ロシア記事「AIはジャッジの不祥事をなくせるか?」& AI採用・カメラ増設に否定的なISUの実態

先日UPしたブログ記事の続きになります。

「競技が始まる前から誰が優勝するか決まっている」~あるロシア人ジャッジの告白

以下は、結弦くんの卒業論文について書かれたロシア記事です。
人口知能(AI)のフィギュアスケートのジャッジングの有用性と問題点。そしてラケルニク氏の意見など。ほぼアプリ翻訳ですが、結弦くんの論文などを参考に、一部だけ言葉を多少わかりやすく手直ししてます。



近い将来、人間の代わりに人工知能(AI)がスケーターの演技を判断するようになるだろう。そうなれば、トリックはなくなる。

ジャッジのスキャンダルは、氷上に投げられたおもちゃやキス&クライと同様、フィギュアスケートには欠かせないものです。ゴールや秒数ではなく、ジャッジの採点ですべてが決まるスポーツでは、主観性を排除することはできないようです。唯一の解決策は、人間を人工知能(AI)に置き換えることです。そして、その技術革命は、ごく近い将来に起こる可能性があります。

歴史上最も人気があり、最も多くのタイトルを持つフィギュアスケーターの一人が、自動採点システムの問題に関心を持っていたのは理由のないことではありません。オリンピックに2度出場した羽生結弦は、このテーマについて大規模な研究を行い、非常に興味深い解決策を提案しました。

果たしてフィギュアスケートは、ヒューマンファクターやジャッジングの不祥事から解放されるのだろうか?

羽生選手が提案したのは、ジャッジをAIに置き換えることだった

1年前、オリンピックで2度の優勝を果たした羽生結弦は、「無線・慣性センサー式モーションキャプチャシステムのフィギュアスケートでの利活用に関するフィージビリティスタディ」という論文を発表しました。史上最高のフィギュアスケーターの一人が、高度なコンピュータ技術をフィギュアスケートに導入する可能性を徹底的に研究したのです。羽生結弦は、スケーターがモーションセンサーを使うことで、これまでのジャッジの代わりになるという結論に達しました。

羽生は大規模な実験を行い、ステップやローテーションの動きを正確に把握できること、ジャンプの種類を判別できることを確認しました。つまり、自動採点システムを実現するための条件は整っている…羽生はそう確信しています。

「スポーツだけでなく、研究の分野でも、新しい地平を切り開きたいと思いました。そして、研究には新しい可能性があることを証明するために、おそらく私以外の誰もが研究できないようなテーマを選びました。将来的には、この研究がフィギュアスケートの発展に役立つことを願っています。例えば、その後の技術的な進歩や、自動採点システムの導入などです」と、羽生は自身の研究について語っています。

新システムではスケーターの不正行為を許さない

3Dアニメーションに使われているモーションキャプチャー技術は、ジャッジが公正な判断を下すのにとても役立ちます。その一つが、ジャンプ時のエッジの間違いです。羽生は、コーチや振付師がプログラムを作成する際、ジャッジがエッジ判定を判断できないような「死角」で難しい要素を行うことが多いと指摘します。トラッキングセンサーは、体のどの部分に負荷がかかっているかを識別することができるので、このようなトリックは通用しません。したがって、足のどの部分がジャンプに関与しているかを理解することができ、その結果、ジャンプの質について結論を出すことができるのです。

これは、離氷のジャンプ段階でも同じです。フィギュアスケーターは、離氷のタイミングを間違えて、氷上で回転を始めてしまうことがよくありますが、これは簡単に言えば、回転を「省略」しているということです。オリンピックチャンピオンは論文の中で、現在、ジャンプの瞬間を評価する基準がなく、ジャッジの個人の感覚に頼っていると指摘しています。しかし、コンピュータシステムは、スケート靴が氷に接触したポイントを示し、その要素の定性的な分析を行うことができます。

「さらに、許容範囲の限界やその許容範囲の基準を作り,(どこからが稚拙なジャンプであるかという風に)離氷までの時間をコンピューターに入力すれば、主観的な判断ではなく、客観的な基準で判断できるようになります。これは現代のフィギュアスケートにとって重要な発見です」と結弦は締めくくります。

新しいシステムでは、スケーターが不正を行い、ジャッジが見て見ぬふりをすることはできません。

新製品の試作品はすでに日本でテストされている

羽生は、国際スケート連盟が彼の研究に注目し、新しいシステムを開発してくれることを期待しています。一方で、日本ではすでに試作プログラムのテストが行われています。フジテレビが開発した「アイススコープ」という技術は、スケーターのスパンの長さ、ジャンプの高さ、スピンの速さなどを計算してくれます。さらに、要素のパフォーマンスの全段階における動きの軌跡のデータも提供されます。これは、標準化が非常に難しいGOEスコアを導き出すための基準であることを考慮すると、非常に有用なツールです。

