スルツカヤ「ジャッジの買収はある」、チャン「ISUは選手を駒のように扱う」、大坂選手の会見拒否と羽生結弦のメディア対応について

スルツカヤは五輪メダルを2つもっているロシアの元女子シングルの選手。トリノ五輪で、荒川さんが金メダルをとったとき、銅メダルを獲得した選手です。そのスルツカヤが、爆弾発言?



モスクワ, 6月5日 - オリンピックで2度の銀メダリストであるイリーナ・スルツカヤは、フィギュアスケートのジャッジが腐敗しているという噂についてコメントしました。

「私はジャッジをしたわけではありません。でも、聞いてください、たくさんの噂があります。彼らはおそらくお互いに交渉しているのでしょう。もちろん、(汚職は)あるでしょうね。すべては売り買いされている。もちろん、それと戦うことはできない、決して戦うことはできません」と、スルツカヤはエレナ・ハンガのYouTubeチャンネルのインタビューで語っています。

オリンピックのメダルに加えて、スルツカヤは世界選手権で2回、ヨーロッパ選手権で7回の金メダルを獲得しています。



テサモエ、ハビ、トランコフ、今度はスルツカヤ…引退した選手がジャッジの批判や疑問をメディアに話すことはあるけれど、現役の選手は思っていても口にはだせない。スルツカヤ曰く「決して戦うことができない」指摘することはタブーの領域。それだけに、結弦くんの論文の発表がどれだけ勇気のあることだったか、わかりますね。もちろんすべてを手にした後の「ボーナスステージ」だからともいえますが、それでもオリンピックシーズン直前の発表で、彼自身五輪にでる可能性は十分あるのですから。


大坂さんの会見拒否の件で、パトリック・チャンが意見を述べてます。ISUへの批判も。


大坂の離脱は、メディアやメンタルヘルスに関する重要な問題を提起しているとアスリートたちは語る(20210604 CBC News)

パトリック・チャンは、スケートの後、記者たちの前を通り過ぎたいと思ったことがあった。

世界フィギュアスケート選手権で3度の優勝を誇る彼は、特に悪い演技の後には、答えられない質問をされることを知っていた。どこが悪かったのか?彼にはわからなかった。考える時間がなかったのだ。しかし、カナダ人の彼は、壊滅的な失望感の中で混乱しながらも、思慮深い答えを出さなければならないというプレッシャーを感じていた。

「フィギュアスケートでは、氷上にいるときほど、人生の中で自分をさらけ出していると感じたことはありません」とチャンは言う。「そして氷上から降り、自分に自問し、自分の行動を咀嚼し、何が起こったかを理解し、自分自身で処理しているわずかな時間の後に、(会見で)自分の行動を説明しなければならない。それは非常に短すぎる時間です。それらを(頭の中で)処理している間に、発言や説明を求められるのです」

「私はいつも不自然に感じていました。良い演技でも悪い演技でも、その経験、喜びの瞬間や失望の瞬間からすぐに切り離され『はい、何が起こったのか』とでもいうように脚光を浴びるのです。私にはわからない。時間が必要なんだと」

チャンは、大坂なおみが経験した感情に共感している。

大坂なおみは、月曜日に開催された全仏オープンの出場を辞退したが、その理由として、メディアに話す前に「大きな不安の波」が押し寄せ、「長い間、鬱病に悩まされてきた」ことを挙げている。大坂は、1回戦の勝利後の記者会見を欠席したことで15,000米ドルの罰金を科せられた翌日に辞退したが、今後は試合のたびに記者会見を欠席するつもりだと語っている。

―(中略)―

いつもメディアに丁寧に接していたチャンは、特にフィギュアスケートに多い未成年の選手には、インタビューを受けるかどうかの発言権があるべきだと言う。強硬なローランギャロスの主催者は、チャンに国際スケート連盟のことを思い出させた。

