城田監督が語る「羽生結弦 五輪二連覇への軌跡」
クリケットの公開練習は今週はなさそうですね。7日に、能登さんがのんびりと「FaOIフォトブックの作業してま~す」ツィートしてたので、「あるとすれば、カナダにそろそろ出発しないといけないはずなんだけどな。ないのかな」という空気ではあったのですが。
トロントに帰る前に撮影は終わっているみたいなので、そうなると、24時間テレビのときに日本にいる必要もない。とはいえ、来週はお盆に突入するので、例年だと日本に帰国しますよね。もしかして、2013年以来の「日本(仙台)で公開練習」かしら?(汗) 9月に公開練習って年もあったので、全く予想がつかなくなってきました。気長に待ちましょう・・・。
そういえば、今日はカナクリが解散というニュースが流れました。かなりいい感じに成績もあがってきていたのでびっくりです。「方向性の違い」ということですが、カップル競技の難しいところでしょうか。
さて・・・スキージャーナルの倒産で、存続が危ぶまれた「フィギュアスケート日本男子ファンブック クワドラプル」は、「フィギュアスケート男子ファンブック クアドラプルアクセル」と名称を変えて、新しい出版社から発売されることになりました。そのリニューアル号に、城田さんの寄稿が掲載されていました。それが読みたくて、図書館に予約していたのですが、ようやく順番が回ってきて読めたので、その内容と感想を少し書いておきます。 ← アマゾンサイトへ
【特別企画】 ANAスケート部監督 城田憲子 羽生結弦、オリンピック2連覇への軌跡
思い返せば、4年前の措置五輪を彼が19歳の若さで制したとき、私は「ここでやめてもいいんじゃない?」と現役からの引退をすすめました。お母様とふたりでカナダ・トロントへ渡り、世界的な指導者であるブライアン・オーサー氏に師事。大変な練習を積み重ね、日本男子にとって悲願の金メダルを獲得した羽生にも、達成感があったと思ったからです。
選手にとって、ましてオリンピックの金メダリストにとっては、引き際も大事だとの判断からでした。しかし、彼は首を縦には振りませんでした。「次も金メダルを狙います」。その言葉に驚かされました。
オリンピックで金メダリストになった選手、特に選手寿命の短いシングル選手はたいてい引退します。五輪金はフィギュアスケート選手にとっては、すごろくの「あがり」。「五輪金メダリスト」という肩書きを手にいれると、その後は「プロスケーター」の道を選ぶことが多い。なかには現役続行する選手もいますが、2大会連続で金メダルをとることがいかに難しいかは、結弦くんの二連覇が66年ぶりであったことを見てもわかります。プルシェンコもキム・ヨナも五輪金をとった次の五輪では銀メダルで終わっているのです。
城田さんがソチ五輪が終わった時点で引退を勧めていたという告白は、結弦くんの当時の19歳という年齢を考えると意外ですが、長年フィギュアスケート界に身をおいてきた城田さんだからこそ、オリンピックチャンピオンとして現役を続行する困難さがわかっていたのでしょう。城田さんは、別の本の中でこう言っておられました。「五輪で金メダルをとらせる方法は知っているが、二連覇させる方法までは、私は知らない」と。強化部長として辣腕を振るった城田さんだからこそ言える言葉かと思います。まあ、二連覇させる方法なんて、オーサーすら知らないわけで。ソチ五輪後の結弦くんの神がかった進化ぶりは、城田さんにとっても驚きの連続だったのではないでしょうか。
その後の4年間は、さらなる進化を遂げる時間となりました。ショート、フリーで3度ずつ世界歴代最高得点を更新し、新たに4回転ループ、ルッツも習得。フィギュア界の「絶対王者」と呼ばれるようになりました。
そんな羽生が出場する2度目の五輪とは―。このとこを考えたとき、彼にふさわしいのは、金メダルを獲得すること以外にあり得なかったのです。
ところが、NHK杯で思いがけないアクシデントがおこり、氷上練習ができない状況になりました。しかし、1月上旬から本格的にスケーティング練習を再開しないと間に合わない。城田さんは、1月上旬の練習再開から一週間後にトロントを訪れます。結弦くんの状態をチェックするためでした。
トロントへと向かう際、私は誰にも話せない覚悟を持っていました。もし、回復が思わしくなく、五輪で金メダルを獲得できる算段が立たないと感じた場合、「オリンピックに出るのは、やめよう」と告げるつもりだったのです。