このシステムは、日本のジュニア選手権で初めて披露されましたが、その後、埼玉で開催されたシニアの世界選手権に登場しました。プログラムのパフォーマンスは良かったのですが、すべてのジャッジがこの革新的な技術を歓迎したわけではなく、パフォーマンスを評価する際に提供されたデータに従わないこともしばしばありました。今のところ、アイススコープがISUのレーダーになっています。スポーツ関係者は、本格的な導入を急いでいません。その主な理由は、評価を行うための構造化された基準システムがないことです。ISUの副会長であるアレクサンダー・ラケルニク氏はそう語っています。

「問題は、それがどのように機能するのか、どのような基準やパラメータを持つのかということです。それは興味深いですね。近い将来、このようなシステムがジャッジに取って代わることはできないと思います。しかし、ジャッジにより多くの情報を与えることはできるでしょう。

フィギュアスケートのようなスポーツでは、(ジャッジが)完璧であることは不可能です。しかし、それに取り組むことは必要です。日本のシステムは良いスタートだと思いますよ。コンピュータの助けを借りて過大評価や過少評価の判定ができれば、多くの疑問が消え、ジャッジの負担も減るでしょう。機械に任せられるパラメータがあり、それが客観的に評価されるのであれば、私は両手を挙げて賛成しますよ」と語った。

これまでのところ、ジャッジもISU関係者も、自動採点システムに懐疑的であることは明らかです。

これには理由があります。例えば、コンポーネントがどのように評価されるのか、誰がこのプログラムに責任を持つのか、その校正について疑問があります。これらはすべて重要なニュアンスであり、明確にする価値があります。それでも、関係者側の障害にもかかわらず、人工知能はフィギュアスケートに浸透していくはずです。そして、フィギュアスケートをよりクリーンに、より優しく、よりフェアに。



さて、請願書「全てのスケーターに正義を:ジャッジシステムの向上」は世界93ヵ国から1万人以上の署名が集まり二度にわたってISUに提出されたにも関わらず、ISUにガン無視されました。私も署名した一人でしたが…。



しかも、テク二カルコントローラー達が2台目のカメラは不要であると主張しているらしい。膨大な署名が嘆願書に集まっているのも関わらず…です。しかし、現状のテクニパルパネルのシステムでは、正確なコールは困難であるという研究論文があります。書いたのはアメリカの研究者であり、フィギュアスケートジャッジでもある人です。





美しき4Aさん、貴重な資料ありがとうございました。

さて…以上をまとめると、こんな感じですかね。

ラケ爺→AI? 参考にはできてもジャッジの代わりにはなれないね!
1万人以上の署名を集めた嘆願書→ISUから「回答なし」(ガン無視)
テクニカルコントローラー→「2台目のカメラ? 必要なし!」
ISU→「カメラ増設の費用は出せない。お金の無駄」
米国FSジャッジ→「現在のリプレイシステムでは正確なコールを保証できない」という論文を発表



だめだ、こりゃ…( ̄▽ ̄)


アレクサンダー氏の告白を読めば、カメラ増設もAIもISUにとって都合が悪いには明らか。これまでISUの意向にそったバイアス採点をジャッジ達に無言の強要をすることで、自分達に都合のよいチャンピオンを生み出してきた。しかし、AIは忖度しないし、脅しも強要も買収にも屈しない、それでは困るのだ。「採点の透明性」など邪魔なだけだ。

ジャッジ達にしても、AIが幅をきかせれば、「自分達が選手の生殺与奪の権を握っている」という全能感が阻害される。それは嫌なのだろう。その優越感こそが、収入にかわるジャッジ達の「報酬」なのだから。それに、AIに負担を減らしてもらう必要などない。そもそも負担などないのだろう。単に「フィーリング」で採点してるだけなのだから。

テクニパルパネルにしても、カメラなんて増設なんてされたら、負担が増える。AIが普及して、下手に過去の演技と採点を分析されたりしたら、黒歴史のオンパレードがバレてしまう。

アレクサンダー氏の告白によると、かつて、ISUの幹部を選ぶ選挙が行われたとき、ISUの改革をたくさん提案した候補は選挙に負けたという。ISUのエライさんや各国の連盟は変革は求めなかったからだ。それは今も変わっていない。そして、おそらく将来も変わらないだろうと考えてしまうのは、あまりにも悲観的な見方だろうか。


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タグ : 2021-2022_season

2021/09/12 12:20 | 問題提起COMMENT(9)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

選手たちは…

ジャッジされる側である選手たちは、実際のところAI導入に賛成なのか反対なのか、どうなんでしょうね?
羽生選手は勿論賛成ですが、他の選手たちは?
もし選手の多くがAI導入に賛成ならば、選手側から嘆願書を提出すればISUも無視できないように思いますが…
現役選手はリスクがあり過ぎてやはりそういうことは難しいのでしょうか。あるいは自分の技術が稚拙なことの自覚があって、今の曖昧な採点を良しとしているのか。
ミーシャはかつて自分は小国出身だから高い得点はもらえないというようなことを発言していたように記憶しています。出身国によっても賛成反対が割れるかもしれませんね。

