作曲家が語る「羽生結弦と”天と地のレクイエム”」
「3.11を忘れない」…東日本大震災から10年に合わせて開催される「共に、前へ」に合わせて、「天と地のレクイエム」の作曲家・松尾恭伸さんが、曲と結弦くんについてのエピソードをツィッターでずっと発信してくださっています。
こちらは、結弦くんが「天と地のレクイエム」を初披露した5年前の記事です。
作曲者が明かす、羽生結弦選手と「天と地のレクイエム」 https://t.co/ue8gdirERT
— みずほ (@traveler_mizuho) December 15, 2020
フィギュアスケートの羽生結弦選手が演じる、今シーズンのエキシビション・プログラム「天と地のレクイエム」が静かな感動を呼んでいる。使用されている楽曲(原題「3・11」)は、ヒーリング・ピアニスト/作曲家の松尾泰伸が2011年3月11日に起きた東日本大震災の鎮魂曲として完成させたものだ。そしてこの作品に羽生選手が白羽の矢を立てたのだ。その経緯を松尾に聞いた。
「2011年9月に初演したときの映像をYouTubeにアップしていて、それを振付師の宮本賢二さんがご覧になり、羽生選手にご提案いただいたようです。他にも候補はあったらしいんですが、羽生選手は“この曲しかない!”と思ったそうです」。
なぜこの曲だったのか。松尾は、「もしかしたら羽生選手は僕と同じことを感じているかもしれない」と話す。「不思議なんですが、この曲が生まれたとき、自分の意志とは別に、何かに突き動かされるようにピアノに向かいました。そして、まったく知らない、聴いたこともないメロディを弾いている自分がいたんです。それは見えない存在に与えられるような、降りてくるような感覚でした。羽生選手は、このプログラムについてのインタビューで“滑り始めると自分の体の中に何かが降りてくるような感覚になった”と語っているんですが、それは僕が得た感覚とすごく似ているんですよ。彼も何かしらの存在にこの曲を選ばされた、演じさせられたのかもしれない、と思いました」。
松尾は音楽を発信した。羽生選手はそれを演じた。ふたりとも目に見えない存在にその役割を担わされたとすると、いったい何のためだろう。松尾は東日本大震災の惨事をテレビで目にした直後、ピアノに向かっている。羽生選手は生まれ育った宮城県仙台市が被災し、被災地のこと、犠牲者のことを常に思いやっている。
羽生選手の「天と地のレクイエム」を観戦した松尾は、「何か強い決意のようなものを持たれているのを感じた」と話す。
「羽生選手の演技は、他の選手のそれと明らかに表現が違っていました。彼は五輪の金メダリストとしてのプライドもあり、アスリート意識が人一倍強いんだろうと想像しますが、それでもああいった表現はそうできるものではないと思います。あそこまで全身全霊を傾けられるのは、彼が“表現者”だからなんですよ」。
弔慰の気持ちを表する表現者。その思いが届いた先には、「感動」があるのだと言う。
「それは苦しみでも悲しみでもない感情です。人は何があっても、どうにかして生きていかないといけないのですが、そのためのエネルギーが感動なんですね。でも、与えるだけじゃないんですよ。羽生選手も語っていましたが、お客さんが感動することによって演じるほうもたくさんの感動をいただくんです」。
感動の往来が、生きる糧になる。「天と地のレクイエム」は、それを私たちに伝えるために生まれたのかもしれない。
知る人ぞ知る存在だった松尾の楽曲は、今、羽生選手の演技によって世界へと羽ばたいている。この現象をどのように受け止めているのか。
「多くの人に聴いてもらえるきっかけをくださった羽生選手に心から感謝しています。でも、もともと僕はいただいたメロディを発信しているだけなので、ここに僕の思いは何もありません。世界で聴かれているという信じられない展開にも、どこかに“あ、そういうことだったんだ”と納得できる感覚があります。もしかしたら羽生選手も同じようなことを感じているかもしれませんが、目に見えない誰かが役者を集めてそれぞれに役を与えていて、僕たちは無意識なところでその役をこなしている、そうやって世の中が動いているような気がしてなりません。この曲を聴いた皆さんが少しでも心動かされるようなことがあれば、幸運にも奇跡的に「天と地のレクイエム」が世に出させてもらった意味があったのだと思っています」。
取材・文:副田つづ唯
エピソード①~⑦までは、こちらにまとめてます。
http://bltraveler.blog63.fc2.com/blog-entry-4060.html
以下は、エピソード⑧~⑯です。
