小塚氏とトランコフの「フィギュアの採点について」の発言を考えてみる

今日は、この本について少し書きたいと思います。もう3年近く前に発売された本ですが。
→ 浅田真央は何と戦ってきたのか - フィギュアの闇は光を畏れた - (ワニブックスPLUS新書)

以前書いたブログ記事の続編でもあります。
→ 「競技が始まる前から誰が優勝するか決まっている」~あるロシア人ジャッジの告白


悪質マ〇タが書いた本として少し話題になりました。図書館で借りたのは、小塚崇彦氏の寄稿に興味があったからです。フィギュアスケートのOBが有名な悪質マ〇タの著書に寄稿する是非はともかくとして、日本人フィギュア関係者は採点についてどう思っているのか? 全部読んだわけではありませんが、目にした範囲で一部参考になる部分があったので、紹介します。おそらく、私のブログの読者さんには読んだ方は少ないと思いますので(笑)

小塚氏は、「フィギュアの採点について、どう思っているのか。AIの導入については?」という質問にも答えておられます。以下、その部分のみ抜粋します。

―フィギュアの採点はわかりにくいという声をよく耳にします。

小塚 確かにわかりにくい競技ですよね。はっきり言って選手ですら、細かいルールは把握しきれていない。ではジャッジの人達はすべてを完璧に把握できているかと言えば、それもないと思う。基本的に一瞬での判断で、ルールブックで調べながらジャッジするわけにはいかないですからね。やはりジャッジも人間なので、人間として「良いな」と思ったものに最終的には点数をつけるのかなと。
例えば、会場が盛り上がっていたら、高い評価をしようと思うでしょう。そこが曖昧で物議をかもすところだと思いますが、そういう人間らしさが点数に加味されなくなったら、フィギュアはつまらなくなると思います。「どうやってジャッジから点数を引き出すか?」「どういう演技が高い評価を得られるのか?」と選手自身が考える、研修するのも、ひとつの練習です。

―回転不足の判定など、ブレがあるように感じます。

小塚 正確な判定をするために、技術パネルは3人のジャッジが担当しています。しかも彼らはジャンプを跳んだ経験を持つ人達ですから、回転不足は感覚的にわかるものです。選手としては、回転不足をつけられたら自分が直して、次は認めてもらえるようなジャンプを目指すだけ。もちろん「???」と、思う時もあります。でもルールがなければスポーツは成り立ちません。万が一、判定にブレがあったとしても、フィギュアは「採点競技」ですから。スケーターは全員が「採点される競技」を自ら選択したはず。ジャッジの判定に不満があるのなら、「0.01秒」を競う競技をやればいい。あるいは得点競技とか。少なくとも僕自身はそう考えていました。

―AIの導入については、どう思われますか?

小塚 フィギュアは人間が見て、点数をつける競技だから面白いのかなと考えています。機械が判定するのなら、ジャンプだけの競技をつくればいい。



たとえば、タラソワみたいな長老のフィギュア関係者の言葉ならまだ納得できます。しかし、これは若手OBの小塚氏の言葉です。現在の採点システム完全肯定とAI否定に絶句しました。しかも、彼はブレード開発などをしている、どちらかというと理系人間のはず。

しかし、おそらくこれがフィギュア界に生きる人達の大多数の考え方なのだろうと思います。ソースは忘れましたが、佐野稔氏や本田武史氏も「人間がジャッジするからおもしろい」という主旨の発言をしてるのを目にしたことがあります。


万が一、判定にブレがあったとしても、フィギュアは「採点競技」ですから。スケーターは全員が「採点される競技」を自ら選択したはず。ジャッジの判定に不満があるのなら、「0.01秒」を競う競技をやればいい。

スケーター自身が「採点される競技」を選んだのだから、どんな採点をされても(たとえそれが不正でも)文句をいうな。不満があるのなら、速さを競う競技をやればいい…と小塚氏は言っています。言い換えれば、私達スケオタにもこう言っているのと同じこと。

スケオタは「採点競技」を見ることを選んだんだろう。ジャッジに不満があるなら「速さを競う競技」を見ればいいだろう。判定に文句をいうな。

これがISUやスケ連の総意でもあるのだろうなと思いました。どれだけジャッジへの批判が殺到していても、「公平なジャッジ」求めて1万人を超える署名を集めた嘆願書を送っても、無視するはずです。呆れるほどの上から目線。ジャッジ絶対。ISU絶対。批判厳禁。選手はただの駒。スケオタはただのATM。選手ファースト、ファンファーストはどこへやら…です。

