結論:スターはつくれない ~「ポスト羽生結弦」不在のフィギュアスケート人気の危うさ
昨日付けの記事で、こんなのありましたね。突っ込み処はいろいろありますが・・・。
「ポスト羽生結弦」不在のフィギュアスケート人気の危うさ(20181112 VICTORY)
五輪連覇を果たした“絶対王者”羽生結弦がリンクに帰ってきた。11月3日から5日のグランプリシリーズ第3戦フィンランド大会で圧倒的な強さで優勝。次は11月16日からの第5戦ロシア大会に挑む。
羽生結弦が出るかどうかで視聴率は大きく変わる
「フィギュアはテレビ界においてはドル箱。ゴールデンタイムでも安定した数字が期待できます。浅田真央さんが現役だったころは、20%超えも珍しくありませんでしたし、それ以降は多少落ちたとはいえ平均15%は超えています。宇野昌磨選手らもがんばってはいますが、羽生選手が出るかどうかで視聴率は大きく変わる。いまでも羽生選手の演技の瞬間だけは20%を軽く超えるんです。日本での視聴率は、業界全体のスポンサー収入に直結する。今回、羽生選手の参戦したことで放送するテレビ朝日やスポンサーは大喜びしたことでしょう」(広告代理店関係者)
プロ野球の人気カードでも数字が取れず、ゴールデンタイムの地上波放送はほとんど実現しない現在のスポーツ界。フィギュアスケートの視聴率は、W杯前のサッカー日本代表戦にも匹敵する。当然、関係者の誰もが今の人気を維持したいと考えているのだが、フィギュアの取材を続けるあるスポーツ新聞の記者は、その最大のキーマンである羽生の様子が気にかかっているという。
「試合後のインタビューでは勝利にこだわる姿勢をアピールしていましたが、五輪を連覇したことで、モチベーションが下がっているのではないか、と思います。今大会でも勝つためだけなら必要ないレベルの難易度の高いプログラム。もはや彼の関心は、自分フィギュアを完成させること。今回はまだ未完成ということでやりませんでしたが、次の目標として公言している、公式戦で4回転アクセルを成功させたら、その先の目指すところはどこになるのか、プロに転向もあるのではないかと囁かれています」
羽生や高橋大輔が出場しないと完売にならない選手依存の弱点
浅田真央や高橋大輔、羽生結弦の活躍で大人気となったフィギュアスケートだが、日本では長年マイナースポーツとして扱われてきた。“数字をとれる”人気スポーツとなったのは、2006年トリノ五輪で荒川静香が金メダルをとって以降のことだ。
「もともとフィギュアはヨーロッパやアメリカで人気のスポーツ。シーズンオフに行われるアイスショーには大勢の観客が訪れます。ただ日本と異なるのは、ヨーロッパにおけるフィギュアのメインは男女で行うアイスダンスだということ。日本ではシングル競技がメインのように思われていますが、ヨーロッパでは氷上の華麗なダンスを楽しむファンのほうが多いんです」(前出・スポーツ紙記者)
実は、そこに日本フィギュアの問題点が隠されている。
「欧米にはフィギュアという競技そのものを楽しむ文化がありますが、日本の場合、選手個人のファンが多い。競技に復帰した高橋大輔も羽生結弦もメインのファンは、おばさま方で、はっきり言ってしまえば、ジャニーズや演歌歌手の追っかけと同じ(笑)。だから羽生や高橋が出るアイスショーはすぐに完売になりますが、それ以外の選手だとなかなかチケットがさばけない。浅田真央も引退後に自身でアイスショーをプロデュースしていますが、大きな会場を埋められるほどではない。彼女は視聴率は持っているけど、動員はそれほどでもない。テレビで応援したいタイプの選手なんです。華やかさでいえば、羽生以上の存在はなかなかいません。選手個人ではなく競技自体の人気がもっと上がらなければ、羽生の引退で一気に人気が落ちる可能性もあります」(テレビ局関係者)
羽生の次のスターが誕生しないと再びマイナースポーツに逆戻りも