五輪は金メダルを懸けた戦いの舞台です。私は日本スケート連盟の強化部長時代から、一貫してこの考えにぶれが生じたことはありません。歴史に名を刻むことができるのは金メダリストだけです。羽生が連覇を狙うために戦ってきた4年を思えばこそ、金メダルでなければならないのです。所属先の監督としてサポートを続けた私自身、彼を負けさせるわけにはいかないのです。ストップをかけることも、私の役目でもあったのです。
しかし、結弦くんの練習を見たとき、城田さんは「オリンピックに出られる! これなら勝てる!」と思ったそうです。結弦くんは、まだジャンプは1回転、2回転が中心だったけれど、軸はぶれていなかった。そして、なにより「日本人があまり持ち合わせていない確固たる勝利への強い意志」が、全く衰えていなかったからです。城田さんはこう言っています。
五輪で勝つには、一流の技術と強靭な精神力を持っていなければならないのです。
2月11日に韓国・平昌で会ったとき、城田さんが期待したとおり、結弦くんの表情からも内面からも満ち溢れた気迫が伝わってきたそうです。
羽生は五輪連覇後、記者会見で4回転アクセルへの挑戦を明言しました。まだ誰も成功していない超大技に挑もうとする、どこまでもひたむきな姿勢に、彼らしいなと思わず笑いがこみあげてきました。ソチ五輪の後と違うのは、「楽しみながら滑りたい」と話していたことです。私はやるからには、休んではいられないと考えています。ですから、挑戦するなら新たなシーズンに照準を定めて始動することになるでしょう。まずは、身体をしっかりと休め、再びファンのみなさんの前に強い羽生結弦が戻ってくるまで、少しの間、お待ちいただければと思います。
私はやるからには、休んではいられないと考えています・・・とても、ソチ五輪の金で引退を勧め、アイスショーを全休した2016年の怪我のとき、プレ五輪シーズンを休養することを勧めた城田さんとは思えません(笑) 五輪二連覇で、城田さんも肩の荷が下りたということもあるでしょうが、「止まることを良しとしない」羽生イズムの影響を、城田さんも受けているのかなと思いました。
最後に、城田さんはこう語っておられます。
最後に、彼が偉業を成し遂げられた背景には、ご家族の支えが大きかったことを忘れてはいけません。彼はよくケガをし、風邪をひくなど体調を崩します。決して身体が丈夫とはいえません。そんななかで、トロントで彼の生活を支えたお母様はたくさんの苦労をされたと思います。羽生自身の金メダルですが、その半分はお母様の献身によるものといって過言ではないことを、申し添えたいと思います。
私達ファンも彼の怪我をすごく心配し、祈祷班までできて、本当にハラハラの連続だったけれど、身近で彼の苦しみを見ていた人達は、私達の何倍も辛かったと思う。私達には、彼の連覇への責任はないけれど、城田さんには責任がある。そして、彼に常に寄り添っていたお母様の心労はいかばかりだったか。「羽生自身の金メダルですが、その半分はお母様の献身によるもの」という城田さんの言葉は、私もそのとおりだと思います。
ご家族、クリケットのコーチ陣、城田さん、菊池さん、ANAさん・・・ケガを乗り越えた末の金メダルだからこそ、よけい結弦くんの中には「周囲の人達に支えられての金」だという気持ちが強かったでしょう。国民栄誉賞授与で、「皆さまとともに取れた賞という気持ちがあり、僕個人の気持ちを出したくない」と記念品を辞退した言葉は、結弦くんの素直な心情なのだろうなと思いました。
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2018/08/09 17:20 | テレビ番組・コラム(2018-2019) | COMMENT(2) | TRACKBACK(0) TOP
コメント
みずほさん、こんにちは
かなクリ(*_*)うーん、スポンサーいて、特別強化でも「方向性の違い」で解散がありましたか…こればかりは仕方ないですけど残念ですね。思わず小松原コレト組のクラウドファンディングのページに行って現況確認(^^;アイスダンスカップルの経済面での苦労と、集めたお金の使い途について詳細に説明されているのでなんとかならんかなあ~と願ってましたが、ジワジワと支援集まってるみたいです!