そりゃ、彼らにとって、採点に抗議ばかりする羽生ファンは煙たい存在でしょう。安心してください。羽生ファンの全部ではなくても、かなりの羽生ファンが、彼の引退後離脱する準備をしています。そして、離脱していく人達は採点に不満があった人ばかりだから、アフター羽生後は、採点への不満の声はグッと減ることでしょう。あなた達にとって理想的なファンだけが残ります。

ところで、2014年の全日本選手権では、女子シングルの回転不足がとても厳しくとられました。小塚氏は、女子シングルのフリーのあと、公式にこんな発言してました。この発言は私もよく覚えています。

(回転を)全部認めろとは言わないですけど、詳細に基準を決めるといったことがあってもいいのかなと。ジャッジやスペシャリストによって、判定が全然違ってくるようなことは考え直してもらえると…。みんなが引きこもったような感じはなくなっていくのかなと思います

小塚氏が、「スケーターは全員が『採点される競技』を自ら選択した」のだから、「回転不足をつけられたら自分が直して、次は認めてもらえるようなジャンプを目指」せばよく、なにより「フィギュアは人間が見て、点数をつける競技だから面白い」という考えをもっているのなら、あのときなぜ批判めいた発言をしたのでしょうか? なにより「人間がするジャッジ」のために、小塚氏自身、ソチ五輪の代表から漏れて泣いた経験があるはず。結局、引退後「フィギュア村」で生きていくことを選んだ以上、村の「掟」に阿らないと生きていけないということでしょうか。小塚氏は連盟入りを希望してたはずです。

会場が盛り上がっていたら、高い評価をしようと思うでしょう

それならば、会場を一番盛り上げている羽生結弦が高い評価を得られないのはなぜ? まあ、日本の羽生ファンの忖度スタオベが、ライバル選手への「敵に塩」になり、ジャッジの不可思議な高得点の追い風になってるとは思ったことはありますけどね。


著者はトランコフの有名な発言についても紹介してます。その部分を抜粋します。

14年ソチ五輪ペア金メダリストであり、団体戦金メダリストのマキシム・トランコフ(ロシア)のインタビュー記事を紹介したい。
「ロビンも僕も、明らかに悪い滑りをしたのに、勝って更衣室に戻るときが何度かあった。客観的にみて僕たちよりも良い滑りをして、結果的には負けた人たちの目を、どのように見たらよいのか分からなかった。(~中略~) もし偉大なチャンピオンペアが、僕の前で悪い滑りをしたら、僕は彼らを他のペアより高く評価することができない。なぜなら、自分自身がそのような境遇の中にいたので、それ(不出来にも関わらず高得点をもらって気まずい思いをすること ※訳者注釈)がどんなにいたたまれないものなのか、わかっているからだ。だから、審判団には著名なアスリートがいないのだと思う」。

トランコフが語っているのは、今も昔も、フィギュアの現場では「公平さに欠ける採点が行われている」という現実だ。採点の実情を一番、知っているのは選手たちだ。
そしてファンにとっても、偉大なチャンピオン、もしくはISUにとってのスター選手が、明らかなミスをしていながら表彰台に上がる光景は、珍しいものではない。
「ジャッジに愛され」、表彰台をキープし続けていた選手が突然はしごを外され、自分の得点に困惑した表情を浮かべる様子さえ、何度も目にしてきた。
演技の出来不出来は、演じた選手自身が一番よくわかっている。去年まで評価されていたものが、今年は評価が得られない…。あるいは選手としての引き際…引退の時を、ジャッジから「得点という勧告」を突きつけられて実感することもあるだろう。採点が絶対評価であるならば、こんなことは起こりえない。
トランコフが言う「フィギュアの審判団には。実績のあるアスリートがいない」。これは、「公平さに欠ける採点に荷担したくない」という選手としての矜持の表れだ。


そういえば、ハビも「出来が悪いのに、不相応な高得点がでたとき、怒りを感じた」と言ってましたね…。

「ジャッジに愛され」、表彰台をキープし続けていた選手が突然はしごを外され、自分の得点に困惑した表情を浮かべる様子さえ、何度も目にしてきた。

休養して復帰した後のパトリック・チャンがそうでしたね。滑りが劣化したわけでもないのに、復帰後はPCSも下げられた。「僕はもうジャッジから興味をもたれていないようだ」というチャンの言葉が記憶に残っています。

演技の出来不出来は、演じた選手自身が一番よくわかっている。去年まで評価されていたものが、今年は評価が得られない…。あるいは選手としての引き際…引退の時を、ジャッジから「得点という勧告」を突きつけられて実感することもあるだろう。