スポーツがひとつの文化を形成していくために欠かせないのは、その競技の経験者だ。リトルリーグや野球部の出身者がプロ野球のファンになり、サッカー部の出身者がJリーグのファンになる。だが、フィギュアスケートの経験者は、それらに比べると悲しくなるほどに少ない。
「本格的にフィギュアを始めたいと思っても、練習場や教えられるコーチの数が限られているんです。常設のリンクは東京、横浜、名古屋、仙台、福岡などごくわずか。しかも競技を続けるには、莫大な金がかかる。練習場所を確保し、コーチや振付師を雇い、音楽や衣装を用意し、さらに海外への遠征費もかかる。最低でも年間1000万円は必要です。いまその資金をスポンサー契約料でまかなえるのは、男女あわせても羽生と平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨くらいでしょう。他の選手は、アイスショーなどのギャラでなんとか競技を続けている状態です」(前出・スポーツ紙記者)
競技自体の人気上昇が望めないとなると、やはり頼みは個人の人気。フィギュア人気を支え、維持するための“ポスト羽生結弦”の候補はあらわれるのか? 男子なら宇野、女子なら宮原知子や坂本花織、本田真凜など次の「北京五輪世代」も奮闘しているが……。
「浅田真央の物語性や羽生の圧倒的な華やかさ。若い選手たちには、まだそういうスターの要素が欠けている。演技や勝利だけではないドラマティックな要素が必要だと思います」(前出・テレビ局関係者)
荒川静香が火をつけ、浅田真央・高橋大輔が盛り上げ、羽生結弦が大きく育てたフィギュア人気。彼らに並ぶようなスターが早く出てこなければ、再びマイナースポーツへと逆戻りする可能性もある。
試合後のインタビューでは勝利にこだわる姿勢をアピールしていましたが、五輪を連覇したことで、モチベーションが下がっているのではないか、と思います・・・クワドアクセルがあるのでモチベは下がっていないでしょう。「勝ちにこだわる姿勢をアピール」という書き方には違和感あります。あれはただ真意を語っただけ。今更、ヤル気をアピールしなけらばならない存在ではありません。
欧米にはフィギュアという競技そのものを楽しむ文化がありますが、日本の場合、選手個人のファンが多い・・・これについては同意です。安藤美姫さんも、某雑誌のミヤケンさんとの対談でこんなことを言ってました。
私の一つの夢は、フィギュアスケートって、今は試合とかで現役の子の方が注目を浴びていて見る機会が多いから盛り上がったりとかするけど、目標はヨーロッパとかアメリカみたいにフィギュアスケートの本当の面白さ、エッジワークとか音楽との調和とかそういう方向を、4回転とかジャンプとか結果だけでなくて、それ以外にも面白い魅力があるスポーツというのを、もうちょっとたくさんの人に知ってもらって、アイスショーを見にきてもらいたいと思います。
この子が出るから来るとかだけじゃなく、ファンタジーオンアイスだったら、ファンタジーオンアイス、プリンスアイスワールドだったら、プリンスアイスワールドという風に。アイスショーを毎年楽しみに。そういう人もいるんですけど、そういう人が増えたらもっともっとフィギュアスケートの歴史も刻まれていくだろうし、もっともっと日本のフィギュアスケートの魅力が増していくんじゃないかなって思うので。
ヨーロッパでは、試合よりショーの方が人気ありますよね。ハビのスペインでのアイスショーも満員だったそうです。でも、日本は欧米ほど(フィギュアに限らず)ショー文化は根付いてないのだと思います。フィギュアも、もともとはヨーロッパ発祥のスポーツです。ルールもややこしすぎてスケオタ以外には理解されていないし、結弦くんほどのスーパースター以外は、「ジャンプ跳びましたー!」「日本人が勝ちましたー!」で煽らないと一般人は食いついてくれない。今年の女子のNHK杯は盛り上がったけど、わかりやすいトリプルアクセル跳ぶ新星がでてきたからです。