「アスリートとしては無力感を感じます。ISUは数百万ドル規模の組織ですが、収入源である選手を駒のように扱うことに衝撃を受けました」とチャンは語っている。

チャンは、競技をしている間、うつ病や不安症に悩まされていたと言う。そして今は、引退後の生活を送る中で、「もうフィギュアスケーターのパトリック・チャンではない」と語っている。彼は神経質なアスリートで、周囲に気を取られやすかったと言う。

「もし、もう一度最初からやり直せるなら、自分のキャリアの中でもっと早く、ずっとずっと早い段階でスポーツ心理学者の指導をうけて、自分の心の動きを理解していたと思います。なぜなら、人はそれぞれ違った性格を持っているからです」とチャンは語った。

2018年の平昌オリンピックを最後に引退した30歳の彼は、現在、アイスホッケー選手にパワースケートのコーチをしたり、商業用不動産の仕事をしたりしている。



昨日、北米フィギュアスケーターのセカンドキャリアについて少し書きましたが、この記事でチャンの近況がわかりました。アイスホッケーのスケーティングコーチや商業用不動産の仕事をしてると。チャンはフィギュアスケートのスクールをもちたいという夢があったはず。しかし、チャンのキャリアをもってしても、やはり難しかったのか。

カナダのペアの金メダリストのペルティエがアイスホッケーのコーチをしてるという情報をいただきました。カナダの五輪金メダリストは、ダンスのテサモエとペルティエのペアだけ。その希少な五輪金メダリストでもフィギュアの仕事には就けないわけで。アイスショーは瀕死の状態だし、これでは北米選手はフィギュア関係のセカンドキャリアに夢もてないわね。日本のOBOGは日本で運がいい(笑)

ISUは数百万ドル規模の組織ですが、収入源である選手を駒のように扱うことに衝撃を受けました…チャンも引退した今だから言える本音。間違いは絶対認めず、批判を絶対許さない、絶対権力をもつ組織。イギリスのアクトン卿の言葉で「絶対的な権力は絶対的に腐敗する」というのがあるそうですが、まさにその通り。だから、ジャッジの汚職も野放しでやりたい放題。


大坂さんのメディア対応のついての関連記事。結弦くんについて触れられていた。


いわゆる「公人としての政治家のメディア対応は、国民に対する説明義務である」というある程度のコンセンサスがある一方で、「アスリート」はどうでしょうか。

公人とはいえないが、ファンに支えられている存在であることや、トーナメントは商業機会でもあり、主催者やスポンサーがスター選手に「スポークスパーソン」としての役割を期待するのはやむをえないという意見もあります。

実際、羽生結弦選手などはそのメディア対応の素晴らしさなどが話題になりますが、「それも含めてアスリートの本分」「メディア対応もファンやスポンサー、大会主催者への義務の1つ」という考え方です。



結弦くんは、大坂さんのようなプロのアスリートではなく、あくまでもアマチュア選手です。でも、プロアスリートを含めても、彼はアスリートとして随一の「会見のプロフェッショナル」だなといつも思います。

チャンも言ってますが、調子の悪い演技をして負けた試合では、頭の中が混乱しているはず。その混乱の収拾がつかないうちに会見を求められる。結弦くんがすごいのは、その会見の過程で、質問に答えながら自分の頭の中を整理していけること。だから彼は、会見や囲み取材を嫌わない。他の選手ならば嫌だと思う会見すらも、次のステップのための糧にしようとする。そこが羽生結弦というアスリートの凄みのひとつだと思います。


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タグ : 2020-2021_season

2021/06/06 10:10 | 海外情報COMMENT(10)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

20歳の時に羽生選挙が出演したNHKの番組で有動アナの「何故そんなにスラスラと素晴らしい答えができるんですか?」との質問に、何と答えたら良いかと一瞬時間が空いた時、すかさず井ノ原君が

「いや、本当にそう思っているからですよ」と代わって答えて有動アナも納得のシーンを思い出しました。

羽生選挙は基本周囲に対する感謝がある。
それが本心からなのでどんな答えをしたとしても会話の技術が上手いというのとは違って聞き手に「伝わる心」があるのだなと思いました。
リアルタイムで見た番組ではなく数年前遅ればせながらYou Tubeで視た感想です。
インタビューの受け答えも
結局人間性、これに尽きるわけだと改めて自戒をこめて思った次第です。