今、ジャッジは羽生結弦に「引退勧告」採点をしています。どこまでひどい採点をしてプライドをズタズタにしたら引退してくれるのか…という我慢比べをしているかのようです。元底辺スケーター達による、GOATと称えられる天才スケーターへの極端な過小評価という辱めが現在進行形でおこなわれている。よほど北京五輪に出てほしくないのでしょう、ISUとしては。結弦くんはそれを理解している。だから、北京五輪への出場を明言しないのでしょうね。

トランコフは「一流選手としてのプライドがあったら、ジャッジなんてできねーよ!」「だからジャッジはみんな底辺スケーター上がりばっかりなんだよ!」と言っているのです。マッシさん曰く、ジャッジはみな「彼(羽生)と道で出会ったら敬語を使い、それどころか彼を『貴殿』と呼んで敬わなければならないような連中」です。そんな底辺スケーター上がりが一流選手の将来を握っているという全能感に浸れるのがジャッジという職務です。

選手時代に十分な実績を手にいれた選手は、そんな安っぽい優越感のためにプライドを売り渡す必要はないのです。そして、前の記事のアレクサンダー氏のように「自分の良心に従って」採点したジャッジは、ISUから報復を受ける。トランコフはすべてをわかっているからこそ、ジャッジをやりたくないと言っているのでしょう。


羽生結弦の論文について、日本の関係者からあまり感想の声は聞こえてきません。読んでいるはずですが…おそらくアンタッチャブルな領域なのでしょうね…。正直なところ、トランコフと小塚氏の発言を比べると、申し訳ないけど、小塚氏の「小物」感を感じずにはいられませんでした。


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2021/09/21 11:30 | 問題提起COMMENT(9)  TOP

コメント

なるほど。
表彰台に上がった元選手ほど、ジャッジはやりたくないことが、よくわかりました。
今まで不思議に思ってたんですよね。
ISUにいくら意見を言っても無駄だったってことか。
本当にアフター羽生は、閑散としたものになると断言します。
ISUは、選手時代に日の目を見なかった人たちの、吹き溜まりですね。

No:16054 2021/09/21 19:46 | ゆづ鈴 #- URL [ 編集 ]

こんばんは

みずほさん、ご紹介ありがとうございます。

選手がジャッジになりたがらない、なれない競技なんですね。人気も崖から転がり落ちそう。

小塚君、完全に居直ってますね。
毎年近くに冬に極く短期間開設される小さ~いリンク(15m×10m)に来るので、見たことあります。無料イベント。
ほー!っと思って見に行きましたが、無料にふさわしいつまらないパフォーマンス。見る人も一重いたかどうかで、数十人位。それなのに短時間子供スケート教室は割高でしたね。習わせる人いたのかな?
平昌前後、テレビで何回か見ましたが、実に感じ悪いと思いました。こんな人しか残らないんでしょうね。

No:16055 2021/09/21 20:39 | monaka #JalddpaA URL [ 編集 ]

離脱の準備万端です。

こんばんは。

JOの最後の一人が発表されましたね。
とある所での会話…この選手がどれだけの集客力が有るのかで今後の羽生君引退後のスケート界が決まるツアー会社もコロナ禍で大変だろうけれども日本に居ると分かっての10万円のツアー募集は羽生君に出て欲しいのか出ないの分かって羽生ファンを利用したのか?このメンバーにお高いチケット購入する気に慣れないし最後の一人は歌子の息がかかってるからね…と、確か羽生君アンチだと聞いた事が有る選手ですね。私はジュニアの頃にゆづ君のショーをTVで観ていた時?以来その選手の名前と顔もはっきり分からずDOIでしたか?出演してましたよね?ゆづ友さんに容姿やら聞いたら、大したこと無い選手だし王子様タイプとかからは程遠いわよと聞きました。
私達はゆづ君だから試合も観ますしショーも観る訳で後は興味無いですよ!本気でゆづ君をリスペクトして居ると公言して頑張って居る後輩の数人にはエール位は送りますけどね。

小塚さんのソチはお気の毒に~何故?ってフィギュア界隈の闇やら利権、忖度等々を全く知らないで羽生結弦選手に一目で惹かれたので後から出戻り先輩のやらかしやらゆづ君苛めの悪質ファンの事を知りショックでした。
全日本初優勝も札幌だったと知ってから何だか申し訳ない気持ちに成って泣きました。
札幌はトラウマに成ってるかも、ごめんね。
そんな気持ちに成ってました。
もっと早くから気付いて応援したかったです。
引退後は録画や本を観てショーで来てくれチケット申込してと今から準備してます。
ゆづ君の様な内面的も外見もパーフェクトな選手は絶対に現れ無いです。遅い時間に成りました。
ありがとうございました。

No:16057 2021/09/21 23:05 | MiKKO #- URL [ 編集 ]