No:16017 2021/09/12 18:25 | maru #- URL [ 編集 ]

maru 様

maruさん、こんにちは。

>選手側から嘆願書を提出すれば

登録選手全員が署名するならともかく、一部のAI賛成派の選手だけで嘆願書提出するなんて、そんな恐ろしいことができるはずがありません。どうせ無視されるのがわかっているのに、組織の怒りをかって下げ採点されるリスクを冒す人がどこにいるでしょう? 選手がそんなことができるような開いた組織だったら、そもそもこんな悲惨な状態にはなってない。ナムくんもAIは無理だと言ってました。「だってあのISUだよ?」って。

私は、結弦くんが現役時代にあの論文を発表したこと自体、ものすごい勇気ある行動だったと思います。ボーナスステージだからこそできたのかもしれません。

コメント、どうもありがとう♪

No:16022 2021/09/13 11:02 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

そうですね…選手からは言えませんよね。
馬鹿なことを申しました。
腐った組織を改革するのは内側からは難しい。
何らかの不正が暴かれて社会問題化して変わらざるを得なくなるか、第三者機関が介入するか。
その前に観客の心が離れてしまうかもしれませんが。

No:16023 2021/09/14 11:49 | maru #- URL [ 編集 ]

maru 様

maruさん、こんにちは。

>腐った組織を改革するのは内側からは難しい

自浄作用がある組織ならこんな状況にはなってません。また記事にするかもしれませんが、日本のOBもAIには好意的でない人が多いです。

デニステンはAI推進論者でした。彼が殺されたとき「AI推進論者だったからISUに暗殺されたのでは」なんて陰謀論までささやかれたほど、真っ黒な組織です。それはありえないとしても、さすが「ISUはマフィア」といわれるだけあります。

ソルトレイク五輪以上のスキャンダルが表ざたにでもならない限り変わらないのではないでしょうか。

コメント、どうもありがとう♪

No:16026 2021/09/15 11:43 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

いつも多くの、有用な情報を紹介してくださり、ありがとうございます!ブログ記事も読者のコメントもコメ返も、すべてしっかり読ませていただいています。

アレキサンダー氏のインタビュー、羽生くんの論文についてのロシア記事、アメリカの元ジャッジの意見、マッシさんの怒り、詳しく紹介してくださり、ありがとうございます!元4流5流の選手がジャッジになり、選手の殺生与奪を握ることで虚栄心を満足させる…まさにいつもみずほさんが言われているとおりですね。

ジャッジの経験者で論理的な考えの方々の説得力ある意見、もっともっと世に広く知らしめたい!

例のごとく、FS業界トップは無視するでしょうが、深いところでは動きはあると思う。やがては、満足いくものでなくとも何かの変化が現れると信じています。だって、FSの採点方法は、どうみても今のスポーツ界でお話にならないほど、何周回も遅れているから。AIや電子機器の使用も、羽生くんが突然言い出したのではない。東京五輪をみても、複数カメラ、電子機器使用、AI採用への努力、採点への説明要求など、ほとんど当たり前ですよ。

羽生くんは採点方法の科学化を今後も続けるに違いありません。フィギュア村の風土は強大な壁となって立ちはだかるでしょうが、羽生くんはぶれませんからねえ。大好きなICEちゃんのために研究開発を進めるでしょう。もうどこかの企業と共同研究を始めているでは?フィギュア村にとっては、彼が世界の宝だなんてとんでもない、今や疫病神でしかないのかも。

Planet HanyuファンフォーラムのHenniさんが言っていました…「YUZURUはSNSなどでちょぼちょぼしゃべったりしない。時と場合と言葉を選んで、『有無を言わせぬ』形で発言をする」と。卒論が発表された時、まさにこれだと思いました。

AIですべて採点するのは難しくとも、ジャンプなど技術採点に採用すれば、忖度採点にきっとブレーキがかかると思う。

以前、FSにかなり詳しいと自負するブロガーの方が、忖度採点や、ジャンプの始まりを見ないことについて、「以前からそんなもんだった」と問題視しない様子で書かれていたのには、心底失望しました。でも、キスクラで談笑しながら採点発表を待っている羽生くんやブライアンコーチらの笑顔が、採点発表とともにみるみるしぼんでいく光景、私は胸がつぶれそう、もう見たくない!

頑強な、強大なFS業界に対し、ファンは特段何もできなくとも、せめて「ちゃんと採点を見ているよ」とか、よい記事がでたら賛同の表明をして、圧力をかけることはできると思う。何もしなかったら、きっと後悔する。私にとっては羽生くんの現役の間だけですが。だって引退後はどう考えても、スケオタでない私が今の熱量で採点にやきもきすることはありえないですから。

No:16030 2021/09/15 21:58 | Michko Hase #CEOHJxrs URL [ 編集 ]

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No:16031 2021/09/15 22:04 | # [ 編集 ]

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No:16032 2021/09/15 22:19 | # [ 編集 ]

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No:16033 2021/09/15 22:29 | # [ 編集 ]

ス〇〇〇 様

ス〇〇〇さん、こんにちは。

コメ返不要の件、了解しました。

コメント、どうもありがとう♪

No:16040 2021/09/18 12:22 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

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