No:15308 2021/06/06 12:49 | ゆき #- URL [ 編集 ]

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No:15309 2021/06/06 15:59 | # [ 編集 ]

ゆき 様

ゆきさん、こんにちは。

>NHKの番組

その番組はリアルタイムでみました。
有働さんと井ノ原さんが、緊張している結弦くんがリラックスするように気遣ってくださってた印象です。

「本当にそう思ってるから」というのはコアなファンならわかっていることですが、それが井ノ原さんの口からでたのが意外でした。NHKなので、もしかしたら台本があったのかもしれませんけど、もし台本であったとしたら台本作った人ナイスです(笑)

コメント、どうもありがとう♪

No:15310 2021/06/06 17:34 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

M〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇 様

M〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇さん、こんにちは。

コメント、ありがとうございました。

No:15311 2021/06/06 17:38 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

スルツカヤ

みずほさん、こんばんは

スルツカヤ、トリノの時応援していました。優雅で果敢な選手でした。懐かしい。
今でもロシアに住み、内側に身を置く人間としてはこれが精一杯なのでしょうね。
そして、羽生君が、どれだけの覚悟を持って自分を研究材料にし、論文を書いたのかを思うと、背筋が伸びる思いです。

No:15312 2021/06/06 22:29 | monaka #JalddpaA URL [ 編集 ]

いつもありがとうございます

いろんな視点での記事、ありがとうございます。

大坂さんはまずアイデンティティを確立してないところが弱いんじゃないかなと思います。

BLMに共感するのはいいんですが、日本人がそれを理解してくれないことに失望してはいけません。
日本は移民国家ではないし共感というのは押し付けられてするものではありません。

そこらへんが幼いな、と思います。それに政治的発言をすればそこをつっこまれるのは必定。責任がとれないならしないのが安全では。

スルツカヤはトリノでのスーツコスチュームが記憶に残ってます。ショートカットがとても可愛い選手でしたよね。
でもミスで自滅、安全策をとった荒川さんに金メダル。

その時その場で一番落ち着いてた彼女が勝利で文句はありません。不審ジャッジで爆上げというわけでもなかった。

パトリックのコスチュームを「日曜日のお父さん」と言ってた頃が懐かしいです。少なくとも彼は腹ガバはなかったわ。品位を守る選手だった。

ショーやEXなら白鳥になったりセクシーCAになって笑わせてくれてもOKですが腹ガバは見苦しいし、原点されないのも不思議です。

サッカーの元日本代表選手が引退後デリバリーの運転手をして事故で亡くなることもあったんですよ・・・・

セカンドキャリアは難しいですね。

No:15313 2021/06/07 01:28 | みつばち #- URL [ 編集 ]

スルツカヤも北米開催ワールドでは優勝に値する演技をやっても
クワンage採点に涙を飲んだ事が数回。

P・チャンも、かつてはネイサンと同じ扱いを受けて散々持ち上げられていた、13フランス杯までは。
転んでも優勝できる扱いを受けてアンチを増やしていた。
ソチ金を逃したショック?で1シーズン休養してカムバックした時、
トップ争いから外された事に気が付いて、PCSのSS項目も点が出ていいのに
出なくなった。

こういう背景を知ってるだけに、この2人が同時に声を上げた事が
注目に値しますね。


>「絶対的な権力は絶対的に腐敗する」

ネイサンは劣化の一途を辿っているのに、点数だけがうなぎ上り。
女子にもかつて同様の現象が起きてました。
北米の現象は14、5年前から日本にとっても「対岸の火事ではない」と
囁かれていて、現に羽生くんが出なければイベントの客入りが北米化
し始めています。