episode 2015 ⑧ それより先にDOIで披露されたフリー新プロのタイトルが「SEIMEI」。奇しくも私が今季エキシのタイトルに提案させてもらっていた「生命」と安倍晴明の「晴明」がシンクロ!羽生選手もインタビューで、『「SEIMEI」と言う言葉には色んな意味が・・・』と 4:22 2016 5/9
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 12, 2020
episode 2015 ⑨ 私はその頃Twitterには居ませんでしたが、北国新聞 FaOI金沢担当記者さんの「天と地のレクイエム」のタイトルフライングに、こしあんさんが会場で耳コピして打ち込んであげたものにセロリさんupのyoutubeの「3・11」が合致!一気に拡散される事になります。6:31 - 2016年5/10
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 13, 2020
episode 2015 ➉ 私の提案させて戴いたエキシのタイトル「生命(いのち)/天と地のレクイエム」は、「SEIMEI」「天と地のレクイエム」に二分されて今季の2プログラムに命名される事に。たまたまのシンクロにしては出来過ぎた話で、いずれも『天と地をツナグ人』がテーマの物語。4:21 16年5/11
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 13, 2020
episode 2015 ⑪ 当時私は「天と地のレクイエム」の「天と地」という文言を、 震災で亡くなられ天に召された18000の御霊と肉体を持って地上に残された私達全ての御霊にという意味合いを込めて付けさせてもらいました。それから5年、「天と地」の意味にはさらに深い意味が・・・2016年5月12日
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 13, 2020
episode 2015 ⑫ 私は5年に渡り「天と地のレクイエム」を震災で亡くなられた御霊に想いを込めて演奏させてもらって来ました。熊本で2度目の本震が起きた日4/16はレクイエムツアー札幌での演奏に。熊本地震に向けての演奏に初演の時と同じダメージを身体に受ける事になります。2016年6月6日
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 14, 2020
episode 2015 ⑬「天と地のレクイエム」は、震災で亡くなられた魂に向けての表現だけではなく、この時初めて、大地と同調し天に捧げる所作である事を識らされます! これは私にとってもとてもショッキングなメッセージで、生身の身体をもってよくこれまで演ってこれた事と・・・2016年6月7日
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 15, 2020
episode 2015 ⑭ 羽生結弦選手も「天と地のレクイエム」を、今季10回以上も多くの魂・そして、天空と大地のバランスと同調して命を削って滑られて来られたと想います。 それだからこそ・足の故障にも関わらず最後の最後まで・・・。 そしてこの曲は、独り歩きを始める事になります。2016年6月10日
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 16, 2020
episode 2015 ⑮ 今回初めてのオフィシャルアナウンスですが、私はこの曲を当初「海へ」と呼んでいました。あまりにもダイレクトすぎて、JASRAC登録時に「3・11」に変更、その後ある方からこの曲は情景描写の曲だと・・・2016年6月16日
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 17, 2020
episode 2015 ⑯「天と地のレクイエム」誕生の原点、それは2004年『新潟県中越地震』チベット高僧/リンポチェ(活仏)と共に訪れた避難所での慰問演奏。電磁波の異様な臭いが大地から立ち昇る飴の様に曲がった高速を車で臨む。2016年7月1日 pic.twitter.com/2iNmBaomLV
— Yasunobu Matsuo 松尾泰伸★2020新作 Hope TERRA (@02ma7) December 17, 2020
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タグ : 2020-2021_season
2020/12/19 15:00 | アーチスト・裏方・メディア | COMMENT(0) | TRACKBACK(0) TOP