キャロル「今のFSはフィギュアジャンプ」&ネイサン「芸術性を求めるのならダンスを見ればいい」~2017年の米国記事に思うこと

2月19日にいただいたコメントにレス入れました。よろしくお願いいたします。

2017年のこの記事がTLで少し話題になってたので、とりあげます。
長い記事なので、全部ではないですが、重要そうな部分だけ訳しました。



「4回転を1回こなすだけでも、かなりの精度が要求される」とチェンは言う。「練習でも、1つ1つのジャンプにとても集中し、気を配っています。練習でも、1つ1つのジャンプに集中し、細心の注意を払っています。回転と高さを得て、ジャンプを減速し、着氷できるように勢いをつけるのです」。

「芸術性を求めるなら、アイスダンスを見ればいい。私たちが今やっていることは、このスポーツにアスレチックな側面をもたらしているのだと思います」:ネイサン・チェン(フィギュアスケート全米チャンピオン)

「4回転するだけでも大変なんです。そして、次の準備のために体を動かし、さらに次の準備のために体を動かすのです。

振り付けよりも4回転ジャンプを重視すること、そして4回転ジャンプがもたらす得点アップについては、賛否両論があります。長年コーチを務めてきたフランク・キャロル氏は、このスポーツはもうフィギュアスケートとは呼べず、"フィギュア・ジャンプ "と呼ぶべきだと語っています。元スケーターで振付師のロヘーヌ・ウォード氏は、ジャンプを重視することは、それができる競技者にとっては良いことだが、このスポーツ全体にとっては悪いことだと言う。

「芸術的なスポーツなのです」「運動神経だけではダメなんです」とウォードは言う。

しかし、ゲーベルは、2002年のオリンピックでキャロルがコーチだったにもかかわらず、四回転ジャンプの大推薦者である。実際、ゲーベルはそのジャンプ力から「クワッドキング」と呼ばれていた。

「スポーツの要は、より多く、より良くやることだろう?」 とゲーベルは言う。
「25年前と同じペースで走るアスリートを見たくはないだろう。スポーツは進化するものだ。ネイサンがやっていることは進化なんだ。それは助けになると思う。このスポーツに興味を持つようになると思う。そして願わくば、このスポーツに再び勢いを与える一助になればと思う」

チェンがフィギュアスケートを始めたころは、ロシアのオリンピック金メダリスト、エフゲニ・プルシェンコ選手の四回転ジャンプに影響を受けたという。プルシェンコは、四回転ジャンプが特徴の選手である。

「もし、本当に芸術的なものを見たいのなら、アイスダンスを見ればいい」とチェンは言う。「今、私たちがやっていることは、このスポーツにアスレチックな側面をもたらしていると思うんだ。誰もが完全に芸術的になれるとは言わないが、このようなジャンプよりも、そのようなこと(芸術性)に取り組む方が簡単なんだ」 と。

とはいえ、チェンがスケートの芸術的要素を軽視しているわけではない。昨年は、振付師のマリーナ・ズエワと組んで、芸術性を高める努力をしたという。

「このことは、横に置いておいてはいけないことなんだ。これからも続けていきたい。それは、もっと長い時間をかけて取り組むべきもので、時間をかけて徐々に成熟していくものだと思います」 と彼は言う。

キャロルは、チェンは芸術的に大きな飛躍を遂げたと言う。

キャロルはチェンの全米選手権での演技について「LPでは、本当に伸び伸びとしていて、上を見上げているようでした。彼の腕はずっと改善され、ずっと柔らかくなっていた。PCSにおいては、とてもよかったと思います。彼は、よりスムーズで、より観客にアピールするような演技をするようになったと思います。昨年よりも、ずっと、ずっと、ずっと成長していました」

チェンは、世界チャンピオンのハビエル・フェルナンデス(スペイン)や2014年オリンピック金メダリストの羽生結弦(日本)などとの厳しい競争に直面しているが、チェンを排除してはいけない。キャロルでさえ、彼には勝つ可能性が十分にあると考える。「彼が5つの四回転ジャンプをこなし、どんなレベルの滑りでもできて、この先1年でもっと向上することができれば、彼は倒すのが難しいだろう」

2度のオリンピック出場経験を持ち、NBCの解説者であるジョニー・ウィアーは、チェンの全米選手権での中継でこう言いました。「彼はアメリカの希望だ」



参考までに、ブログの過去記事です。ラファの考え方をまとめています。
ラファ「私達は抜け穴を利用して最大限に前進する」~ラファのルール無視発言振り返り

・ルールは違反するためにあるんだよ。
・ルールの抜け穴は最大限に利用しちゃうよ。
・トランジション? クワド跳びながらジャッジにウィンクしろって? 
・ジャッジが気に入らなきゃ、点数が低くするだろ(ジャッジが気に入ってるから点数高いんだよ)。


