カート・ブラウニングが語る4回転と羽生結弦
アマゾンと楽天ブックスで、マガジンが品切れになっています。早めに予約しておいてよかった。今のところ、HMVはまだ買えるみたいですが、買うと決めてる人で、まだ予約してない人は、リアル書店でとりおきをお願いした方がいいかも。初版少なかったのかな? 重版してくれるといいのですが・・・。
世界選手権レポはまだ続きますが、個人的に国別の遠征がなくなったし、というか、気にする必要すらなくなったので(笑)、これからまったりペースで少しずつあげていきたいと思います。なんか、もう心はファンタジーオンアイスだわ(笑)
さて・・・カートが結弦くんのことを語ってくれてるようです。
先駆者カート・ブラウニングさんが語る4回転と羽生結弦(20190330 時事通信社)
31年前、トーループで初
フィギュアスケートの国際大会で4回転ジャンプが史上初めて認定されてから31年。ブダペストで1988年3月に開催された世界選手権の男子フリーで、カート・ブラウニング(カナダ)がトーループを決めた。4回転の本数と種類をめぐる争いはここ数年で急速に激しくなり、男子で残すはクワッドアクセル(4回転半)のみ。女子もジュニア勢など若い世代が跳び始めている。
52歳になった現在もアイスショーに出演し、カナダ放送協会(CBC)でフィギュアスケート解説者を務めるブラウニングさんは「もし誰かが大会で5回転を決めるようなことがあったら、墓の中から起き上がってくるよ」と4回転の先の壁の高さを表した。トーループを決めた31年前の舞台裏や昨今の4回転争い、クワッドアクセルに挑む羽生結弦(ANA)について聞いた。
◇夜間の練習、数日でつかむ
スポーツでは前人未到の領域にあっけなく到達することがある。初の4回転成功にはチェコスロバキア(当時)のヨゼフ・サボフチクが最初に近づいた。88年カルガリー五輪金銀メダリストのブライアン・ボイタノ(米国)、ブライアン・オーサー(カナダ)らも狙っていたが、同五輪直後の世界選手権でブラウニングさんが初の称号をさらった。翌年から3連覇したが、88年は6位。「ラッキーだった。上位争いから離されていたから(失敗しても)大丈夫だった」と振り返る。
4回転への挑戦を当初はためらっていた。仲間にからかわれたくなくて、夜遅くに誰もいなくなったリンクで一人、もしくは信頼する友人と2人で練習したという。感覚は思いがけず早くつかんだ。「2、3日目か4日目くらいの夜だった。どういうわけか、できてしまった」。フィギュア史に名を残したいという純粋な思いに加え、21歳の若者にとって魅力的な動機も背中を押した。
のちに自身の代理人となる男性が、大会で4回転を決めたら車をくれると持ち掛けてきた。黒のアウディ・クワトロ。「クワトロ(Quattro)は数字の4を表している。4回転ジャンプにかかっているし、いいなと思った」とモチベーションを高め、本当に決めて車を手にした。実際は地元アルバータ州のディーラーによる販売促進の一環で、半年間の無償レンタル。「返却するときは悲しかった」と今では笑って振り返るが、初の大技にまつわる逸話にしては、ほほえましい。
コーチと体、そして刺激も
4回転はその後、1998年にティモシー・ゲーブルがサルコー、2011年にブランドン・ムロズ(ともに米国)がルッツを初めて決めたが、やや停滞期に入った。再燃したのは14年ソチ五輪の後。金博洋(中国)が15年にルッツを決めると一気に加速し、16年に宇野昌磨(トヨタ自動車)がフリップ、羽生がループを初めて成功させた。ネーサン・チェン(米国)はアクセルを除く5種類を決めた。ここ数年の大きな潮流について、ブラウニングさんは三つの要因を挙げる。
第一には、指導者。「コーチが洗練されてきた。今の世代の選手は(現役時代に)実際に4回転を跳んだことがあるコーチに教わっている。推測や想像ではなく、体感したものをベースに習っていることは大きい」と言う。次に資本となる体。「体が強くなり、体つきも整っている。トレーニング方法も進化した」。三つ目は、視覚から入ってくる刺激だという。「今の世代の選手はロシアのアレクセイ・ヤグディンやエフゲニー・プルシェンコ、フランスのブライアン・ジュベールらの4回転を見て育った。『自分も大きくなったら4回転を跳ぼう』と思っていたのではないか」
近年は女子もジュニア世代のアレクサンドラ・トルソワ、アンナ・シェルバコワ(ともにロシア)らが4回転を大会で決め、シニアも4回転を跳ばなくては勝てない時代に入りつつある。果たして、男子で5回転は―。「誰かがいつかやるかもしれない。完璧なジャンプではなく、少し着氷が乱れるくらいなら。それくらいクレージーなこと。誰かが決めるとしても、その選手にはお尻も肩もないだろうな。鉛筆のように体が細くないとできない」とジョークを交えて語った。
