターたちを取材していて、どの選手の口からも羽生選手の名前が出てこないことはなかった、と言って良いほどです。
現在のフィギュアスケート男子は、羽生選手という奇跡のような選手の翼によって、全体のレベルが引き上げられてきたのです。本書のタイトルには、そのような意味が込められています。



この「はじめに」の言葉から、各選手の「羽生結弦を語る」みたいな部分を期待しましたが、あまりなかった(笑) 一応、結弦くんに「表面上は」敬意は表してくれてるようですが。

読んだのは、海外スケーター全員と、結弦くん、島田くん、佐藤くん、鍵山くんの以上10名。
海外選手6人は田村さん自ら単独取材をしてます。

ぶっちゃけていうと、田村さんというライターは、フラットな立場で書いてるときはいいんです。でも、こと自分が思い入れのある選手となると、贔屓が露骨に表にですぎる傾向があります。たとえばネイサン。もう贔屓の引き倒し状態でした。ネイサンが好きなのね~というのだけはわかりました(笑) なんか、日本のメディアの「ネイサンはパーフェクトヒューマン!」連呼を思い出したわ。


オーリンズ・アリーナの会場は、ほとんど満席状態だった。
このスケートアメリカの客席が埋まったのは、ネイサン・チェンが出場していたためもあっただろう。ラスベガスからそう遠くない、ソルトレイクシティで生まれ育ったネイサンは、現在アメリカでもっとも人気があるフィギュアスケーターだ。
人気の秘密の一つには、彼が二足のわらしをはいているということもある。



アメリカでもっとも人気があるのに、なんであんなにスケアメでも全米でも投げ込みが少ないのか。アメリカスケ連のトーナメント方式のエキシビション人気対決で、なぜ2回戦で早々に敗退したのか(1回戦ですら無名のペアに僅差で勝った状態)。EX対決でアメリカチームの中で最後まで残ったのがジェイソン。アメリカでの投げ込みもジェイソンの方がはるかに多い。なによりアメリカのスターズオンアイスのあのガラガラが説明つかない。ラスベガスのスケアメの客入りの記述も、アリさんが言ってたのと全然違う。ちなみにアリさんはラスベガス在住。


「羽生結弦の健康と繁栄を願う」 ~アリ・ザカリャンインタビューより

私たちがいまいるラスベガスを例に取りましょう。スポーツと興行の街です。フィギュアスケートのスターにローラースケートで一回りしてもらうために、ラスベガス大通りのラスベガス・ストリップが何時間にもわたって封鎖されていたのを覚えています。現在、ラスベガスのメインスタジアムでは二度の世界王者やアメリカ王者が滑っていますが、観客席の状況見ると、控えめに言っても、もうちょっとでもよくできなかったものかと…。


アリさんは、ラスベガスのスケアメの客入りはよくなかったと言ってます。ネイサン贔屓のアリ氏が満席をガラガラと嘘つく理由もなく、田村さんがネイサン上げのために「ネイサンのおかげで満席」と脚色してるようにしかみえないのですが…。

あと、ネイサンの人気の理由は名門イェール大入学とスケートの両立のおかげ!という田村さん。「イェールと両立してるのに、シーズンランキングが低いのはおかしい!」とわけのわからないことを言っていたハーシュ氏と気があいそう(笑) 以下は、田村さんのネイサンマンセーの一部です。


「不可能を可能にしてきたネイサン」
「早口なのは頭の回転が並外れて速いから」
「大学生なのに、考え方はすでに成熟した大人」
「文武両道、あまりにも出きすぎのネイサン」
「スーパーマン並みのことをなし遂げてきたネイサン」



ディック・バトン氏はハーバード大学在学中に五輪二連覇したそうです。時代が違うとはいえ、文武両道のスーパーマンというのは、それくらいのことをしないと言えないでしょう。また、フィギュア界以外のスポーツ界で、アイビーリーグと競技生活を両立している選手は珍しくないかと思います。

また「僕の両親は、僕に人より上にいってほしいなんて願ったことはない」というネイサンの言葉にも疑問が…。ラファが止めたのに平昌五輪のSPで無理やりルッツを入れて自爆したのは、両親がルッツを入れることを命令したからで、ラファがブツブツ文句言ってましたが。

スケアメの最終日、ネイサンはIDを首からかけておらず、警備員に止められ中に入れてもらえなかったそう。アメリカで人気NO.1スケーターなのに、スケアメの警備員すら知らないネイサンって…。自分が無名なのを自覚してるネイサンに、「道を歩いていて、ファンに声をかけられたりしないの?」とか「大学のキャンパスでは生徒から声をかけられたりしないの?」とかしつこく聞く田村さん。そのたびに繰り返し否定してるネイサンが気の毒になりました。「聞いてやるなよ」と。「イェール大学ではユヅだって無名だし!」なんて言ったのは、田村さんがしつこすぎていい加減ウンザリしたからじゃないの…。 

私が日本男子2人の章をスルーしたのは理由があります。単純に興味がなかったのもあるけど、ネイサンでこれなら、その2人だとさらに気持ち悪くなるだろう(笑)と思ったから。ネイサン以上の主観入りまくり、フィルターがっつり、脚色ありまくりなのが想像できたからです。ネイサンの章も突っ込みまくりながら読んでいたので、これ以上疲れたくありませんでした。2人の章も一応トライしてみるかとパラパラと少し見たけど、やっぱり無理でした(笑)


さて…本当は読む気がなかったこの著書を手に取る気になったのは、とても気になる部分があったからです。結弦くんの章です。そこの部分を抜粋します。トリノファイナルでのことです。


だがSPとフリーとノーミスで滑りきったネイサン・チェンに追いつけず、2位に終わった。順位はともかくも、40ポイント以上の差がついた最終スコアには疑問の声もあった。
「40ポイント差なんて、あり得ない!」
そう私に語ったのは、フランスのスケート連盟会長・ディディエ・ガヤゲ氏である。トリノからの帰りの飛行機で、経由地のパリまで偶然、隣り合った。

「日本の連盟は、なぜISUに抗議しないんだ。自分のところの選手を守ろうという気がないのか。ぼくはミスター・イトー(伊東秀仁フィギュア委員長)にそう言ったんだ」
熱っぽくこう語ったガヤゲ氏。



こういうエピソードを書いてくれただけ評価しますが、田村さんは体制側の人なので、最終的にはジャッジを擁護していました。

他国からみたら、日本のスケ連の羽生結弦の扱いはさぞ不思議に映るでしょう。日本のスケ連は羽生結弦がどんな扱いをされようとも、絶対抗議などしない。守ろうとはしない。それは皆さんもご存じのとおり。

キムヨナ時代で時間が止まっているマ〇タが、紀平さんの移籍について「オーサーの政治力を期待してるんだろう」などと言ってるようですが、そんな期待するような政治力は今のオーサーにはありません。そんなのあったら、結弦くんやジュンファンがあんなひどい採点されるはずがない。ジェイソンが下げられないのは、オーサーじゃなくアメリカがついているからです。ただ、そんな日本のスケ連も紀平さんには政治力を使ってくれるでしょう。その分、オーサーはずっと楽でしょうね。


結弦くんの章は別として、海外スケーターの方が本人に単独取材してる分読み応えがありました。


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2020/06/18 11:35 | スケート書籍感想COMMENT(19)TRACKBACK(0)  TOP

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