すみません。

何故か送信押しても時間を置いてからと表示され何度も押して😥
連投に成ってました。
お手数おかけしますが、これで2回目ですね💦

No:16058 2021/09/21 23:27 | MiKKO #- URL [ 編集 ]

ゆづ鈴 様

ゆづ鈴さん、こんにちは。

>表彰台に上がった元選手ほど、ジャッジはやりたくない

カナダのケビン・レイノルズくんがジャッジ資格をとりローカル大会のジャッジをしてるようです。ケビンくんはジャッジとしては選手実績ある方だけど、それでもトップ選手ではないですよね。

>アフター羽生は、閑散としたものになる

すでに兆候がでてきてます。JOの主催からテレビ東京が外れました。毎年テレ東がテレビ放送してましたので、今年は放送ないかもしれません。結弦くんが出れば、どこかが放送しただろうけど。

コメント、どうもありがとう♪

No:16059 2021/09/22 12:00 | みずほ #- URL [ 編集 ]

monaka 様

monakaさん、こんにちは。

>無料イベント

彼の無料イベントあまり評判よくないですね。以前はNHKカルチャーなどの講座やってたけど、それもだんだん減ったような気がします。たぶん話が面白くないのでしょう。アイスショーも滑りの劣化が酷くて呼ばれなくなった。

仕事を増やす人脈作りために飲み屋の接待ばかりして、それが離婚に繋がったようですが、無料イベントでも講座でもテレビの解説でもアイスショーでも、そのときの仕事をひとつひとつ誠実にこなすことによって仕事は増えるものです。織田さんはそうでしたね。接待による人脈でなんとかしようとしてる時点で考え方が歪んでます。

でも、そういう人の方がフィギュア界は生きやすいのです。

コメント、どうもありがとう♪

No:16060 2021/09/22 12:14 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

Mikko 様

MiKKOさん、こんにちは。

>このメンバーにお高いチケット購入する気に慣れない

結弦くんが出ると試合やショーの「格」が上がるのです。羽生抜きのあのメンバーであのチケット代は高すぎます。

>羽生君アンチだと聞いた事が有る選手ですね

彼のコーチは羽生アンチで、彼のママンはガチのDオタらしいです。彼もDさんリスペクトですが、羽生アンチなのかまではわかりません。一応結弦くんとツーショットとか撮ってましたけど。

>札幌はトラウマに成ってるかも、ごめんね。

いや、大阪よりマシです(笑) 大阪は本当に鬼門で…今年の国別も出てほしくなかったです。国別は何事もなく終わりホッとしました…と思ったら、これまでの慣例を破り、EXのオオトリが米国選手で怒りを感じましたけど。ファイナルも大阪です。国別で禊は終わったと思ってますが、ファイナルも何事もありませんように。

>連投に成ってました。

同じコメントが7~8回入ってましたので整理させていただきました(笑)

コメント、どうもありがとう♪

No:16063 2021/09/22 18:23 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

採点競技

みずほ様。お早うございます。
何時も的確なコメントに頷きながら読ませて頂いております。
この度の小塚君の採点競技へのお話しは驚きと呆れしかありません。
確かに採点競技には観た感覚や楽しみでされる面もあるでしょうが、ジャッジの教育やAI導入の否定は到底納得出来ません。それではフィギュアの未来はありません。
ジャッジの技術向上や微妙な所の採点にはある程度疑問を出されれば説明も必要でしょう。体操競技でもされています。
又テニスでもチャレンジはされます。
そしてアメリカへの忖度でのネイサン選手爆盛り、羽生選手下げ問題です。ネイサン選手はジャンプは跳べても繋ぎが貧困、それに対し羽生選手は技術、繋ぎ、魂の演技、音楽との調和、オ-ルパッケージの選手です。
これらは観ていても分かります。
日本スケレンは日本の為にも抗議をお願いしたいです。
みずほ様。これからもコメントを宜しくお願い致します。

No:16071 2021/09/25 09:35 | カラヴァジョ #u7pnrebQ URL [ 編集 ]

カラヴァジョ 様

カラヴァジョさん、こんにちは。

>それではフィギュアの未来はありません

本当にフィギュアの未来を考えているのなら、採点問題は避けて通れません。公正さがないスポーツは廃れます。小塚さんはブレード開発をしてますが、フィギュアが廃れたらお商売にならないでしょうに。

結弦くんの出ない試合やショーのチケット全然売れてないですし、JOは今年は地上波放送もなさそうです。日本のフィギュアバブルの終焉の予兆はすでに始まっています。

コメント、ありがとうございました。

No:16074 2021/09/25 23:03 | みずほ #o/PXu/q6 URL [ 編集 ]

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