やはりB級とはいえ台乗り効果あったのか…かなクリ解散のニュースに関連して「アイスダンス 日本」で検索かけてたどり着いた方もいるのか…いずれにせよカップル競技の未来に応援が集まることを祈るばかりです。
城田さんのの記事、ありがとうございました。クワトラプルは完全に忘れてました。
こないだ城田さんの本を読んだばかりでしたのですが、「平昌へ向けて」のところで終章だったので、「続編」を読めた感じです。一貫して「ブレ無い金メダルへの執念」で「日本フィギュア冬の時代」乗りきった強さ…多分この強さは好き嫌いハッキリと分かれるところでしょうが、羽生くんのサポートには欠かせなかったのだなあ、とあらためて感謝です。
城田さんや菊地さんだけでなく、羽生くんを支えたすべての人々に良い風がきますように!
…今年の公開練習はもう読めないですね(^^;
また驚かされるんだろうなあ~今年もまたジェットコースターからは下りられなさそうですね。
No:8988 2018/08/10 07:10 | なすか #- URL [ 編集 ]
なすか 様
なすかさん、こんにちは。
>スポンサーいて、特別強化でも「方向性の違い」で解散がありましたか
カップル競技はリンク事情的にもコーチング面からも日本で練習するのは難しく海外拠点になりますよね。だからスポンサーの有無はシングル選手より大きいと思います。木下さんのスポンサードを捨ててまでの解散ってよほどのことかと。今までの経緯を考えると、新しいパートナーが見つかれば、クリスは木下さんが資金的に支えてくれると思うけど、村元さんは木下外れそうだし。なにより、クリス以上のパートナーが見つかるのかしら。海外選手ならいそうだけど、日本人ではまずいませんよね。
DOIのときは今シーズンへの意欲を語っていたのに突然の解散宣言。二人はズエワ拠点だけど、1ヶ月前にスカリがズエワの元を去り、すでにクリスはもうスカリを追ってシカゴに行ってると言われてます。村元さんがズエワの元に残るつもりで、それが「方向性の違い」ではないかといろいろ憶測を呼んでいますね。北京を「目指す」「目指さない」の方向性の違いがあったのではないかとか。
たかトラもワールド銅までとっても解散したし、ペア競技の持続は難しいですね。テサモエとかメリチャリとかパパシゼとか、恋人同士でも夫婦でも兄妹でもないのに、子供時代からずっとパートナーが変わらないカップルは本当にすごいと思います。
>多分この強さは好き嫌いハッキリと分かれるところでしょうが
やり手なのは確かですよね。先輩がバンクーバーのフリーでTESが9位だったのに、PCS1位(!)で銅メダルとれたのは、城田さんの根回しのおかげかなと私は思ってます。デーオタは城田さんのことを悪くいってますが、恩知らずですよ(笑) スケ連の要職を解かれたので、今はそういう意味での力はないでしょうが、才能を見抜く力は今のスケ連の理事たちよりずっと上だと思います。
>今年もまたジェットコースターからは下りられなさそうですね
引退まで降りれないと思います(笑)
コメント、どうもありがとう♪
No:8991 2018/08/11 09:33 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]
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