アイスショーの料金も高く、どうしても見たい「推し」がいないとなかなか払える金額ではありません。ファンタジーオンアイスは日本では一番レベルの高いショーですが、それでも結弦くん無しではチケットを完売させることはできません。CSでステファン座長の「アートオンアイス」見たことあるけど、ジャクソン5がアーチストとして出ていました。日本でそんなアイスショーを開催することは不可能でしょ? 安藤さんの「誰が出てるから足を運ぶのではなく、ショーそのものを楽しんでほしい」という気持ちはわかるけど、日本の現状ではなかなか難しいと思いました。ただ、結弦くんが引退したら・・・日本のショーの世界に変革を起こしてくれる可能性はあると思っています。
だから羽生や高橋が出るアイスショーはすぐに完売になりますが、それ以外の選手だとなかなかチケットがさばけない・・・これについては異論があります。高橋選手と結弦くんが満員にできる箱の大きさが全然違います。フレンズオンアイスの新横くらいの小さな箱であれば、高橋さんは今でも満員にできますが、大きな箱でしかも地方会場のエコパアリーナですら満員にできるのは、羽生結弦だけ。しかも5都市を回るツアーです。同列に語らないでいただきたい。私は、集客力が落ちてきたことも、彼の復帰の理由のひとつだと思っていますよ。
その資金をスポンサー契約料でまかなえるのは、男女あわせても羽生と平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨くらいでしょう・・・宮原さんは木下所属。三原さんや坂本さんにも地元のスポンサーがついてます。確か、樋口さんにもスポンサーいたと思います。男子でも島田選手が木下所属ですよね。なにより、本田真凛さん忘れていませんか? 真凛さんは宇野選手よりたくさんスポンサーついてますが(笑)
“ポスト羽生結弦”の候補はあらわれるのか?・・・あらわれません。たった一人のわずか数分の演技を見るためだけに、3600人の日本人を、地球を半周させてフィンランドまで民族大移動させられるスターは、世界中の会場をホームにできるスターは、もう絶対現れないと断言できます。
浅田真央の物語性や羽生の圧倒的な華やかさ。若い選手たちには、まだそういうスターの要素が欠けている・・・スターは作れないんですよ。スターはごり押ししなくても、自ら光(オーラ)を発します。周囲からたくさん無理矢理光を照射して、自ら光(オーラ)を発してるように見せかければ、それで大衆は騙されてくれるだろうと思っているのかもしれません。でも、世間はそこまでバカではない。
先日のNHK杯の視聴率でそれがはっきり証明されました。
女子シングル・フリー(後5・38~6・45)の平均視聴率 14・2%(関東地区)
男子シングル・フリー(後7・30~9・45)の平均視聴率 10・6%(関東地区)
夕方に放送された女子が、ゴールデンタイムに放送された男子に完勝です。これが逆の時間帯だったら、女子フリーはもっと視聴率が高かったでしょう。参考までに昨年のNHK杯の夕方放送された女子フリーの視聴率を。
女子シングル・フリー 平均視聴率 10.5%(関東地区)
今年と同じ時間帯の女子フリーより低いものの、今年のゴールデンタイムの男子とほとんど同じなのです。昨年は直前に結弦くんの欠場が決まったので仕方ないですが、昨年でも、もし女子がゴールデンタイムだったら、今年の男子よりは上だったんじゃないかな。来年、NHK杯に結弦くんが出るかどうかわかりませんが、もし出ないのなら、女子をゴールデンにした方がよさそうですよ、NHKさん(笑)
今年のロステレも、あの男の子はフラワーボーイするのかしら?
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2018/11/14 12:25 | テレビ番組・コラム(2018-2019) | COMMENT(0) | TRACKBACK(0) TOP
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