「アメリカはアジアの選手の成功を喜ばない」~アメリカのチャンピオン製造の黒歴史
プラネットハニューさんの記事を紹介します。とても読み応えがありました。
かなり長いですが、ぜひサイトに飛んで読まれることをお勧めします。
(アメリカが)アジアのアイスショーに出演するアジアの選手の成功を喜ぶと思いますか?
— みずほ (@traveler_mizuho) November 23, 2020
今ではジャッジ達はまるで重箱の隅をつつくように羽生のフィギュアスケートの粗探しをし、例え粗が無くても何かを見つけようとします。https://t.co/DhiOdYcljX
アメリカがいかに大国の政治力を利用して、自国から多くのチャンピオンやメダリストを量産してきたか…を分析してくださっています。ある海外のスケオタが言っていた言葉を思いだします。「羽生には足りないものは何もない。ただひとつ。アメリカのパスポート以外は」。
プルさんは「ユヅルは五輪3連覇できる。日本のスケ連が五輪に集中させるなら4連覇も可能だ」と言っていた。可能です。しかしそれには条件がつきます。アメリカから有望なライバル選手が現れなければ…という条件が。それはプルさんが自分の経験で一番よくわかっているでしょう。
「ネイサンルール」と揶揄されるネイサンに有利なルール改正をし、GOE7段階を11段階にすることでよりジャッジの裁量が幅をきかせるようになった。ネイサンのジャンプは着氷すれば高いGOEがつき、ステップは蹴躓いてもGOE満点、ノーカンスピンもレベル4と判定されプラスのGOEがつく。かたや、結弦くんのジャンプはどんなに完璧でもGOEを渋られ、足りてるジャンプは回転不足をとられ、さらにはシリアスルール(「羽生限定ルール」と呼ばれる)でPCSを下げられる。
本当の実力がどちらが上か、どちらの方が出来が上だったか…それらは関係ない。ジャッジはもう決めているのです。どちらを勝たせるかを。
アメリカは他のどの国よりも多く勝ち、数十年もの間、この競技を支配し、その後、姿を消しました。アメリカ人スケーターがいなくなった訳ではなく、ただ単に彼らが勝つのを止めたのです。
アメリカフィギュア界にも長い冬の時代が訪れます。昔ほどメダルをとれなくなりました。女子の最後の五輪金メダリストは2002年のソルトレイクのサラ・ヒューズが最後。メダリストとしても2006年のサーシャ・コーエン(銀)が最後です。男子は2010年のトリノでライサが金メダリストになりましたが、それがあの有名なインマンメールによる結果であることが明らかになり、せっかくの金にケチがつきました。ネイサンは、そんなお寒い状況のアメリカフィギュア界に久々に現れた唯一の希望の星。アメリカが総力を結集して推すわけです。
スコット:ネイサンはただの化物!僕達は何世代もスケートを見てきてその進化がわかる。僕達は良くなりたいと常に思ってる。でも彼は物凄く冷静で良くなろうとするのが自然体なんだ、出て行ってやるべき事をする。彼の複製は誰にもできない。彼の人生は壮大で映画にすべき、母親の教え等積み重なって、
— Sky (@is_the_limit) November 21, 2020
イェール進学など賢さ、その他全部。それが試合で明らかになる、彼は目立ちたい様な人じゃないんだ、トップにいる彼を突き落としたいと思う様な人は居ないんだよ。試合で勝ち続けるのを色々言う人がいるけど、それは本当に彼がただベストだから。謙虚で他の人の為に自分の時間を割く素晴らしい若者。
なんて言うのか、上の人なんだ。勿論努力家だろうけど良くなろうと強く思ってるんじゃなくて、そんな生き方をする人。彼の全てが好き。質が高いし。4Lzは後の方がずっと大きかったよね。リンクのカバー率の高さ。ただ良いんだよ。過去に彼の様な人は居なかったし今後も長い間現れない。彼は特別なんだ
これは、EDAEのエアリアルチャレンジというイベント(バーチャルでジャンプを競うイベントらしい)で審査員をしていたときのスコット・ハミルトンのコメントです。ハミルトンは、1984年のサラエボ五輪で、オーサーと金メダル争いをして、金メダルを勝ち取ったシングルスケーターです。旧採点時代で、規定が苦手だったオーサーは7位発進。ショート・フリーとも1位でしたが、規定の順位が足を引っ張り金を逃しました。規定がない今のルールであれば、オーサーが金メダルだったでしょう。「オーサーの方が金にふさわしかった」と今でも言われる所以かと思います。
以前、フィギュアスケーターと身長の関係について記事にしたことがあります。
→ 男子シングルスケーターと身長について調べてみました