羽生のアクセル、美しい
国際スケート連盟(ISU)は5回転の基礎点をまだ定めておらず、クワッドアクセルが現状で最も基礎点の高いジャンプとなっている。その難関に挑む羽生について、ブラウニングさんは「もし誰かが決められるとしたら、また決めるにふさわしいのは彼(羽生)だろう」と語った。渇望と勇気、そして確かな技術をそこに見ている。「彼は私にも言ったが、クワッドアクセルを跳びたいと高らかに宣言した。それを恐れない。もしかしたら負傷するかもしれないが、それを分かっていても、いずれにしても挑むだろう。とても勇敢だ」と話し、その上で技術について語りだした。
羽生のトリプルアクセル(3回転半)を評して、「美しい。踏み切って跳躍し終えてから回り始める。回転が少し遅れて始まる。跳んで、空中に上がって、それから回る。多くのスケーター(のアクセル)は跳び上がるのとほぼ同時に回り始める。その方が速く回転できるが、それでは美しくない」。さらに1回転多いクワッドアクセルを跳ぶためには「高さと、前への推進力が必要。4回転半する時間を生み出すため、踏み切ってからの動作を早く終えなくてはならない」と語った。
ブラウニングさんも一度、クワッドアクセルに挑んだことがある。世界王者として君臨していた1990年代前半に1週間だけ練習したという。そのときに感じたことを「私もトライしたことがある。ずっと永遠に空中にいるような感覚だったよ」と羽生に伝えると、「あなたの言っていることは分かります」と返してきたという。技術を究めたスケーターにしか分からない感覚だろう。
かつて、羽生のエキシビションを振り付けた。2012~13年シーズンの「ハロー・アイ・ラブ・ユー」。そのときに感じて覚えているのは、羽生のカリスマとスケーティング。「氷に乗っている彼は、まるでロックスターを見ているようだった。滑りのスピードは静かに、そして気づかないうちに増していく」と振り返った。ジャンプの技術だけではない総合力を今でも感じている。(時事ドットコム編集部)
羽生のトリプルアクセル(3回転半)を評して、「美しい。踏み切って跳躍し終えてから回り始める。回転が少し遅れて始まる。跳んで、空中に上がって、それから回る。多くのスケーター(のアクセル)は跳び上がるのとほぼ同時に回り始める。その方が速く回転できるが、それでは美しくない」
多くのスケーター(のアクセル)は跳び上がるのとほぼ同時に回り始める・・・というのは、よくいわれるプレロテ問題ですね。今、着氷は厳しくとるようになっていますが、プレロテは放置し放題です。スローでみると、はっきりわかりますね。
無良さんが某雑誌のインタビューで、四回転を跳ぶ選手について、こんなことを言っていました。
〇〇が典型的なんですけど、跳び上がった時点で半回転回って上がっているので、3回転半で済んでいる。それを跳び上がってから4回転回るのか、ユヅみたいに幅と回転力を突き詰めてクオリティの高いジャンプにするのか、それともボーヤンみたいに勢いをうまく使うのか、とかですね。
無良さんが、「実質3回転半しか回ってない」と指摘してる選手については、あえて〇〇としましたが、皆さん想像はついているかと思います。ただ、それであっても、現在のルールでは踏切違反ではありません。着氷が汚かろうが、フリーレッグが氷に掠っていようが、GOEの付き方にはあまり影響はないようです。荒川さんが「羽生選手のジャンプは芸術的」と評していましたが、単にジャンプが美しいだけでなく、結弦くんはその芸術的なジャンプを難しいステップや入りから跳んでいるのです。なのに。なぜGOE5はつかないのか、他の選手とのGOEにさほどの差がないのはなぜなのか・・・これはずっと前からの永遠の謎です(笑)
万が一、先々、AIが導入され、プレロテが取り締まられるようになったら・・・今「省エネジャンプ」を跳んでいる選手のジャンプは、将来お手本にされることは決してないでしょう。そのときに、お手本として残るのは「羽生結弦のジャンプ」です。本当に公平なジャッジがされるようになったときに遺産として残るのは、やはり結弦くんのジャンプなのだろうと思います。
かつて「天使の笑顔をもつ野獣」と評したのは誰だったっけ? 天使の笑顔をもち、世界一フリルが似合う野獣、いや戦士。これからもずっとついていきますとも!
参加してます。よろしければ、ポチっと応援お願いします♪
フィギュアスケートランキング
- 関連記事
2019/04/01 11:20 | その他(2018-2019) | COMMENT(0) | TRACKBACK(0) TOP
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)