ペルティエとク―リック、そしてパトリックまでがホッケーコーチですか・・・。

No:15314 2021/06/07 07:52 | ゆきっちょ #DMh/W4O. URL [ 編集 ]

monaka 様

monakaさん、こんにちは。

>スルツカヤ

現役の頃はあまり知らないんです。荒川さんのFOIにでているのは見たことありますが。

彼女は家族の生活を支えていたので、どうしても五輪金メダルが欲しかったとか。五輪金とそれ以外ではショーのギャラが全然違うから。ザギちゃんもロシアのスケーターの中ではギャラが破格だと言われてます。

スルツカヤはトリノではミスがあったので五輪金を逃したのは仕方ないですが、引退後の収入にも影響することを考えると、本当に厳格に採点してほしいと思いますね。

コメント、どうもありがとう♪

No:15315 2021/06/07 11:59 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

みつばち 様

みつばちさん、こんにちは。

>大坂さんはまずアイデンティティを確立してないところが弱いんじゃないかな

大坂さんはテニスは天才ですが、中身はいたって普通の女の子(あえて女の子といったのは女性というには幼いから)です。自分のポテンシャルとテニス界での大きくなりすぎたポジションと名声、数多ついたスポンサーとメディアやファンからの期待・重圧。まだ十分精神的に成熟してない、精神的には普通の女の子には処理しきれないのでしょうね。

左翼かぶれの彼氏は、彼女にとっては一種の精神安定剤。だからメンタル不安定な彼女には必要ではあるのでしょうけど、私には彼氏は自分のBLM活動に彼女を利用しているようにみえます。アメリカで育った黒人と日本人のハーフ。日本語はあまり話せないのに、選んだ国籍は日本。アイデンティをどこにもっていいかわからない彼女の弱い部分に付け込まれたのかもしれません。

全英は棄権するようですがその方がいいでしょう。東京五輪も辞退した方がいい。こんなダーティな五輪に出場する意味もありません。1、2年休養してもスポンサーは待ってくれるでしょう。

それにしても、IMGはドル箱スターにメンタル的なケアはしてなかったのかな?

>セカンドキャリアは難しいですね

日本のOBOGはフィギュアブームの恩恵をうけてますが、北米の状態は明日は我が身かもしれません。

コメント、どうもありがとう♪

No:15316 2021/06/07 12:20 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

ゆきっちょ 様 

ゆきっちょさん、こんにちは。

>散々持ち上げられていた、13フランス杯までは。

日本開催のGPF2013で潮目が変わりました。後にも先にもあのGPFだけです。スケ連がいい仕事したの(笑)

>カムバックした時、トップ争いから外された

カムバックした後、多種クワド時代に対応できないとみるや、ジャッジの手の平返し、梯子外しはすさまじかった。特に2017年のスケカナ。これまでスケカナはチャンが常にPCSは1位でした。2017年のスケカナはSPでもFSでもPCSが日本のU選手が1位。結弦くんですら一度もPCSでチャンを抜けなかったのに。チャンはショックでその後のNHK杯をWDしました。

ソチ前のチャンは、ISUのフィギュアトップがカナダ人だし、ISUから激推されてはいたけど、高いPCSはまだ納得できるところがありました。今のネイサンほど高いPCSに批判はでてなかったと思います。

ソチ五輪はISUはチャンを優勝させたかったはず。チャンがグダって失敗したけど。でも今のジャッジなら、ソチ五輪の演技を結弦くんとネイサンで再現したとしたら、ネイサンに優勝させたと確信できる。調整して(笑) まだあの頃はISUにも多少の良心は残ってましたよ。

>パトリックまでがホッケーコーチですか

今年の秋にカナダでSOIが開催されます。第一弾スケーターが発表されましたが、チャンの名前がありません。いつもは第一弾の発表で名前があった。中止になった2020年にも第一弾でチャンの名前があった。それが今年はない。

第二弾でINする可能性もありますが、今の仕事を考えると、もしかしたらショーからも引退かな。まあテサモエすらショーを引退しましたからね。

コメント、どうもありがとう♪

No:15317 2021/06/07 12:45 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

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