1988~2014年までのオリンピックチャンピオン(8人)の身長 : 171~188cm
1988~2014年までのオリンピックチャンピオン(8人)の平均身長 : 178cm
ハミルトンは1984年の五輪チャンピオンですが、高難度ジャンプ全盛で小柄な選手が有利な現在と違って、以前はあまりにも小さな選手はチャンピオンになれない時代でした。160cmしかないハミルトンは例外でした。とすれば、彼も「アメリカのパスポート」の恩恵を受けた一人かもしれません。
過去に彼の様な人は居なかったし今後も長い間現れない。彼は特別なんだ。
ん? これまで、結弦くんが各方面からささげられてきた賛辞じゃん。ネイサンにスライド?(笑)
彼の人生は壮大で映画にすべき
羽生結弦の世界的人気は五輪二連覇してるからだけではなく、彼の人生が尋常じゃなくドラマチックであることも理由のひとつではあります。それをアメリカも意識しているのか。イェールやら移民としての苦労やらの装飾品でネイサンの人生まるごと飾り立て「ドラマチックな羽生結弦」の地位をネイサンに移譲させたいという意図がミエミエです。
これは今年のスケアメでのジョニーの実況です。
SA20【ネイサンSP】ジョニ:北京は俺のものだ!って宣告するような演技だった。3A練習の成果でてる。振付もいい。タラ:4T-3Tに変えて来た。高さもあって。完璧。Wowクワドは教科書レベル。流れがあって。ラテンの選曲もいい。どの曲も自分のものにする。4F余裕。スケーティングも伸びてる。
— Winter (@Winter026) October 24, 2020
オーサーのライバルだったハミルトンがどんだけネイサン上げしていても、「はいはい、アメリカ、アメリカ」と流せるのですが、結弦くんがリスペクトプログラムをささげるほど慕っているジョニーがネイサンの太鼓持ちに成り下がっている姿はあまり見たくありませんでした。ジョニーはNBCから雇われているのだから、NBCの意向に沿ったコメントをするのはビジネスです。ただ、おそらく結弦くんも聞いているであろうことを想像すると心が痛みます。
何よりも…ジャッジによって不当な下げ採点される苦しさを、ジョニーは一番よくわかっているはずの人だからです。そのあたりの経緯に少し触れた記事を過去に書いています。
→ フィギュア選手と同性愛 ~男子フィギュアの価値観とセクシャリティの狭間~ その2
プラネットハニューさんの記事にこんなくだりがあります。
アメリカにとって花形は女子シングルですが、応援したいマッチョがいれば、男子シングルでもいいのです。私は故意に『マッチョ』と書きました。何故なら、女性に優美さが求められるように、少なくとも西洋の概念によれば、男性は男性的で逞しくなければならないからです。
フィギュアスケートが女子またはゲイのスポーツというレッテルを貼られ、潜在視聴者だけでなく選手までこの競技から遠ざけてしまうことを恐れ、欧米のメディアは常に男子シングルのアスレチック面を強調してきました。そして並外れたゲイのスケーターがいましたが、彼らのセクシャリティは私的な問題です。
フィギュア界は今でも保守的です。しかし、今の時代、建前上はポリコレを無視するわけにもいかず、ジョニーに対してしてきたようなあからさまな差別はしにくくなった。そのせいか、昨今はカミングアウトする現役選手もでてきてはいます。しかし、あくまで「男は男らしく」という価値観は変わっていないと思います。あの器械体操のような無味乾燥なネイサンの演技を高く評価するような土壌はもともとあるのです。
ヤグディンが「トルソワは器械体操、コストルナヤは新体操」とか言ってたそうですが、なんとなく言いたい意味はわかります。女子の器械体操タイプはPCSが渋られ、新体操タイプの方がPCSが高くなります。本来、男子も女子も同じ採点基準でなければおかしいはずなのですが…。
日本はATMとしては役にたつので、アメリカの邪魔にならない範囲の選手ならメダルをくれます。しかし、邪魔になりそうなら全力で叩き潰そうとする。ましてや、ATMの本丸がまったく守ろうとしない日本人選手。なんの遠慮もいらない。
色々言いたいことはあるのですが、長くなってきたので、いったん区切ります。また続きは書きたいと思います。
羽生結弦大型写真集 光 -Be the Light-
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タグ : 2020-2021_season
2020/11/24 12:50 | 問題提起 | COMMENT(8) | TRACKBACK(0) TOP