この「抜け穴」の考え方はいかにもアメリカ人的です。村主さんも言ってました。(記事はこちら

彼ら(アメリカ人)の多くは一攫千金、一発大逆転みたいなのを狙ってて。トップに立つための裏道や近道探しにやっきで、「日々の努力」にはあまり興味がない。

そして、ネイサンは「芸術性芸術性というんなら、アイスダンスでもみてろ」。このコーチにしてこの弟子あり。

ネイサン曰く「(芸術性は)時間をかけて徐々に成熟していくもの」…しかし、このインタビューの2017年から5年たった今、ネイオタを除き、ネイサンの芸術性が向上したと考えている人はFSファンの中にどれだけいるでしょうか。


「4回転を1回こなすだけでも、かなりの精度が要求される」とチェンは言う。「練習でも、1つ1つのジャンプに集中し、細心の注意を払っています。回転と高さを得て、ジャンプを減速し、着氷できるように勢いをつけるのです」

「4回転するだけでも大変なんです。そして、次の(ジャンプの)準備のために体を動かし、さらに次の準備のために体を動かすのです」



今でも助走は長く、「1つ1つのジャンプにとても集中し、細心の注意を払い」「次のジャンプの準備のために体を動かす」ことで精一杯のように見えます。何か進歩がありましたか? 

まあ、本人が「芸術性にとりくむほうが、四回転ジャンプ跳ぶより簡単」とか言っているくらいなので、彼が「芸術性」を軽視しているのは確かでしょう。点数だけを考えれば、4回転を安定して跳ぶ方が効率的です。 

しかし、芸術性を軽視し、ジャンプだけに特化するのなら、音楽は必要ない。キャロルのいうところの「フィギュアジャンプ大会」という別の競技を作ればいいのです。もちろん、その場合はAIを導入して、ジャンプの精度を公正に計測してほしいですが。

アメリカでも「ジャンプ偏重はFSにとってよくない」「芸術的なスポーツなんだ」というウォードのような意見もあったのでしょうが、「ジャンプ合戦は進化」「4回転をより多く跳ぶことで、人々はこのスポーツに興味を持つようになる」というゲーベルや、「ネイサンはアメリカの希望」というジョニーなどの、目先の勝利重視の楽観論が大勢だったのでしょう。

ネイサンを王者にするために、ルールはネイサンルールに変更され、それだけでなく、ネイサンを羽生結弦に勝たせるための恣意的な運用がジャッジによって何年も行われてきました。そして、アメリカだけでなく、ロシアや日本も巻き込んで、「羽生はネイサンには勝てない」というFS界の世論を形成していったのです。この世論はFS村内だけで盛り上がり、村の外にいるFSファンは全く置いてきぼりでした。


軒猿の火穂さんの意見に同意。


「自分がステップから跳ぶ美しいジャンプでの表現を見せる事でその採点の流れを止めたい」とか…。この時点で彼が危惧してた事が今まさに現実のものになってしまった…。そして採点は崩壊し、音楽性に優れた繋ぎの豊富な超高難度の演技が、助走から複数クワド跳んでるばかりの演技に勝てなくなった…。

羽生さんももう、諦めしまったのか、採点に関して何かを発言する事は無くなってしまった…。納得いかない点が出ても悲しそうな顔をするだけで、怒りの感情は見えず、別に何点だろうがどうでも良くなってしまったような…。そんな彼の姿を見るのは辛い。あんなに楽しげに採点を攻略しようとしてたのに…


確かに、2019年のスケカナでは、結弦くんには珍しく、採点や、他選手のジャンプの現状について、突っ込んだ話をしていた。

ソース → 羽生結弦と一問一答1

 ――大会前に言った“自分にしかないもの”はどれくらい出せたか。

 「自分の中でなんですけど、ちょっとずつ高難度のジャンプに偏ってきたなという印象がちょっとあって。自分自身もそうならなくてはいけないという感覚があって練習してきていて。まあ、アクセルもそうですし。ルッツもそうなんですけど。それにちょっと、うん。ちょっとだけでもその流れを止めることができたのが今回の試合だったんじゃないかなと自分の中で感じているので。それが一番良かったかなと思っています。自分の武器が認められたからこそ、その流れにちょっとでも歯止めをかけることができたのかなという感じがしているので。それはたぶん、全スケーターの健康状態にも影響はあると思うんですよね。もちろん、4回転ルッツが本当に難しいのかと言われたら、やろうと思えばみんな跳べるのかもしれないですし。それはもうタイプによりけりですし。僕はどう頑張って練習しても下で回ることができないので。昔からそういうジャンプじゃなかったので。なかなか4回転ルッツに対してのルッツのジャンプじゃないのかもしれないですけど。やっぱりそれぞれのスケーターにそれぞれの個性があって、それがやっと評価されるような採点システムになったのに、それがだんだん高難度のジャンプに傾倒していって、PCSとの比率がだんだん合わなくなってきてるというのが、現在の状況だと思うので。それに対して、ジャンプでも表現できるよ、というところを今回見せられたと思うんですよね。それは非常に良かったと思ってます。特に後半の4回転3回転。ト―ループ―フリップにですけど。あれに関しても、しっかり音に合わせた状態で難しいことをやったので。難しくてもジャンプでも表現できるというのは自分の武器だと思いますし、それによって評価を得られるんだよというところをちょっとでも出せたんじゃないかなという感覚はあります。すいません、ちょっとなんか話が、ばく大、膨大なことですけど(笑い)」

 ――自分の試合に加え、競技の形をつくりだす、と。

 「そういう訳でもないんですけどね。ただ自分がやってきている道が本当に正しいのか正しくないのかっていう風に迷ってはいたので。言ってみればなんですけど、ジャンプ跳ぶ前に凄い固まって静止状態から下で回りながらジャンプを跳ぶことが果たして正しいジャンプなのかどうかというのと。例えば、ステップから跳んだジャンプだったり、ジャンプ終わったあとにステップをやったりとか、そういうものが果たして全部評価されきれているのかということとかに関して凄く疑問を持っていたんですね、ずっと。今シーズン始まってから。一番そこを重要視してきて、ずっとスケートやってきましたし、そこが自分の武器だと思っていたので。今回それをしっかり評価していただけたっていうのは、この道でよかったんだなという自信になりましたし。これからまたルッツとかアクセルとかやっていくにあたっても、そういう道を進んだ上で難しいことをやらないといけないなという確信になりました」



結弦くんは自分の演技で、ちょっとでもフィギュアの方向性を軌道修正したかったのだろう。彼の理想とするフィギュアスケートが、自分の目の前でどんどん違うものに変質していく…その戸惑いは想像以上だったと思う。なんとかその流れに歯止めをかけたいと願った…しかし、彼はいつの頃からか、諦観の境地に入ってしまったように感じる。おそらく、2019年のファイナルを経て、その後の全日本あたりからだろうか。




2019年全日本後インタビュー
「正しく努力をして 正しくいろんな力を使って 貪欲に努力していれば、なんか報われる瞬間がいつか奇跡だったとしても来るんじゃないかなって思っていて、それを待ちながら、苦しみもがき続けたいなって思ってます。」

でも、奇跡はおきなかった。
このときの発言が、北京五輪での「報われない努力ってあるんだな」という、彼の言葉に繋がっていく。


3/13に紹介したゆーさんのツイ、もう一度振り返っておきます。なんとなく繋がってるなと感じるので。


【報われない努力】という言葉の中には
フィギュアスケートの破滅を止めようと
たった一人戦ってきたのに止められなかったことも
含まれているんだろうな

自分だけの目標が達成できなかったなんて
そんな軽いもんじゃない
もっともっと深く重い悲しみと絶望が感じられる

彼はパイオニアであり同時に継承者でありたいと
誰よりも強く願ってスケートを続けてきたはずだ
選手がのびのびと美しい表現をすること
そしてできる限り健やかにできる限り長く
取り組むことができる競技になるように願ってきた
だから「正しいフィギュアスケート」を大切にしてきた

誰よりもフィギュアスケートを愛していたから
彼はたった一人、文字通り命懸けで
愛するフィギュアスケートをあるべきままに守ろうとした
でも守れなかった
目の前でフィギュアスケートが滅んでいくのを
ただ見ていることしかできない
そんな無念が彼の中にあるのではないか…



彼が語った「不条理」という言葉の重み。いくら不世出の天才でも、自国の連盟までがライバル国と結託して、組織ぐるみでかかってこられたら、個人の力ではどうすることもできない。ネイサンの金を讃えるとき、結弦くんは「今の競技フィギュア」という言い方をした。それは、結弦くんにとって「羽生結弦のスケート」と対極的なものとして存在しているのだと思う。たとえ目の前で愛する競技が崩壊していこうとも、彼の自分のスケートに対するプライドは揺るぐことはない。それが救いだった。

ロシアンのドーピング問題と戦争による国際試合からの締め出し。世界中に晒した不可解採点。すべて北京五輪の期間中に起こった。北京五輪は、フィギュアスケートにとって、大きな分岐点になりそうである。悪い意味で。あまりにもFSを愚弄してきたから、FSの神様が天罰を与えたのだろうか。


さて…うちのブログの読者さんの多くにとっては微妙な情報かもしれません。
ジョニーがファンタジーオンアイスの告知をRTしています。ということは…。

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ネイサンを「アメリカの希望」と讃え、羽生下げしてネイサン上げ上げしていたジョニーですが、今年も何食わぬ顔でシレっとファンタジーオンアイスに顔を出すのでしょうか。お気に入りの大丸でお買い物もしないといけませんものね。正直、最近はジョニーも演技が劣化してきたなと感じていたのですが、真壁さんのお気に入りなので、ジョニーから辞退するまで(2023年を最後にショーを引退すると言ってますが)は出演は続くのでしょう。でも、私は以前と同じ気持ちで、ジョニーの演技を見ることはもうできないと思います。ハビもね。


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2022/03/16 09:25 | 海外情報COMMENT(10)TRACKBACK(0)  TOP

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